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俺の家族は全員勇者   作者: 茨 氷華
日常編
3/3

カナ、初めてのクエスト

「確か冒険者登録するんだよね?後クエストも」


「あぁ、そうだよ。中等部になったからな、登録しておいて

損はないと思うぞ」



只今俺ことジェスは末っ子のカナと俺より三つ年上のソル兄さんと

一緒にクロックの町に来ていた。理由はさっきの会話の通り

カナが学校で中等部になったからである。


この世界ではどうやら十二歳から冒険者になることができるらしく、

俺も最初聞いたときはそんなに年が低くていいのかと思った。

……まぁ危険にさらされたくない人は薬草集めとか教会の手伝いとかを

やると思うけどな。

そういう意味では十二歳からでも大丈夫か。


ーーと説明している内にギルドに着いたな。支部なのにも関わらず

外装が豪華なのは懐が潤っているのか。はたまた勇者家が近くにあるからか。


「入るぞ」


ソル兄さんはそう短く言い切ると木製の扉を開け、中に入った。

俺とカナも続いて中に入る。と、そこはーー。



「わぁっ……!」



感嘆の声をあげるカナ。

外装も素晴らしければやはり内装も素晴らしい。

一体どこに内装や外装に使う金があるんだろう、と入る度に

そう思うのは俺だけだろうか?いいいや、誰だってそう思っているはずだ。


「凄いなぁ」


キョロキョロと物珍しそうに周りを見ているカナに俺は

声をかけた。


「ギルドをじっくり見るのはクエストが終わってからな」


「うんっ」


妹は周りを見るのをやめて俺にとことことついてくるのを

確認すると俺は数歩前を歩いているソル兄さんに話しかけた。



「先に依頼板に行かないか? 後で来て安全そうなの

無かったらいやだし」


「そうだな、何にするか決めているのか?カナ」


「薬草集めとか、かな」


……というわけで先にクエストを選びに依頼板へ。

初クエストはギルドに指定されたものではなく、自分たちで

選ぶことができる。ちなみに俺の初クエストは教会の手伝いだった。

ソル兄さんはゴブリンを三匹討伐するクエストだったらしい。


そんなこんなで依頼板に向かおうとするとき、


「おっソルの兄ちゃんにジェスじゃねェか。依頼を

受けに来たのか?」


受付の近くでやっている酒場から俺達に笑顔で手を振ってる

おっさんがいる。 ……ってゼハードのおっさんじゃないか!

手招きしているので少し雑談をすることにした。


「お久しぶりです。ゼハードさん」


「こんにちは。ゼハードのおっさん」


「おう、久しいなぁ! 二人とも」


ソル兄さんと俺が挨拶をするとゼハードのおっさんは

朗らかに笑った。


「おやっ?そっちの嬢ちゃんは妹さんかい?」


「はい、今年中等部に上がったので今日は

冒険者登録をしに来たんです」


「カッカナです!よろしくお願いしますですっ!」


緊張しているカナのそんな様子にゼハードのおっさんは

豪快に笑う。


「ハッハッハッハッ!!緊張しなくてもいいぞ嬢ちゃん。

俺ァそこらの単細胞とは違うからよっ気軽に話しかけてくれ!」


単細胞、という言葉にピクッと反応する酒場で騒いでるおっさん共。

おーいゼハードのおっさん、なんか後ろで勇者の俺らも軽く引くくらいの

殺気が出ているんだけど……。気づいてるのか?いや、たぶん気づいてないな。


単細胞じゃないのに…と呟きつつ自席の戻っていく酒場のおっさん共。

その後ろ姿には哀愁が漂っていた。



愛想の良いおっさんっていいですよね。

なんというか気軽に話せて。

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