第66話
六時を告げる鐘の音と同時に術式が解かれた。
庭園の南にラ・カームとサーシャが現れると、ラ・ヌカ国王は庭園中央にいた。
二人が現れたことになんの驚きもないように自然と問いかけた。
「ラ・カームか、なにをしていた?」
「父上をお待ちしておりました」
「ほう、それでどうするつもりだ」
「ソード・オブ・ラーを破壊します」
それを聞いたラ・ヌカ国王は怒りで顔を赤く染めながら怒鳴り飛ばした。
「何を言っている!」
「問答は無用です、父上、剣で勝負しましょう」
「サーシャに誑かされているのか?」
「いえ、サーシャは関係ありません、今回もサーシャには手出しさせません」
「本気か」ラ・カームの顔を見てラ・ヌカ国王も覚悟を決めた。
鞘からソード・オブ・ラーを取り出すラ・ヌカ国王
ソード・オブ・ラーが鞘から抜かれるのを見るのは、ラ・カームも初めてだが禍々しくも神々しい光が剣を覆っていた。
ラ・カームも自らの短剣を抜き出す。
ソード・オブ・ラーを抜いたラ・ヌカ国王は巨大なモンスターにも見えるようなオーラが漂っていた。
ラ・カーム王国を建国した伝説の剣と対峙するだけで、ラ・カームも圧倒される。
いつかのダナ・カシム団長との対峙を思い出した。
『力量差だけでは勝負は決しません』
ラ・カームは動いた。
二十メートルはあろうかというラ・ヌカ国王との距離があっという間に縮まった。
・・・速い
ラ・ヌカ国王ですらそう感じるほどのラ・カームのスピードであった。
サーシャからは、ラ・カームの剣がラ・ヌカ国王を捉えるかに見えた。
しかし、ラ・ヌカ国王はラ・カームの剣の動きを読んで、ソード・オブ・ラーを軽く動かしただけでラ・カームを弾き飛ばした。
ラ・カームは十メートルも後方に吹き飛ばされて庭園中央に落ちた。
体中に激痛が走る。
「いくらお前でも、この剣には敵わない、剣そのものの意思があるのだ」
「ッ」短く吐いてラ・カームが起き上がる。
ラ・カームはその距離から剣を振った。
超巨大な雷属性の攻撃が庭園中央にいるラ・ヌカ国王を襲う。
耳をつんざくような雷鳴の爆音
国王が立っていた場所が雷の爆炎に包まれる。
その煙が晴れてくると国王は何事もなかったように中央に立っていた。
ラ・カームの攻撃をソード・オブ・ラーで斬りはらったのだ、建国の伝説のファ・ラグナロクを斬ったのと同じように。
サーシャは愕然としたが、ラ・カームの姿が見えない。
ラ・カームはラ・ヌカ国王の動きを読んでいたかのように上空に飛びソード・オブ・ラーに渾身の一撃を入れる。
・・・頼む、折れてくれ。
ラァやラナ、サーシャやキヌアこれまでの色々な想いと共にラ・カームは振り切った。
先ほどの爆発よりもさらに大きな轟音
先にラ・カームの短剣がバラバラになり、次いでソード・オブ・ラーに小さな亀裂が入った。
その亀裂は剣全体に行きわたり、ついにソード・オブ・ラーは砕け散った。
ラ・カームはそれを見届けてその場に崩れるように倒れた。




