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「彼女に会いに行こう」
思い立った瞬間に俺は一番お気に入りのTシャツに着替えて洗面台で顔を洗った。俺の場合、髪型の決まり具合でその日の行く末が殆ど決まる。バッチリなら吉だし、イマイチなら凶。だから俺が髪をセットする時は何時だって本気だし、今日はより一層気合いが入っている。手にワックスを付け髪に馴染ませ鏡を覗き込みセットをする。明るい色の髪の毛をネジってつまんでふわふわとさせる。
完成。
色んな角度から髪型を確認。
今日の運勢は、うん、大吉だ。頭で思い描いていた通りの髪型が出来上っている。今日は、良いことがありそうだ。
俺は気持ちも軽く玄関へ向かい、スニーカーを手早く履いて外へ出た。太陽が馬鹿みたいに世界を照らし、熱している。だけどそれくらいじゃあ俺の足取りは重くならない。なんたって今日は、既に最高の日だって確約されているんだから。
さあ、出掛けよう。彼女に会いに行こう。