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物語の裏側で  作者: ティラナ
後日談
105/105

アフターストーリー.8 女子トーク?

更新が遅くなって申し訳ない!

あとがきにてちょっとした報告がございます。

 



「さ、どうぞどうぞ」


 フリーダちゃんに促されるまま階段を上ると、現代日本顔負けなほどに綺麗なリビングに繋がっていた。 お店のスペースよりも全体的に明るい雰囲気だ。

 そして、リビングの端にはいくつか扉があって、そこから隣の部屋に繋がっているみたい。 つまり、帰って来たら自分の部屋に行く前に一度リビングを通過するって形。

 自然と家族が顔を合わせる作りになってる。

 そのうちの一つの扉から、フリーダちゃんの部屋に入った。


「オシャレなお部屋ですわね〜」


 ここがフリーダちゃんの部屋かぁ〜。

 普段は現実主義っていうか、サッパリしているようなフリーダちゃんだけど、部屋の中は可愛らしい。 白と水色を基調とした家具が並べられていて、全体として統一感がある。


 雑多な私の部屋とは大違いだ……。

 気に入ったものは部屋の雰囲気とかを考えずに買っちゃうから、チグハグな印象になっちゃうんだよね。

 うぅ……。 これがヒロインの力か。


「ふふ、ありがと」


「あ、そういえばこれ。 つまらないものですが、よろしければ」


 持っていた紙袋から包みに入った箱を取り出す。

 さすがに手ぶらでお邪魔するのは失礼だからね。 私にだってそれくらいの常識はあるんです。


「わざわざいいのに〜。 ありがとね、モニカさん」


「いえ、どういたしまして」


「開けてもいい?」


「もちろんですわ」


「あっ、クッキーだ。 美味しそう」


 中身を見たフリーダちゃんは年相応の女の子らしく目をキラキラと輝かせた。

 中に入っているのは、前世のお中元用とかのものをイメージしたクッキーの詰め合わせ。 厨房に顔を出して、あれこれと指示を出して作ってもらったやつ。

 なかなかの再現度だと思うよ。

 苦労したからね!


「公爵家の料理人に作らせたものなので、お口に合うといいのですが」


「私クッキー好きだからとっても嬉しいよ」


 普段が落ち着いているのに、こういうところでギャップを見せるもんだから周りの人からモテモテになるんだよね。 ………見習って私も何かギャップを作ってみようかな?


 どういうのがいいかなぁ。

 そもそも、私って普通はどんな感じ?

 公爵家のお嬢様だから、庶民的な部分を出してみるとか?

 マイバッグを持ち歩いてみたり、節水を心がけてみたり……。 あ、蓋についたヨーグルトを舐めるとか……!

 ぬぅん……何か違う気がする。




「フリーダ、ちょっといいですか?」


 心の中でウンウンと悩んでいると、扉の外から綺麗なソプラノボイスが聞こえて来た。 声の正体はもちろんミリーさんだ。


「なに、お母さん?」


「お茶とケーキを持ってきたのだけれど、入っても大丈夫ですか?」


 ……いま思ったんだけど、ミリーさんって娘にも敬語なの?

 いや、敬語っていうよりも丁寧語?

 確かに、ゲームの時のミリアリアも常に敬語だったからなぁ。 なんだろう、ミリーさんの口調って聖女さまとかそんな神聖な感じがするよね。


「うん、ありがとう」


 部屋に入って来たミリーさんは、その見た目も聖女さまっぽい。 落ち着いた大人の女性って感じ。

 その手に持つお盆にはティーセットとお皿の上に乗せられたケーキがあった。


「ごめんなさいモニカさん。 あまりいいお茶ではないのだけれど、許してね」


「い、いえ、そんな。 ありがとうございます」


 お茶を淹れてくれるミリーさんの所作はとても自然で、思わず見とれてしまうくらい。

 貴族時代に培ったんだと思うけど、普通お嬢様はお茶を淹れたりしないんですよ……?

 私だって厨房に顔を出してお菓子を作らせてもらうことはあるけど、お茶を淹れたりとかっていうのは使用人の仕事っていうことになってるし。

 ルーデイン公爵家の方針なのかな?


「あとこれ、私の手作りなんですが、よろしければ食べてみてください」


「あ、わざわざありがとうございます。 いただきます」


 ミリーさんが差し出してくれたのは、チョコレートでコーティングされたケーキだった。 いわゆるガトーショコラってやつだと思う。


 美味しそう。

 すごく美味しそうなんだけど、素直に美味しそうって思えない……。

 実は、『君姫1』で確かルイスルートの終盤でミリアリアがケーキに即効性の毒を仕込むってシーンがあるんだよね。 それで持って主人公を亡き者にしようとするんだけど、ルイスに阻まれて失敗。

 毒入りケーキは庭にあった池に投げ捨てられて、死んだ魚が浮かび上がって毒がバレる。 っていう流れだった。


 ……ちなみにその時に作られたケーキがガトーショコラ。

 なんでも、ミリアリアが一番得意で自分自身も一番好きだったらしい。 一番好きなケーキを毒殺に使おうとするあたりに狂気を感じたよなぁ。


 ゲームと現実では違うと分かっていても、ミリーさんは17歳の時からほとんど見た目が変わってないから、どうしても頭をよぎるんだよね。

 でも、食べないというのも失礼にあたるから、恐る恐るケーキを口に運ぶ。


「美味しい……」


 外はパリッとしてて中はふんわり。 甘さも濃厚なんだけどしつこくなくて、次々に食べられちゃいそうな感じ。

 ついでに言うと体に異変もない。 うん、やっぱり毒は入ってないね。


 そうと分かれば、次々にケーキを口に運んでいく。

 うーん、美味しい。


「うふふ、ありがとうございます。 それでは、ゆっくりしていってくださいね」


 ミリーさんは嬉しそうに微笑むと、部屋を後にした。

 うーん、ケーキ美味しい。

 ………あ、もうなくなってしまった。


 もう少し食べたいけど、フリーダちゃんのを貰うわけにもいかないし。 何より、食べ過ぎるとお腹周りが……。



「ねぇ、モニカさん」


「なんでしょうか?」


 コソッとお腹のお肉を摘もうとしていたら、フリーダちゃんに話しかけられた。

 ば、バレてないよね!?


「前から疑問だったんだけど、貴族の娘って普通に家事とかってできるものなの? お母さんは公爵家にいた時に教わったって聞いたんだけど」


 フリーダちゃんも疑問に思っちゃったかぁ。

 まぁ、そうなるよね〜。


「うーん……。 普通ではないと思いますわよ。 私もある程度はできると思いますけど、それでもだいぶ稀でしょうし」


 私が家事ができるのって、前世の影響が大きいからね。

 それでも、お茶の淹れ方も分かるけど上手には淹れられないし、前世みたいにレシピ本とかがないと難しい料理は作れない。

 そうすると、ミリーさんのレベルってだいぶ高いよなぁ。


「やっぱりそうだよね」


 納得したように呟くフリーダちゃん。

 ようやくミリーさんのハイスペックっぷりが分かったのかな。 だったらついでに自分のハイスペックっぷりも理解しておくといいと思うよ。

 貴女は男女含めても最強だし、頭もいいんだから。

 キャロルを含めて名だたる男子が惚れ込むのも納得だよ。

 ……あ、そうだ。



「今度は逆に私の方から質問してもいいかしら?」


「うん、いいよ」


「フリーダさんは、正直なところキャロル様のことをどう思っていますの?」


 見た所ラブラブっぽいけど、付き合ってるってわけでもないみたいだし。

 キャロルは間違いなくフリーダちゃんに惚れ込んでるけど、逆にフリーダちゃんはキャロルのことをどう思ってるのか気になる。


「キャロルのこと?」


「えぇ。 だいぶ仲がよろしいように見えますので」


 ぶっちゃけ私はそのまま付き合ってくれればいいと思ってるよ!

 私は恋の邪魔はしないし、むしろ応援するから!


「キャロルは幼馴染みたいなものだからな〜。 物心付く前から一緒に遊んだりしてたし。 ヴァルもそうだけど、ヴァルは親戚だからね」


 王太子が幼馴染で、公爵家の子息が親戚な庶民出身の主人公ってワケがわからないね!

 いや、その通りなんだけど……。


 さりげなく、ヴァルにチャンスがないのは確定っと。

 親戚───たぶん弟認定だね。

 でもそうすると……。


「その……、恋愛感情のようなものは?」


「そういうのはよく分からないかな。 あの両親を見ている限りだと、キャロルと2人みたいなことをしたいとは思わないし」


「あの2人は普通ではないと思いますけれどね……」


 呆れたように肩を竦めるフリーダちゃん。

 フリーダちゃんがレオさんミリーさんみたいに、キャロルといちゃついてたらビックリするわ。


「まぁね。 でもとりあえず、キャロルに恋愛感情は抱いていないと思うよ。 一緒にいて居心地がいいから一緒にいるって感じかな」


「なるほど……」


 一緒にいて居心地がいい……。

 コレは、付き合うどころか結婚も見えてくるのでは!?



活動報告にも載せたので、すでに読んでくださった方もいらっしゃるかもしれませんが、新連載をスタートしました!

タイトルは『溺愛王子と転生令嬢は平和に暮らしたい』です。

主人公がひたすらヒロインを溺愛しつつ、巨大な陰謀に巻き込まれていくファンタジーバトルラブコメです。


基本的な雰囲気はモノウラと同じです(笑)

よろしければそちらも読んでみてください。

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