第21話:不時着、そこは魔物のバイキング会場でした。
【悲報】植物ヘリ、墜落。
王都を脱出し、自由の空へ……と思ったのも束の間。不時着した先は、人間を拒む『静寂の密林』のど真ん中でした。
「おい主播、最高の『映え』ポイントだぞ! 早く戦えw」
「無茶言うな! 墜落の衝撃で全身筋肉痛なんだよ!!」
新简介、新章、そして死ぬ気の連載。4月18日の50話到達に向けて、一歩も引きません!
「……い、生きてるか? イヴさん……返事をしてくれ、頼む……」
視界がチカチカする。頭を強く打ったのか、それとも魔力を絞り出しすぎた反動か。
俺の視界は、ひっくり返った『グリーン・ホーク』の蔦の隙間から漏れる、薄暗い緑色の光に支配されていた。
王都を脱出する際に全エネルギーを注ぎ込んだ植物ヘリは、もはやただの「絡まった巨大なゴミ」と化し、この『静寂の密林』の巨大なシダ植物の上に激突したのだ。
「……死ぬかと思ったぞ。貴様の『植物ヘリ』とやらは、着陸の概念がないのか? 肺が潰れるかと思った……」
蔦の残骸を跳ね除け、イヴが這い出してきた。
彼女の美しい漆黒の肌には、あちこちに擦り傷があり、自慢の装備もボロボロだ。だが、その瞳にはまだ鋭い光が宿っている。
俺は彼女の無事を確認して安堵の息を漏らしたが、直後、全身を襲った激痛に「ぎゃっ!」と情けない声を上げた。
「……あ、足が、腹筋が……っ! 千切れる、マジで千切れる!!」
墜落の瞬間、俺はイヴの体重を支えながら、衝撃を逃がすために無理な体勢で踏ん張った。その代償として、俺の大腿四頭筋と腹直筋は、今まさに「限界突破した筋肉痛」という名の地獄に叩き落とされている。一ミリ動くたびに、まるで数千本の針で刺されているような感覚だ。
「くそ……換金率がゴミじゃなければ、今頃最高級のポーションで完治させてるってのに……!」
俺は震える手でドローンカメラを再起動した。
レンズが自動で結露を拭き取り、鬱蒼と生い茂る巨大樹の森を映し出す。ここは『静寂の密林』。王都から南に約50キロ、人間が足を踏み入れることを許されない、通称『人呑みの森』のど真ん中だ。
【1.8mのメッシ:うわあ、マジで落ちたww 大丈夫か主播? 画面が揺れすぎて酔いそうなんだが】
【隣の王さん:見てみろよ今の顔、絶望に染まってて最高に『映え』てるぞ! 筋肉痛で顔が引き攣ってるのが4Kでバッチリだww】
【物理の張先生:座標計算終了。森森、悪いことは言わない。その位置は非常に危険だ。地上の魔力反応がさっきから指数関数的に上昇している。今すぐ木の上に登れ!】
【課金王:生きてたか! 500基のロケット、使い切った甲斐があったな。ほらよ、祝杯の代わりに『お見舞いパン』10個だ。これで空腹を満たして戦え!】
「『お見舞いパン』10個……! ありがとうございます、課金王さん……でも、今の俺に必要なのはパンよりサロンパスなんだよ! 湿布! 誰か湿布を投げ銭してくれ!」
俺が画面越しに絶叫した、その時だった。
ガサッ……ガサガサッ!!
周囲の、高さ五メートルを超える巨大なシダの葉が大きく揺れた。
不気味なほどの低いうなり声が、全方位から響き渡り、空気が一気に冷え切る。
現れたのは、体長三メートルを超える**『剛毛イノシシ(アイアン・ブリストル)』**の群れだ。
その巨体は鋼鉄のように硬い剛毛に覆われ、着地の音を聞きつけて集まってきた「獲物」——つまり俺たちを、飢えた瞳で見据えている。
「……森森。筋肉痛だなんだと言っている場合じゃなさそうだぞ。来るぞ」
イヴが折れかけた重剣を抜き放ち、低く身を構える。
だが、その手もかすかに震えているのが分かった。王都での連戦、そして墜落のダメージ。彼女だって限界なのだ。
「おい配信者、今の逃げ腰ダサすぎww さっさとそのバキバキの腹筋(笑)でタックルしてこいよ!」
「シャラップ! こっちは筋肉痛なんだよ! 筋肉痛の時に三メートルのイノシシと相撲取れるやつがいたら連れてこい! そもそも換金率がゴミすぎて武器も買えねえんだよ!!」
俺は叫びながらも、必死にシステム画面をスワイプした。
エネルギー残量は風前の灯火。だが、リスナーたちが「煽り」ながらも、画面いっぱいに投げ続けてくれる少額のギフト——その熱量が、俺の右手の紋章に微かな、だが確かな熱を宿らせる。
「……イヴさん、正面の三頭を受け流してください。……俺が、地面から『罠』を芽吹かせます。……足が動かなくても、手さえ動けば……!」
「できるのか? お前の魔力は底をついているはずだが」
「……根性ですよ。……あと、視聴者にバカにされたまま死ぬのは、配信者として一番『ダサい』ですからね!」
俺は震える膝を無理やり叩き、一歩前へ踏み出した。
大腿四頭筋が激しく痙攣し、意識が飛びそうになる。だが、その痛みこそが今、俺がここで生きている証だ。
「……芽吹け、食人蔦!! 換金率はゴミでも、俺の意地は安売りしねえ!!」
俺が地面に拳を叩きつけた瞬間、イノシシたちの足元から、棘だらけの蔦が爆発的な速度で、蛇のように鎌首をもたげた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
新章・密林サバイバル編、ついに開幕です!
王都の華やかな(?)逃走劇から一転、今度は本気の「食うか食われるか」の底层生活が始まりました。
今回、森森が対峙したのは、新章一発目の魔物『剛毛イノシシ』。
普通なら魔法でドカンと倒したいところですが、今の彼にあるのは、ボロボロの肉体と、画面越しのリスナーからの「煽り」だけ。
「筋肉痛なんだよ!」という彼の叫びは、全人類のトレーニーたちの代弁でもあります(笑)。
そんな状態で、彼はどうやってこのバイキング会場(地獄)を切り抜けるのか?
【4月18日に向けた死ぬ気の挑戦】
ここから4月18日まで、一瞬も止まらずに更新を続けます!
森森の筋肉が千切れるのが先か、それとも作者の指が動かなくなるのが先か……。
「配信者、頑張れw」「イヴさんとの密室サバイバル、期待!」と思ってくださった方は、ぜひ評価(★★★★★)とブックマークで、森森の「筋肉痛緩和剤」になるポイントを恵んでください!
それでは、第二十二話でお会いしましょう!




