第21話
ラ・カームが一番ね」泳ぎ切った後ラァがそう言った。
「ラナが二番だったね、思ったより速かった」
「え・・そうかな、ラァもだいたい同じだったよね」
チナはまだ泳いでいるところで、岩場までもう少しかかりそうであった。
「あー、なんか洞窟みたいなのがあるよ、入ってみようか?」とラァが洞窟を指さした。
「いや・・やめておこう」とラ・カーム
「えー面白そうじゃん」
「もし、あそこに入って僕らの誰か一人でもかすり傷を負ったら、シュナイゼル団長とミルシャ先生が責任を取ることになるからさ」
「ラ・カーム、なんか大人になったね」
「でも、ラ・カームの言うとおりだよね。」ラナも同意した。
三人がそう話していると、チナがたどり着いた。
「みなさん、めちゃくちゃ速いです」
「チナちゃん大丈夫?」とラァ
「はい、少し水飲んじゃったみたいで」
「少しゆっくりしたら、ミルシャ先生のほうに戻ろう」とラ・カーム
「あ、みんながよかったらドラゴンの背中に乗って帰る?」ラナが言った。
「え?ラナさんバク・ドラゴン詠唱できるんですか?」チナが驚いていた。
「うん、土魔法もそろそろマスター認定受けられそうなんだ」
「ラナはすごいよね、私はまだ風魔法のほうはマジシャン程度しかないよ」
「わたしからしたら、もう雲の上の上の上ですよ、お二人」
「ラナのドラゴンかー、見てみたいな」とラ・カーム
「ちょっとみんな離れていてね」
ラナは胸の前に手を組むとバク・ドラゴンの詠唱を始める。
・・・すごい、ミスリルロッドなしでバク・ドラゴンを詠唱できるなんて。王家の方々は普通の人ではないんだ。チナはそう思った。
詠唱が終わると、ラナの前方十五メートルほどのところの地面から亀裂ができた。
「グオーォー」
辺りに響き渡る雄叫びを上げて、ドラゴンが地中から出てくる。
圧倒的な存在感を持つドラゴンが岩場に現れた。
体長十五メートルはあろうかという、岩石でできたドラゴンだ。
魔法生物であるドラゴンは術者に従順というが、チナはさすがに少し怖がっていた。
「大丈夫だよ、チナちゃん」ドラゴンの頭をなでながらラナが言った。
「う・・うん」
ドラゴンは優しい目をして四人を見ていた。
「さあ、みんな乗って」
四人が背中に乗る。
ドラゴンの背中は人が乗ると、まるで特別な重力が働くように安定感があった。
「じゃあ、飛ぶよ!」
ラナのドラゴンが大きく羽ばたいた。
ふわっとしたかと思うと、岩場から急速に上昇していった。
「このまま、湖を一周してから先生のところに戻るね」
「きゃーすごい!!」ラァが叫ぶ。
「わわ、ほんとに飛んでいる」少し涙目でチナがしがみつく。
「岩場があんなに小さく見える。すごいな」ラ・カームも感嘆した。
バク・ドラゴンは四人を乗せたまま湖を一周して、ミルシャの下に降り立った。
「とうちゃくー。だよ」ラナが言った。




