第45話:王都パニック、あるいは『大型ビジョン』による文化侵略
王都の至る所に設置された巨大モニター。それは平和の証ではなく、リ・センセンによる『精神支配』の始まりでした。
「リ・センセン、王都の民たちが仕事を放り出してモニターの前に集まっているぞ! 経済が止まってしまう!」
「イヴさん、これからは『娯楽』こそが最大の経済なんだよ。みんな、準備はいいか? 記念すべき王都初放送のメインコンテンツを発表するぜ!」
聖女テレーゼによる『王都のグルメレポ』、そして禁忌騎士たちによる『全力ダンス』。
王国の常識が、ピクセルと音圧によって粉々に粉砕されます!
※今回も「みんな」の弾幕が光の速さで流れる! 3600文字超えの「洗脳回」をお届けします!
「——あー、テステス。王都のリスナーのみんな、聞こえるか? 今日からこの『リ・センセン・チャンネル』が、お前らの退屈な日常をアップデートしてやるぜ!」
王都中央広場。かつては聖騎士の凱旋や処刑が行われていた神聖な場所に、突如として出現した二十メートル四方の巨大液晶モニター。そこから放たれる圧倒的な光量と、リ・センセンの軽快な声が、石造りの街並みに響き渡った。
「な、なんだこれは……。空に浮かぶ鏡の中に、リ・センセンが映っているぞ!」
「見ろ! 聖女様だ! 聖女様が、……あんなに短いスカートを履いて、……何かを食べている!?」
モニターの中で、聖女テレーゼはリ・センセン特製の『超激辛・魔界ラーメン』を前に、涙目で悶絶していた。
「……はふぅ、……ひ、ひぃ……っ。リ、リ・センセン……舌が、舌が燃えていますわ! これが……これが本当に、王都の民に元気を与える『聖なる儀式』なのですか……?」
「儀式じゃねえよ、『激辛チャレンジ』だよ! ほらテレーゼ、みんなが『ナイスパ』でお前の火を消すための『聖なる牛乳』を投げ銭してくれてるぞ。……目標金額まであと少しだ、頑張れ!」
【1.8m de Messi:8888888888!! 聖女様が真っ赤だぞwww 萌え死ぬwww】
【隣の王さん:みんな、見ろよ! 王都の広場の奴ら、口を開けて呆然としてるぞww センセン、カメラを王都側に切り替えてくれ!】
【物理の張先生:……興味深い。リ・センセン、君は情報の非対称性を利用して、王都の民の『美意識』を強制的に上書きしているな。……このままでは、彼らの信仰対象が『神』から『コンテンツ』へと変質するぞ】
【課金王:ハハハ! 聖女が鼻水をすすりながらラーメンを食う姿に、ナイスパ100万! みんな、もっと煽れ!!】
「感謝するぜ、みんな! ……さて、王都のリスナー共。お前らが信じてきた聖女様は、今、俺の横でラーメンの汁を法衣に飛ばしながら必死に生きてる。……どっちが『親しみやすい』か、一目瞭然だよな?」
リ・センセンがコンソールを操作すると、画面は二分割された。
左側には、激辛に苦しむ等身大のテレーゼ。
右側には、リ・センセンの強制労働契約を結ばされた禁忌騎士たちが、なぜかピンクのフリル付きエプロンを着用し、リズムに合わせて『オタ芸』を披露している映像だ。
「ぐ……おぉぉ! 神よ、私をお許しください! ……そーれ、ハイ! ハイ! ハイハイハイハイ!!」
かつての教会の暗殺者たちが、死んだ魚のような目で完璧なキレのダンスを見せる。その背景には、ド派手な「666」や「草」という文字がエフェクトとして飛び交っている。
「……嘘だろ。あの禁忌騎士のハンス様が、……あんなに楽しそうに踊っているなんて……」
「聖女様も、……あんなに美味しそうに(?)ラーメンを……。教会で聞く説教より、こっちの方がずっと『生きてる』感じがするぞ……」
一人、また一人と、王都の住人たちが膝をつき、祈るのではなく、モニターに向かって「いいね」のジェスチャーを送り始めた。リ・センセンが事前にバラまいた『魔導タブレット(受信専用)』を持つ若者たちは、すでにチャット欄に「聖女様かわいい」「騎士団ワロタ」と書き込みを始めている。
「リ・センセン……。見てください。……王都の人々が、私を見て……笑っています。……私が神の奇跡を見せていた時は、みんな震えて跪くだけだったのに……。……これは、……これは本当に『罪』なのでしょうか?」
テレーゼが、ラーメンのスープで汚れた口元を拭いながら、モニター越しの民衆を見つめる。
リ・センセンはサングラスを外し、その冷徹だがどこか楽しげな瞳で彼女を見返した。
「テレーゼ、みんなが求めてるのは『完璧な神』じゃない。……一緒に笑える『隣のアイドル』なんだよ。……お前が人間らしくなればなるほど、この国の信仰は俺の思い通りに書き換わる」
「……貴様は、本当に……、恐ろしい男だ。……だが、……この牛乳、……美味しいですわ(ゴクリ)」
テレーゼがスパチャで解禁された『聖なる牛乳(ただの特濃ミルク)』を飲み干すと、同接はついに1000万を突破。王都中の教会が、その瞬間、静まり返った。祈りを捧げる者が一人もいなくなったからだ。
「——よし、みんな! 次のコーナーは……『王城にドローンで突撃! 国王陛下の寝顔を晒してみた』だぜ!! 準備はいいか!?」
【1.8m de Messi:ガチの放送事故キターーー!! 888888!!】
【隣の王さん:みんな、これは歴史の教科書に載るぞww センセン、捕まる前に全部見せてくれ!!】
【課金王:ハハハ! 王様のプライバシーを買い取るぜ! ナイスパ!!】
リ・センセンの指先一つで、王国の権威がピクセル単位で崩壊していく。
王都は今、未曾有の「エンタメ・パニック」に包まれていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
第45話、王都全域を「ライブ会場」に変え、聖女と禁忌騎士をネタにする回でした!
リ・センセンの『文化侵略』、もはや軍隊を出すより効率的ですね(笑)。
聖女様の激辛チャレンジに、禁忌騎士のオタ芸……。
王国の尊厳が、リスナーのナイスパによってどんどん削られていきます。
みんな、テレーゼ様への牛乳ありがとうございました!
【作者からのお願い】
「聖女様の激辛顔、尊いww」「国王の寝顔配信、全裸待機だわw」と思った「みんな」!
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4月18日の50話到達に向けて、このまま「連載RTA」爆走中!
第46話は、王都パニックの頂点。国王陛下、ついにライブ出演(強制)!?
お楽しみに!
それでは、第46話でお会いしましょう!




