第20話
夜が明けて七月三十一日の朝
クアナ湖の水辺に一行は集まっていた。
この日は日差しも強く、水遊びにはちょうど良いくらいの暑さだった。
「海―」ラァが駆け出した。
ラァは髪の毛を結んで、ピンク色のセパレートの水着を着ていた。
「わ、冷たい」ラナも水辺に立っていた。
ラナは白のワンピースで腰のあたりにはフリルがついていた。
「あまり遠くまではいかないでくださいね」ミルシャが二人に注意した。
「私まできてよかったんですか?」とチナ
チナは魔術院の指定水着で、紺色のワンピースだった。髪の毛のリボンが大きく揺れている。
「大丈夫だよ、チナさん」ラ・カームがそう言った。
ラ・カームは黒のトランクス型の水着だった。
「ラ・カーム、腹筋割れているよ、すごい」ラァが言った。
「すごいね、ちょっとつついていい?」とラナ
ラナがラ・カームの腹筋をつついていた。
「ちょっとくすぐったいよ」ラ・カームは恥ずかしがっていた。
「わたしもつんつんしよ」ラァも腹筋をつついていた。
「ちょ、二人ともくすぐったいって」
ミルシャは皇太子たちの様子を見ながら周囲も警戒していた。青いワンピースの水着を着ていたが、上着もはおっていた。
「先生、胸の大きさが反則です」ラァが言った。
「先生、大きいですね」ラナ
「お二方も大人になると大きくなりますよ」ミルシャが言った。
「えーでも、先生は多分巨乳っていうやつですよー」ラァ
「二人とも、先生にからむんじゃないよ」ラ・カームがたしなめる。
「ラ・カームはからんでないけど、視線がやらしいよー」ラァが茶化す。
「うん、やらしー」ラナも相槌を打つ。
「・・・そんなことないから」ラ・カームは恥ずかしがりながらもそう言った。
「せっかくだから、泳いで来たらどうですか?」ミルシャが提案した。
「そうだね、あそこの岩まで泳いでみよう」ラナが同意した。
湖岸から、五百メートルくらいのところに岩が突き出ていた。
「チナちゃんもいこ」ラァが声をかける。
「あ、はい」
四人は岩までそれぞれに泳いで行った。
シュナイゼルは平服で、少し距離を取って一行を見ていた。
「定時連絡です」近衛団の連絡員がシュナイゼルの下へやってきた。
「十時現在各方面につき問題はありません」
「ご苦労、どんな小さなことでも連絡をするように」
「はい」




