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TCG販促アニメでどう足掻いても敵役の私が開き直って悪役RPをエンジョイするお話  作者: 木津 吉木
劇場版【ドレッドギアス】ー奇跡の融合竜カルラー

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「必要な犠牲だったと思いますよ」

京都旅行……と呼べる程の観光はしていませんがとても楽しかったです。

特にヒャッカ少年との一戦……本当に良かったですよ。主人公という存在が放つキラキラした輝きはまさに主役に相応しいもので…………数週間経った今でも、思い返すだけで妙な笑い声が止まりません。



『召喚者ーおーい、帰ってこーい』



自室でだけ思い返すようにしているのですが、それでもしばらく私が笑い続けていると【ルシフェリオン】が姿を見せて私の頭をペシペシ叩いてきます。

手加減されているから痛くはありませんが……楽しかった思い出に浸っている時間を中断させられるのは少し、いえかなり腹が立ちます。



「……【ルシフェリオン】、やめて下さいよそれ」


『気味の悪い笑い声をあげてるお前が悪い……他の者に見られたら即座にまた病院に担ぎ込まれるぞ』



あの後、ホテルに戻ってからは完全に誰に何を言っても外に出す事を許されませんでした。

さらに、鏡富市に着いてからは他の神父やシスター達に担がれて惹琴(マネゴト)総合病院に運ばれ、そこで入院する羽目になりました……出血は止まっていたのに。

カタルさんにこんこんと説教されるも、何とか拝み倒して父への報告は止めてもらいました……父は怒ったらきっと怖いですから。

やっと退院出来たのが三日前……勤めである礼拝も一時止めていたので、再開した時は珍しく信者の皆さんが私に心配の言葉を掛けて来ました。



「もう入院は勘弁ですよ、暇ですし食事もあんまりですし……」


『自業自得だ……守り切れなかった私にも責任は少しあるがな』



落ち込んだ雰囲気のまま姿を消す【ルシフェリオン】

執務室に溜まっていた書類の処理を昨日終えたので今日は久しぶりのフリーとなります。

となれば行く場所は一つしかありません……日曜日ですし、彼らも恐らくはいる事でしょう。

自室を出た私を出迎えたのはレイカ嬢でした。



白掟(ハクジョウ)様!どこに向かわれるのですか……?」


「私用です。私の方は一人で問題ありませんので……そうですね、ジュンくんの手伝いをして下さい」



すたすたと歩いていく私に小さく『あっ……』とレイカ嬢の追い縋ろうとする声が聞こえましたが敢えて、聞こえないふりをしました。

あの日に、レイカ嬢にもジュンくんからの連絡が届いて鈴鹿からUターンしてきたそうです。

その道中で走っているヒャッカ少年に遭遇し、うっかり私の名を口走って彼に一緒に連れて行ってくれと頼まれたそうです。



『アイツ……白掟(ハクジョウ)様の事を友達って言ってたんすよ。本当に悪者なのか確かめたいんだーって……乗せなきゃ離れねぇってしがみついてくるし……それに、すっげぇ真っ直ぐな目だったから連れて行ってしまったっす……すんません白掟(ハクジョウ)様』



タクミくんがギャンギャン怒っていましたが、私はその行いを許しました。

緑の英雄を手に入れる事は出来ませんでしたが、とても楽しい時間を過ごせました……それだけで十分に功罪は大きく、罰は帳消しとしても良かったのですが、本人がどうしてもと言うので暫くは素っ気ない態度を取ることにしました。

それだけ……?と思う方もいるかもしれませんが、彼女からすればそれがかなり堪える罰なのです。



「……明日には、いつも通り接してあげましょうかね」



ミラージュに向かう道中でそう呟けば、イメージの中のレイカ嬢はぱぁっと明るい顔になりました。

日曜日という事で店内はいつもよりも賑やかでした。ファイトスペースを見ればミト嬢と久しぶりに顔を見たソコロワ嬢がテーブルファイトをしていました。

それを観戦しているヒャッカ少年とマイバラ嬢……中々白熱しているようで、私が近づいても四人とも気が付きませんね。



「【ティターニア】で【ハルカゼ】に攻撃!!」


「なんの!ここでスペルカード発動であります!」


「やってますねー、お久しぶりです皆さん」


「「!!??」」



のんびりと私が声を掛ければすごい勢いで振り返ってくるヒャッカ少年とミト嬢にニコニコと笑顔を見せるも警戒されています。

ソコロワ嬢も微妙に警戒していますし……マイバラ嬢は困った顔をしていて疎外感に苛まされますが、まあ身から出た錆なので仕方ないですよね。



「アンタ……なんでここに!?」


「なんでって……ここが私のホームですし、皆さんと遊びたいなー……なんて」



三人からの視線が痛い程に突き刺さります……マイバラ嬢だけが癒し、いや待って下さい。ミト嬢の後ろにこっそり隠れていますよ!?一番それがショック大きいですよマイバラ嬢……

ミト嬢とソコロワ嬢のファイトは中断し、休憩スペースに移動もとい連行された私は両サイドをミト嬢とソコロワ嬢に挟まれてヒャッカ少年からの詰問に受けて立つことになりました。



「……しばらく見なかったけど、大丈夫だったのかよ」


「ええ、少し入院しましたがもう大丈夫ですよ」


「それは……ごめん、あんな事になるなんて思わなかったから」


「いえいえ、ヒャッカ少年は悪くないのです……それにアレはとても楽しい、至福の時間でしたよ……ふ、ふふふ、フヒヒヒ…」



また口角が上がりそうになり、手で抑えても笑い声が少し漏れてしまいました。



「イケナイ物を見てる感じだっぺな……」


「人の趣味に口は挟みたくないけどこれは……」


「うわぁ……」


「……変態じゃん」



マイバラ嬢、ミト嬢、ソコロワ嬢の冷たい視線にヒャッカ少年の言葉がトドメとなりました。

机に倒れ伏した私に、ソコロワ嬢が気を取り直して話を続けます。



「同志百火(ヒャッカ)から話は聞いていたので、経歴を少し調べさせてもらったであります」


「経歴ですか……聞かれれば答えましたよ?」


「黙ってるであります……白掟(ハクジョウ)優義徒(ユギト)神聖制約教団(ホーリーギアス)の旧鏡富支部長、現日本支部長である白掟(ハクジョウ)裁刃徒(サバト)の一人息子。学歴は……無かったでありますが、これは?」


「家庭教師がいましたし、神聖制約教団(ホーリーギアス)の教えを覚え、大司教となるべき教育を受けていましたので……学校に通う暇は無かったですね」


「つまり、学歴無しと……」



『そうなりますね』と頷けば、どこか同情的な視線を向けられます……解せませんね。



「十年前に起きた旧鏡富市神聖制約教団(ホーリーギアス)教会の火災事故に巻き込まれ、一時意識不明の重体となるも生還……この事故については原因は火の不始末との事でありますな」


「……ふむ」



《《記憶に全くありませんが》》ジュンくんの言っていた十年前の事件とはこれの事でしょうか……意識不明の重体になったからその時の記憶があやふやなのでしょう。多分。



「その後は父親が日本支部長となった際に空いた鏡富支部長の座を受け継いだ……合ってるでありますか?」


「ええ、その際に大司教としての地位も頂きました……勤めとして今は日に二度の祈りを捧げています」



後は細々した書類作業もありますが、それは言わなくてもいいでしょう。

どうやら私の経歴を言う時間は終わったようなのでここからが本題でしょうね。



「アンタは……なんで辻ファイトなんて命令したんだよ」


「危険なカードを見つけ出して、処理する為ですよ……例えばそう、ヒャッカ少年の持つ【クリカラ】、ですね」


「しかし怪我人が出ているのは看過できないでありますよ!」



警察組織に所属しているソコロワ嬢としては、別組織である神聖制約教団(ホーリーギアス)がそのような事を行っている事よりも、怪我人が出ているという所を注目しているようですね……それに対してのカバーストーリーは出来ています。



「全てが全て、ウチの仕業と思わないでもらえますか?恐怖連合(ダークアライアンス)の人間……以前、このショップを襲った彼のような人間が辻ファイトを仕掛けて怪我人を出したのでしょう……あちらもこちらも、認識阻害を掛けていた為にごっちゃになっていると思いませんか?」


「しかし……!」


「疑うならば明確な証拠を出して下さいよ、それでもIGPの捜査官ですか?」



もちろん、証拠は残っていません……"ギアスディスク"の対戦記録も抹消されていますし監視カメラのデータも消させてもらっています。

ぐぬぬと悔しそうな顔のソコロワ嬢に私は微笑みかけました。



「これはお互いに勘違いしてるだけなのです……仲直りしましょう?」


「勘違い……でも、アンタが山の所で米子(コメコ)殺しかけてたのは勘違いじゃないだろ!!」


「……あの時は、彼女は危険なカードに支配されていましたからね。その被害を食い止める為には、必要な犠牲だったと思いますよ」


「ふざけんな!!何が必要な犠牲だ!!!!」



大きな声を出すヒャッカ少年に周りの注目が向きます。

そのまま、私に掴みかかろうとテーブルに乗ろうとするのを後ろから止める人がいました。



「はーい、ストップだよ百火(ヒャッカ)くん。暴力はいけない……出禁にしないといけなくなるからね、それ以上するなら」


「店長!でも……!!」


「でもと言われても何も無いよ。少なくとも、この場では彼は手を出したりしていない……頭を冷やすんだ、百火(ヒャッカ)くん」


「っっっっ〜〜!!ちくしょう!!!!」



アポロさんの手を振り払い、ヒャッカ少年が店を飛び出していきました。

それを追い掛けるマイバラ嬢……ミト嬢はこちらに向き直ると右手のひらを振りかぶって全力で私の頬に叩きつけました。



「ちょっと憧れた事もあったけど……アタシの友達に酷い目を合わせようとしたアンタなんて大っ嫌い!!!」



ヒリヒリとした頬の痛みよりも、涙を流すまいと堪えながらこちらを睨む姿を見た時の胸の痛みの方が余程痛いですね。

彼女がヒャッカ少年を追い掛けて行くのを見送りました。

残された私とソコロワ嬢、アポロさんは会話を続けます。



「最低であります……心底幻滅したでありますよ白掟(ハクジョウ)優義徒(ユギト)


「幻滅ですか……勝手なイメージを持っていたのはそちらでしょう?」


「……暴力はいけないと言ったのにビンタするなんてねぇ」



HAHAHAと若干棒読み気味な笑い声を出すアポロさんに私は苦笑しました。



「ビンタ程度なら出禁にしないであげて下さい……ちょっと、気が立っただけなのですよ」


「その原因がキミなのは分かってるかな?」


「ええ……少し、直接的な言い方をし過ぎたかもしれませんが……まあ、仕方ないですよね」



私ののんびりとしたその言葉に、眉をひくりと跳ねさせたアポロさん。



「キミねぇ……っ!」



何かを言おうとしたアポロさんですが、次の瞬間起きた地震に言葉を止められます。

それと同時に辺りに嫌な空気が広がりました……もう少し、平和を享受したかったですね。






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