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ラ・カーム戦記  作者: 神名 信
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第57話

 会見場には、イグニクェトゥアの赤軍団長ファ・スールが待っていた。

 「ラサ殿、責任はとって頂きます」単刀直入に告げた。

 「私の命はいいが、領民と家族の命を守って欲しい」

 「それはできません、後の禍根となる、ダ・ゴールは町ごとファ・ナグラロクで消し去ります」

 「それでは話が違う、私の命だけでという条件だったからここまで来たのだ」

 「これは戦争です」

 そう言うのを合図に、会見場の周りからイグニクェトゥア軍の手練れが百名ほど集まり、ラサの同行者を次々に葬って行った。

 ラサは同時に十数か所に傷を負い絶命した。


 ラサの死亡がダ・ゴールに宣告されたのは、その一時間後であった。

 留守を預かったカーナとラ・カームは決断を迫られた。

 すると、カーナがどこからか、見たこともないような剣を取り出しラ・カームとラキに告げた。

 「二人とも神殿に行きましょう」

 その剣は鞘に収められていたが、ただごとではないオーラを放っていた、

 神殿はダ・ゴール城から一時間ほど歩いたところにあった。

 ラサを慕って集まった軍勢は残されたカーナ達を逃がすため、必死に防戦してくれた。

 ラ・カームとラキはどうして神殿に行くのか、そこで三人とも命を絶つつもりなのか、考えながら、カーナの後をついていった。


 神殿につくと、カーナが告げた。

 「ラ・カーム、ラキここで婚姻の儀式を行いなさい」

 『え?!』二人は異口同音に驚いた声を出した。

 「二人とも愛し合っているのでしょう、もう時間がありません」カーナの声はどこか冷たく、また抗えないような雰囲気をもっていた。

 ラ・カームとラキは見つめ合う。

 ラキが先に口を開いた。

 「死ぬ前にラ・カームと一緒になりたいよ・・・」

 「ラキ、ごめん、俺ラキを救えなくて」

 「いいんだよ、ラ・カームがいてくれて、十三年も幸せだった、ありがとうラ・カーム」

 ラ・カームはラキを抱きしめた。

 「誓いの口づけを」カーナはなおも冷たく言葉を続ける。

 ラ・カームとラキは照れながらも素直に互いの唇を重ね合った。


 すると、二人の体がまばゆい光につつまれた。

 「え?これは」ラ・カームはカーナに視線を移し説明を求めるように聞いた。

 しかし、それには答えず、カーナは剣を鞘から抜き取り

 「ごめんなさい」カーナが言った瞬間ラ・カームに大量の血が降りかかった。

 ?!!

 ラ・カームはなにが起きたのか把握しきれなかった。

 すると、抱きしめていたラキが力なく倒れて行った。

 「ラキ!ラキ!!!」

 ラキの胸にはカーナが握っていた剣が刺さっていた。

 「お母さま?!!何を?ラキ、ラキ!!!」

 ラキは驚いた表情で、胸の剣を確かめラ・カームに向かって何か言おうとしているが声はもう出なかった。

 ラキはラ・カームに抱きしめられながら息を引き取った。

「この剣を手にしなさい、イグニクェトゥアが滅びるその日まで」

 そう言って、カーナは自らの心臓をその剣で貫き、柄をラ・カームに握らせた。


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