第17話
旅館を出た一行は日没と同時にクアナ湖に着いた。
「到着です。今日は一日お疲れ様でした」
もう、暗くてよく見えないが、大きな森に囲まれるように湖が見えた。
「ラァ起きなよ」ラ・カームがつついた。
「ん・・・着いた??」
「着いたよ、ラァ」ラナも言った。
「うみー」ラァは寝ぼけたままつぶやいた。
「しょうがないな」ラ・カームがラァを抱き上げて馬車から降ろした。
・・・え。
寝ぼけていたラァは抱えてくれたラ・カームが思ったよりも筋肉質な体でびっくりした。
・・・ちょっと、まずい恥ずかしいっていうか、えっと、ドキドキしているし、多分二人にはすぐばれるよね。
「ラ・カーム大丈夫だよ、ありがとう」ラァは自分の足で地面に降りた。
クアナ湖に着くと十名以上の従業員が玄関で出迎えてくれた。
「本日は王都から、ようこそおいで下さいました。本館の館長をしております、ファームと申します。よろしくお願いします」館長が代表して挨拶をした。
「よろしくお願いします」シュナイゼルが挨拶をする。
「皇太子様、ラァ王女、ラナ王女については、私の娘のチナが当地の案内をさせて頂きます、なにとぞよろしくお願いします」
「チナ、きなさい」
「はい」呼ばれた少女が一歩前に出た。
「ご挨拶を」
「チナ・ファームです、魔術院初等科在籍で、皇太子様たちとは同じ十歳です、よろしくおねがいします」
「よろしくチナさん」ラ・カームが話しかけた。
「はい、なんでもお申し付けください」とチナ
「私たちもよろしくね、チナさん」ラァもチナに話しかけた。
「あ、はい、すみません、よろしくおねがいします」チナが緊張しながら話した。
部屋はラ・カームとシュナイゼル、ラァとラナとミルシャと二部屋に分けてあった。
「わー、大きな部屋」ラァは言った。
「うん、大きいよね、王宮の私たちの部屋よりも大きい」とラナ
女性たちの部屋はリビングとベッドルームに分かれており、ベッドルームは十分に広く、ほんのり香水のような香りが漂っていた。
リビングも教室くらいの大きさがあったし、壁に掛けられた絵画や調度品についてもどの時代のものかは分からないが、名品であることは間違いなかった。
「浴室はこちらになります」
女性従業員に案内された浴室もプールほどの大きさがあった。
「これはすごいよねー」ラァが言った。
「うん、すごい・・・」とラナ
「ミルシャ先生、入っていいかな?」
「はい、先にお二方で入ってください。私は待機しております」
「先生も一緒に入ろうよ」ラナが誘う。
「お二方をお護りするのが任務ですので、お気遣いありがとうございます」
「先生、いつもありがとう、私たちがシュナイゼル団長と合流したらゆっくり入ってね」ラナが気を使った。
「ありがとうございます」




