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【書籍化準備中】「そんなの、ムリです!」 ~ソロアサシンやってたらトップランカーに誘われました~  作者: 高鳥瑞穂
廿九章 天才の先生

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29-5.天才の先生

ドドンガどん視点

 

 いやー……。


 目の前で行われているのはぽんすけVSセリス戦。

 長槍の内側に滑り込もうとするセリスちゃんと、それをうまくいなし続けるぽんすけ。手に汗を感じるほどのスキルの応酬は、しかし最後に槍の切先が彼女を弾き飛ばし、勝敗を決した。



「はー、一応勝てたね」

「負けてしまいました。まだまだぽんすけさんには届かないですね」

「いやー…………」


 いやー、その……ぽんすけ相手の十連戦目(・・・・)でこれだけやり合えるなら、十分じゃないかな……。鬼神相手に十連戦もしたら()ですら負けるんだけどそのあたりはおわかりいただけてますかねこの天才美少女様は。


 パターン読みの達人ことサザンクロスのぽんすけは、装備やスキル構成を変えずに連戦するのなら、最後にはどんな相手だろうと勝てる。少なくとも俺はこいつをそう評価している。

 そこを十連戦だよ。ぽんすけ相手に十連戦で完封されないプレイヤーがどれだけいると思っているのか。


「セリスちゃん」

「はい」

「今週の宿題、メッセで送っておくから」

「はいっ、ありがとうございます」

「今週の平日は僕もちょっと忙しいから、次回は来週の土曜日かな」

「わかりました。ドドンガさんも、おつきあいいただいてありがとうございました」


 藍色の髪の少女は丁寧にお辞儀をした。


「いやいや、お役に立てたんなら何より」

「とっても助かりました。また是非お手合わせお願いします」


 彼女はそう言って、ぺこぺこと何度も頭を下げてログアウトしていった。


「…………」

「……………………」


 どさっ


 と倒れる音がして、隣でぽんすけが寝転んだ。


「しんっっっっっどおおおおぉぉぉぉおおおぉぉぉ……」

「おつかれ」


 そりゃまー、あんだけ互角にやり合えるプレイヤー相手の連戦は疲れるだろうよ。


「最後負けたかと思ったぁ…………」

「一歩前に出た判断は良かったんちゃう?あの距離が最大打点のスキル考えて一瞬セリスちゃんの動きズレたよな」

「そー。でもあのくらいで落とせそうだったから……落とせてよかったぁ……落とせなかったら負けてた……」

「びっくりするくらいやばい強くなってんねえ」

「ほんっとに」

「抜かれるまであとちょっとじゃん?」

「僕程度(・・)抜いてもらわなきゃ困る。まあ、簡単には抜かせないけど」


 ほう、そうなんだ?

 必死に倒そうとしてたから、負けたくないんかと思った。

 意外そうな顔が見えたのか、ぽんすけはぐいと起き上がって言った。


「彼女に必要なのは、勝てなかった相手に勝てるようになったっていう自信だよ。僕に勝てるようになるのは、まあ、ちょうどいい壁でしょ」

「ちょうどいい……か……?」


 サザンクロスのソロPvPランキング五位はまったくもってちょうどよくはないと思うんだけど。


「来月には抜かれるよ。ほんと、天才っているもんだね」

「ひと月は抜かれない気なんだ?」

「僕にも意地くらいある」

「ぽんすけがそんなにやる気なのは珍しいな」


 リーダーにやられたって、大会の予選で負けたって、俺に負けたって飄々としてる癖に。


「やる気、っていうとちょっと違うかもなんだけどね」

「うん?」

「僕はほら、まあ色々、ご大層な二つ名を頂戴してるんだけどさ」

「はいはい」


 パターン読みの達人、サザンクロスの総大将、団体戦の鬼神。まあ色々言われてる。

 どれで呼んでも困った顔で肩をすくめるだけだけどな。


「僕はさ」

「おう」

「そんなご大層なもののどれよりも、セリスの先生って呼ばれたいんだよね」

「そこは師匠じゃないんだ?」

「師匠はなぁ、トラがいるからね」


 あー、セリスの師匠って言ったらトラになっちゃうか。なっちゃうな。トラが改めてサザンクロスを抜けてギルドを立ち上げる、みたいなレベルのことが起きても、結局あいつがセリスの師匠と呼ばれるんだろう。

 世界でただ一人の武器チェンジファイターの隣に現れた、世界で二人目の武器チェンジファイターだからなー。そこはどうしようもない。


「ドドンガは、今日この後時間は?」

「んお?いつも通り、三時くらいまでかな」

「相変わらずの宵っ張りだな」

「ある意味生活リズムできてるからいいのいいの」


 昼まで寝て、午後から仕事を始めて、夜中まで仕事して、日付変わる頃からゲームをして、3時くらいで寝る。しっかり24時間サイクルで生活リズムがあるのに、何故かこのリズムを3時間早めることが出来ない。もうそういう体質なんだと完全に諦めてフリーランスになった。

 朝の10時に死ぬ思いをしながら起きなくて良くなったら仕事が捗る捗る。無理に生活リズム作っていたらいつかそう遠くないうちに壊れてたと思う。


「少し休んだら、久々にちょっとやらない?」

「ほー、やる気じゃん」

「まあ何ていうか、生徒はいつか先生を超えてほしいんだけどもさ」

「うん」


 ぽんすけは赤銅色、赤の中ではくすんだ、落ち着いた雰囲気のある髪をぐっと後ろになでつける。

 インナーカラーが少しだけ明るい。光の加減ではなく、多分本当にほんの少し明るくしているんだろう。知らなかった。


「生徒にあんまりに見劣りする先生は、ダメじゃない?」


 普段は落ち着いて見えるグレーがかった青の瞳が、いつもより強い光を称えて、こちらを射抜いた。


サザンクロスソロPvPランキング

1位:リーダー

2位:トラキチ

3位:ロイド

4位:ねむねむ蝉

5位:ぽんすけ


29章ここまでになります!

30章、今死ぬほど書いてるので多分間に合います!間に合わなかったらごめん!

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― 新着の感想 ―
ねむ蝉さんそんな強かったんだ……。 まぁやりたいことある度にキャラ作りまくってるって話ですしそんな事出来る人が弱いわけ無いですね。 ぽんすけさんマジでいいキャラすぎる……。こんな師匠最高すぎますね。…
ザザンクロスのみんなカッコよすぎるんだよなぁ…
ぽんすけ⊿ 正座待機しておきます > 30章
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