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ラ・カーム戦記  作者: 神名 信
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第26話

イグニクェトゥアにおいては、五系統の魔法の頭文字、炎の「ファ」、水の「ラ」、雷の「リザ」、土の「パク」、風の「ユ」はそれぞれ二名ずつしか名乗ることができない。

 国家委員会(国家主席を含む)の五名と五軍の軍団長五名がそれぞれ名乗ることができるのみである。

 パク・ドゥーンという名前も軍団長になるときに委員会から与えられたものだ。

 

 イグニクェトゥア軍が北部森林に侵攻したという情報はほとんど同時にラ・カーム王国近衛団・北部方面軍・クアナ湖の皇子たちにも届いた。

 南部方面軍にもイグニクェトゥア軍侵攻の情報は入っていたが、今回南部方面軍は特別な役割を負っていたためすぐには迎撃態勢に入れなかった。


 シュナイゼルはイグニクェトゥアの北部森林への侵攻作戦は陽動であると判断し、その目的はクアナ湖のラ・カーム皇子であると推測した。

 暗殺であれば、サイレントキラーが動くだろうとの予測もできた。

 シュナイゼルは皇太子たちを近衛兵で囲み、またインビジに対抗するためのパク・ルーンの魔法を展開した。 

 「イグニクェトゥア軍集結については諜報部が情報を得ていたであろうに、なぜ」シュナイゼルは独り言のようにミルシャに言った。

 「分かりません・・・」

 「殿下たちをおとりにして一気に戦争そのものの決着をつけるつもりか・・」

 「どちらにしても我々はここに留まるか避難するか決断しないといけませんね」

 「王都へ帰還するのは逆に危険だろう、伏兵が考えられる」シュナイゼルが険しい顔で言った。

 「ダ・ゴール方面へ南に行くという選択もありえますね」

 「それが素直だが、サイレントキラーならそれも読んでいるな」

 「クアナ湖で近衛団の増援が来るのを待ちますか?」

 

 たしかに、動かないというのも選択肢ではあった、しかしそれこそがパクの真の狙いかもしれず、シュナイゼル自身も考え込んでしまった。

 シュナイゼルの剣の腕はダナ・カシムと並ぶほどであったが、野性的なカンともいうべき判断力はダナ・カシムが上と言える。

 「あいつならどうするかな・・・」


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