表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
船長は恋がしたい  作者: 28号
船長は恋がしたい
12/17

12 前にも見た光景

「で?」

 カインと二人、目の前の鉄格子を眺めながらリードは呟いた。

「気付かなかったんですか? 罠だって」

「……」

「手も縛られて目隠しもされて、腰の剣まで奪われて、どうして気付かなかったんですか?」

「だって、そう言うプレイだって思ったんだもん」

 なにが「だもん」だ、いい年したおっさんの口から聞いたってイライラするだけなんだよ、このカスが。

 と思うだけでなくあえて口にして、リードは目の前の鉄格子を軽く揺する。

 造りは頑丈だ。リードの腕では破ることは難しいだろう。

「ごめんなさい」

 落ち込む船長に、リードも今回だけはそれ以上皮肉を重ねるのをやめた。

「まあ、俺にも落ち度はありましたから」

 そう言い、リードは苦しそうに胸を押さえた。それに、カインが目ざとく気付く。

「お前、顔色が悪いぞ」

「冷えるからですよ」

「違うだろ」

 リードを体を乱暴に抱き寄せると、カインは胸に耳を押し当てる。

「脈が速いし、瞳孔も開いてる。お前まさか、毒を……」

「そこは、俺を罵るところですよ。酒に毒をしこむなんて古典的な罠にも気付かないなんて……」

「阿呆!」

 そう言って、カインは着ていたコートを震えるリードの体にかける。

「いいか、俺が怒ってるのはお前が毒に気付かなかった事じゃない! 毒を喰らっているのにそれを言わないことだ」

 死んだらどうするつもりだと、カインは激怒する。

「今すぐここから出るぞ」

「どうやって…」

「惚れた女のピンチだぞ、脱走ぐらいへでもない」

 カインの言葉にリードが赤くなったことにも気付かぬ勢いで、カインはかぎ爪を鉄格子の鍵穴に突っ込んだ。

 そして右腕に自慢の怪力をこめれば、轟音と共に鉄格子が壁から外れた。と言うか壁ごとはずれた。

「てっきり、鍵開けの技をお持ちなのかと」

「そのつもりだったが意外ともろかった」

 鍵穴からかぎ爪を引き抜き、カインはリードの体を抱きかかえる。

 そのまま外へと飛び出したとき、武装した男が二人の前に立ちはだかった。

「ちょっと待ってな」

 ほんの少し名残惜しそうにリードを優しく降ろし、カインは男と退治する。

 相手が持つのは凶悪な大きさの青龍刀で、男は威嚇をするように、それを振りまわす。

 だがカインは全く動じない。

 そろどころか一瞬の隙をついてカインが動き、そして勝負は決まった。

 抉るようなカインの右ストレートが男の頬骨を粉砕し、青龍刀は出番のないまま床に突き刺さる。

「この勢いで女を押し倒してくれたら」

 リードのつぶやきを五月蠅いと一蹴して、カインは素早く彼女を抱き上げた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ