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第一話 闇に選ばれた忍
その夜――
ひとりの忍が、“人ではなくなった”。
誰にも知られず、誰にも救われず。
ただ、静かに壊れていった。
風が鳴いていた。
森は静かなはずだった。
だがその夜だけは違う。
ざわり、と空気が歪む。
「……来るか」
低く呟いた男――
服部半蔵。
次の瞬間。
シュッ――!!
無数の手裏剣が闇を裂く。
だが。
カン、カン、カン!!
すべて弾かれた。
「遅い」
その声と同時に、影が動く。
影丸。
「敵は一人ではありません」
森がざわめく。
気配が増える。
ひとつ、ふたつではない。
「……面白い」
半蔵が笑う。
その時だった。
「半蔵様!」
降り立つ影。
お凛。
「囲まれています。ただの忍ではありません……」
「分かっている」
半蔵は空を見上げる。
月が消え、闇が濃くなる。
「これは――戦だ」
ドン。
重い足音。
「久しいな」
現れた男。
猿飛佐助。
「忍の時代は終わる」
その言葉が、夜を切り裂く。
「これからは、“力”の時代だ」
そして。
戦いが、始まった。




