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TCG販促アニメでどう足掻いても敵役の私が開き直って悪役RPをエンジョイするお話  作者: 木津 吉木
シーズン1ー崩壊編ー

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39/55

「黙ってないで答えて!」/「怒りました?」

あのおじさんが急に移動したのが怪しくて後をつけていったアタシ、百火(ヒャッカ)翠子(ミドリコ)さんの三人。

真っ直ぐにどこかに向かう足取りから、やっぱりあのおじさんは二人の行方を知ってるのだと確信したわ。



「二人とも、大人の人呼んだ方が良くねぇっぺ……?」


「呼んでる間に見失ったらやべぇじゃん!」


「それに、怪しいだけで証拠が無いから……取り合ってくれないわよきっと」



アタシ達の言葉に『それもそうかも知んねぇけんども……』と言ってからモジモジと何かをしてる翠子(ミドリコ)さん。

その間にも歩いていくおじさんを追い掛けるアタシ達は近所の雑木林に入っていく姿を見た。



「アレってお化け林よね……」


「お化け林って何っぺ……?」


「昔さ、ここですんごい事件が起きたんだけど……その時の犠牲者の人の声がたまに聞こえるーとか言われてるからお化け林って言われてるんだよ」


「お化け……お、おっかねぇっぺ……」



ぷるぷる震えてる翠子(ミドリコ)さんを宥めて、アタシ達はお化け林に足を踏み入れた。



「──【焦土天機(カラミティ)ケルビム】の効果発動。《《全て》》の相手のターンカウンターを一つ取り除き、その数だけ《《全て》》の相手プレイヤーにダメージを与える」



最初に感じたのは熱気。そして閃光が走ったかと思うと爆発が起きて何人もの悲鳴が聞こえた。

機械で造られた天使を何体も引き連れて、おじさんが攻撃を指示していた。

辺り一帯は火の海で、前に京都で起きた変な空間を思い出す。



「あのおっさんのせいか……やい、おっさん!!」


「新手か……む?何故お前たちがここに……危ないから帰りなさい」



危ないからって……おじさんがその天使(?)で火を付けたんじゃないの?

でも心配そうなその目は多分、嘘じゃない……悪い人じゃなさそうな気がするわ。



「ユギトさんのおっとうがやったんじゃないっぺ……?」


「……襲ってきたのは向こうだ。この火の異界は私が作ったものじゃない」


「でもめちゃくちゃやってたじゃん……そのモンスターが目からビーム出して、爆発させてたの見てたぜ俺」



おじさんは無言で目を逸らしている……ちょっとやったのね。



「おじさん、一つ聞かせて?ここにユギトさんとレジーナがいるのよね??」


「………………」


「黙ってないで答えて!目線も逸らさないで!!」


「なんだかんだ言ってユギトさんの事も、レジーナちゃんの事も、大好きだからめちゃくちゃ突っかかってるっぺな、水兎(ミト)ちゃん」


「ツンデレだぜ、ツンデレ」


「そこ!!聞こえてるわ!!」



ツンデレって何よ!ツンツンしてる自覚はあるけどデレてるつもりはないわ。



「レジーナという子は分からないが、優義徒(ユギト)はここにいる筈だ……」



ようやく口を開いたおじさんはそれだけを言うと、アタシ達の方を見た。



「……もう一度言う、早く帰りなさい。両親が心配する筈だ」


「二人も友達がいなくなったのに大人しく帰れっかよ!」


「二人……?まさか優義徒(ユギト)も友達だと言うのか?」


「そうだよ、悪いのかよおっさん」


「…………あの子に、友達か」



遠くを見るような目でしみじみと言う姿にアタシ達三人は揃って首を傾げる……表向きは性格良さそうなんだからユギトさんに友達の一人や二人いるでしょう?



「だが、友達だとしても危険に飛び込むのは感心出来ない。早く帰っ!」



すごい勢いで何かがおじさんに向かって飛び掛かる……アレは、銀髪のモンスター?



「アレって黒鉄(クロガネ)のモンスター!!」



そのまま火の海のどこかに連れ去られていくのをアタシ達は止める事は出来なかった。



百火(ヒャッカ)くん、あのモンスター知ってるっぺ……?」


「……多分だけど、前に俺が戦った闇のサモナーのモンスターだと思う」


「て事は……攫われたの三人目ぇ!?」



どうなってるのよ……しかもその内二人が大人だし!!



「どうしようっぺ……やっぱり、このまま帰って大人の人待った方が良くないっぺ?」


「待てねぇよ!それに、こんな火の海の中で捕まってる奴らが心配だし……行こうぜ!!」


「ま、待ってっぺ〜!!」



ずんずんと進んでいく百火(ヒャッカ)を追い掛ける翠子(ミドリコ)さん……って、待って!!



百火(ヒャッカ)!一人で行っちゃダメよ!!」



急いで追い掛けるアタシ、ここで一人になるのは絶対まずいんだから!!



ーーーーー


頭が重い……体も痺れていて目覚めは最悪でした。胴体を鎖か何かで雁字搦めにされて吊り上げられ腕は後ろ手に縛られていて、目隠しをされているのか視界は真っ暗です。足もつま先が届くか届かないかという感じで非常に苦しい……

縛り上げられている腕を解こうともがいていると声を掛けられました。



「ハロハロ〜?オきたみてぇじゃン。テーザーガン当てたけどダイジョウブカ?これナンボンに見えル?見えるワケねぇかーメカクシしてるしナァ、ギャハハハ!」



……不愉快な声でした。

どこか聞き覚えのある笑い声が近づいたかと思うと、額にペタりと何かが貼られた感覚がありました。



「ンー……まだムリかやっぱ。ンじゃ、オレのヨージおーしまい!アトはスきにしなァ〜」



声の持ち主が離れて行きました……正直、ホッとしました。妙にあの声を聞くと苛ついてメッキが剥がれそうになります。

続けて重たい何かを引きずる音と別の足音が近づいてきました。



「随分と良い姿になっていますね"白掟(ハクジョウ)"大司教」


「その声は……助餅(すけべい)大司教?」


「元、だがね?」



ほんの少しの悪意が声から滲んでいました。

風を切る音と共に硬い何かに腕を殴られました。

最初に感じたのは衝撃、それからミシりと体内から響いた音が痛みと共に駆け上ります。悲鳴は噛み殺しました……まだ近くにいるであろう彼に聞かせるのが癪に障るからです。



「っっ……!!」


「チッ……骨を折るつもりだったが頑丈な体だ。これなら、どうだ!!」



振るわれる硬い何か。今度は肩目掛けて振り下ろされたようで、耳障りな音と共に吊り下げているであろう鎖に崩れ落ちそうな体が無理やり引っ張られて胴体が締まります。

息苦しさに喘ぐように口が開いてうめき声が漏れました。

それに気を良くしたのか今度は何度も何度も乱雑に何かが私にぶつけられます。一回一回は思ったより痛みは無くても、衝撃が酷くてそれに揺さぶられる頭がくらくらします。



「はは、良いざまじゃあないか……お前のせいで、私は大司教ではなくなった……この私がだぞ?お前なんかに……お前のような《《死体》》に!!」


「……した、い?」


「死体だよ、十年前の事件でこの旧鏡富市教会は焼けたがその時に二人犠牲者が出たんだよ。一人はお前の母親、白掟(ハクジョウ)美禍(ミカ)……もう一人は瑪瑙(メノウ)唯純(イズミ)という少年だったが……違うのだよ」



瑪瑙(メノウ)唯純(イズミ)という名前には聞き覚えがありました。前にジュンくんが挙げていた名前です……でも、母親だという人の名前には私は聞き覚えはありませんでした。



「巧妙に隠されていたが、本当はあの時に焼死したのは瑪瑙(メノウ)唯純(イズミ)では無く白掟(ハクジョウ)優義徒(ユギト)、キミなんだよ!!」


「…………は?」



とんでもない事を言われましたが……理解が追いつきませんでした。

だってそうでしょう?いきなり、お前は死んでいると言われても……ならば、ここで生きている私は何だという事になります。



「もし……その通りだとすれば、ここにいる私は何なのです?」


「《《神の入れ物》》さ!適正のある死んだばかりの肉体、そして器無き神の魂とも呼べるもの……お前の父親は随分と酷い事をしたようだね?実の子供を殺して、神の入れ物にしたのだから!!」



神……ですか。でも何だかしっくり来ませんね。

頭の奥がすぅと冷えていく感覚がします。

順序が違いますね、助米さん。



「違いますよ……《《入れ物になったから、父は私を殺したのです》》。その後に蘇らせようとしたけども……とうに中身は入れ替わっていたのですから、蘇っても私がそのまま帰ってくるだけでしたがね」



父と軽い口喧嘩をした時と同じように言葉がするすると出てきます。

妙に冷静な中身と違い、今表に出ている"私"は愉しそうに口角を釣り上げています。



「アハハハ、半端な知識で私を語ってそれで揺さぶったつもりです?残念!腹抱えて笑っちゃいますねー!!」


「っ!!」


「怒りました?怒りましたよねー!?それで、そのバールみたいなモノで私を殴ると?感情に任せてー?ハハハハァ!!この器壊して困るのそっちなのに面白いですよねぇ!」



ずるりと自分の影が蠢いた気がしました。

鋭いソレは私を吊り下げていた鎖を、腕の拘束を、目隠しを全て肌に傷一つ付けずに切り裂きました。

目の前には先端が曲がった鉄の棒……"私"が言うならバールを持った助米元大司教が目を見開いて腰を抜かしたのか地面に座り込んでいました。



「な……な……!?」


「なー?何が言いたいのです?ほら、言って下さいよ、面白い事を」


「この、バケモノめ!!」



投げつけられたバールを背後のナニかが弾き飛ばしました。

そして、冷めた表情となった"私"が彼を見下ろします。



「面白くないです、つまらないのは嫌いなので……貴方はもう要らない」



おもちゃでも投げ捨てるかのように、背後のナニかが助米元大司教を薙ぎ払い、壁へと叩きつけました。

ずるずるとそのまま地面に崩れ落ちる彼が酷く哀れで愉快でした。



「んー……さて、どうしましょうか」



いつの間にか、私の意思で言葉が話せるようになっていましたが……本当にこれからどうしましょう?取り敢えず……部屋から出てみますか。




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