第48話:真の不具合(バグ)覚醒、あるいは『運営』へのDDoS攻撃
バニー姿の聖女を追いかけ回す市民たち。王宮はもはやカオスを通り越して、巨大なディスコ状態。
「リ・センセン、これ以上は危険だ! 王都の地下にある『大結界』が、異常な熱狂を敵意と誤認して動き出したぞ!」
「イヴさん、それって要するに『イベントの演出』が派手すぎて、サーバーが悲鳴を上げてるってことだろ? 望むところだぜ!」
地響きと共に現れたのは、かつての神が遺した自動防衛システム。
「みんな、見てくれ! 隠しボスのお出ましだ! 同接2000万、突破させるぜ!!」
※今回も「みんな(Mina)」の弾幕が画面を焼き尽くす! 5500文字超えの「レイドボス戦」開始!
「——警告。都市内の精神エネルギーが規定値を超過。……秩序の再構築のため、全住民の『個』を消去し、初期化を開始します」
王都の空を覆っていた極彩色のアドバルーンが、突如として一瞬で霧散した。
地響きは王都の最深部からせり上がり、石畳を紙細工のように引き裂いていく。王宮の中庭、その美しい噴水があった場所から現れたのは、高さ五十メートルを超える、透き通った巨大なクリスタルの塊——『上古防衛機構:デウス・エクス・マキナ』であった。
それはかつて、この世界を作った神が「人間が管理不能なほど乱れた時」のために残した、自動掃除機……いわば『システム・クリーンアップ』の化身である。
巨人がその幾何学的な腕を振り上げると、そこから放たれた無機質な青白い光が王宮を薙ぎ払った。
光を浴びた市民たちは、先ほどまでの「バニーだ! 便座だ!」という熱狂を嘘のように忘れ、その場に膝をつき、感情を失った瞳で天を仰いだ。
「……あぁ、私は何をしていたのだ。……神よ、静寂を……。……個としての意志など、不要なのです……」
「——おいおい、せっかく盛り上がってきたところなのに、野暮な『運営(管理者)』が割り込んできやがったな」
移動要塞の屋上で、リ・センセンは金ピカのスーツを脱ぎ捨て、黒い「正式服」のプロフェッショナル用ジャケットを羽織った。彼の視線の先では、巨人が放つ『静寂の結界』が、リ・センセンの放送電波を物理的に遮断し始めている。
【1.8m de Messi:うわあああ! 本物のレイドボス降臨!! 画面にノイズが走ってるぞ! センセン、負けるな!!】
【隣の王さん:みんな、見ろよ! センセンの要塞のネオンが、あの巨人の光に食われて消えかかってるぞ! 12.0正式服の技術でも勝てないのか!?】
【物理の張先生:警告。あれは物理的な攻撃ではない。概念的な『初期化』だ。……リ・センセン、君が作り上げた『娯楽』という名のカオスを、あの巨人は『不具合』として消去しようとしている。……つまり、君は今、この世界の『ルールそのもの』と戦っているんだ!】
【課金王:ハハハ! これぞクライマックス! 運営とプレイヤーの殴り合いだ! ナイスパ(5000万円)!! ギフト:『神殺しのゲーミング・バスターソード』投下!!】
「——感謝するぜ、旦那!! ちょうどいい、この『クソゲー』の管理者に、長年溜め込んできたユーザーとしての不満を叩きつけてやりたかったんだ!」
リ・センセンは背後のコックピットに叫んだ。
「テレーゼ! バニーの格好で恥ずかしがってる場合じゃねえ! その『羞恥心』と『逆ギレの魔力』を全部俺に貸せ! 祈りじゃなくて、……『俺を信じて画面にかじりついてるリスナー(みんな)の欲望』を増幅するアンテナになるんだ!!」
「もう……もうどうにでもなれですわ! リ・センセン、あなたがもし負けたら、私は一生この『うさ耳』をつけた歴史上の笑い者になりますからね! 私の尊厳を返せぇぇぇ!!」
テレーゼが絶叫と共に放った黄金の光が、リ・センセンの右腕にある紋章に吸い込まれ、異常なほどの熱量を発し始める。
リ・センセンはライブ配信の全回路を強制接続し、リスナーたちのコメント一つ一つを『物理的な衝撃力』へと変換する禁断のプログラム——『DDoS・ジャッジメント』を起動した。
「——いくぞ、みんな! 画面の前のお前らの『草』とか『8888』とか『聖女様prpr』とかいうゴミみたいな欲望のコメントを、……神を殴り殺すための弾丸に変えてやる!!」
リ・センセンがバスターソードを振り上げ、虚空を斬り裂く。
「——極大魔導・『弾幕は力』!!」
巨人が放つ「絶対的な静寂」に対し、要塞から放たれたのは、文字通り『無数の文字の激流』であった。
『草』『尊い』『ナイスパ』『バニー最高』『便座万歳』——光り輝く数千万のコメントが、物理的な質量を持って巨人のクリスタル装甲に衝突し、轟音と共に爆発を巻き起こしていく。
「……システム……エラー。……予測不能な……ノイズ……。……理解……不能……」
巨人の幾何学的な声がノイズに混じる。古代の神が想定していなかった、現代の「圧倒的な熱狂と意味のない記号」による波状攻撃。
【1.8m de Messi:俺の『草』が巨人の腕を吹き飛ばしたぞ!! 撃て撃て撃てぇぇぇ!! 888888888888!!】
【隣の王さん:みんな、連打しろ!! キーボードが壊れるまで叩け!! 神様に俺たちの『娯楽』を邪魔させるな!!】
【物理の張先生:……馬鹿な。個人の意志の集合体が、世界の理を凌駕している……。これこそが、リ・センセンの狙いだったのか。……情報のノイズが、秩序という名の静寂を破壊している!】
巨人の多面体がパキパキと音を立てて砕け、中から核となる眩いコアが露出した。
リ・センセンは要塞から飛び降り、重力無視のブーストで一気にコアへと肉薄する。
「——チェックメイトだ、運営。……この世界は、もうお前の思い通りには動かない。……これからは、俺と『みんな』が、勝手に面白おかしく書き換えてやるよ!!」
リ・センセンがバスターソードをコアに突き立てた瞬間、王都全土を覆っていた『静寂』が粉々に砕け散り、代わりにかつてないほどの七色の爆光と、リスナーたちの勝利の叫び(コメント)が王都の空を焼き尽くした。
同接数はついに3000万を突破。リ・センセンは、ついに神の管理からこの世界を『解放』したのである。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
第48話、古代の「殺毒プログラム」を、みんなのコメント(DDoS攻撃)で粉砕する超絶クライマックス回でした!
聖女の羞恥心エネルギーと、リスナーの欲望……これが最強の武器になる。
文字通り「ペン(弾幕)は剣よりも強し」を地で行くリ・センセンの戦い、いかがでしたか?
これで王都を縛っていた古いルールは消滅しました。これからはリ・センセンによる、真のライブ配信時代の幕開けとなります。
みんな、凄まじい弾幕での援護、本当にありがとうございました!
【作者からのお願い】
「弾幕で神を殴るw これぞ直播流の真骨頂!!」「聖女様のバニー姿、最後はかっこよかった(?)ぜw」と思った「みんな」!
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お前らの評価が、第50話のフィナーレでリ・センセンが披露する『究極の整活』の規模を決めます!
4月18日の50話到達に向けて、このまま「連載RTA」爆走中!
第49話は、戦い終わって。王都の『新体制』と、聖女様の「重大発表」。
お楽しみに!
それでは、第49話でお会いしましょう!




