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要の意味  作者: かなりあ
19/63

私は地球人

予定通り、ナハルを出発した。



四日目の山中で雨に見舞われ、運悪く傾斜のキツい山道だったので、危険と判断し、洞窟で雨を凌ぐことになった。

荷車を入り口に停め、馬も洞窟に入れてあげる。

不気味な雰囲気が好奇心を擽る。だが、落盤もありえるため奥には行くなと言われた。

お化け屋敷とか、迷路とか好きなんだよな〜。


まだ雨はやみそうにない。じっとしてたら少し肌寒い。

濡れた服を干して、アルがおこしてくれた火にあたり暖まる。せっかくだしお湯を沸かして茶でも飲むか…

雨水の補給もいいかもな。サバイバルだな〜ふふふ。


「えらく楽しそうだな…」

「いや、全然!暇だ。」

「なら、飯作ったらどうだ?」

「もう?まだ晩飯には早いとおもうけど…」

「今日はやみそうにねぇし、一杯やろうぜ。」

「そうだな…暇だしな。」


軽快なリズムで食材を切り、鍋に次々入れてポトフを作る。洞窟に煙が充満しそうなので肉は焼かない。もし、醤油とか味噌があれば鍋とか、豚汁とかできるのにな…


「ん〜んん、ん〜んん、んっん、んんんっ」

「……」

「ん〜んん、ん〜ん、んんんん〜んっんん〜」

「歌?」

「ん?何?」

「何の歌なんだ?」

「そりゃあ、おかっぱ娘○こちゃんの歌さ。ふふふ」

「何だよそれ…」

「歌ってしんぜよう!」

『ーーーーーーーーーーーピーーーお〜なかがへったよ〜〜〜』

「…いやぁ、案外覚えているもんだな!ははは」

「いや、意味がサッパリわかんねぇ…」

「えっとな…うーん…お腹が減ったって歌。」

「しょうもな!」

「…お前が作ったのか?」

「まさか!ないない。故郷の歌人?が歌ってるんだよ。」

「故郷って?」

「日本って言ってな…この大陸じゃないみたいなんだ。だから、知らなくてもしょうがないんだよ。」

「…ニホンか…どうやってきた?帰りたくはないのか?」

「…起きたら森の中だったんだ。まあ、別に割り切ったし、こっちの方が楽しいしなっ!」

「…あの訳わかんねえ言葉は全部そうなのか…」


棒きれを拾い、地面をなぞる。


「うん。文字も違うんだ。か、な、め。要。両方カナメと書いてある。」

「へぇ…凄いな…」

「だろ?漢字は意味でできている。例えば「木」これは木が一つだろ?2つ並べば「林」。3つかけば「森」。木の多さで規模を表してる。だけど漢字と漢字を組み合わせて何万もの言葉を覚えなきゃならない。私の国の言葉は外からの人間にとってめちゃくちゃ難しいらしい。まぁ、私からしたら、この国の言葉と文字の方が暗号みたいなもんだったがな。」

「…想像を絶するな…」

「そうだろうそうだろう。それはもう、大変だった。そんな奴をよく養女になんてするよな…私なら絶対に無理だ。…ホント、アイツらには感謝してもしきれないんだよ…」

「…そうか。しかし、見知らぬ国の存在…何故カナメのような子供が連れてこられたか…海からも遠くあるナハルへ?……他の者が密入しているということか?」

「……それはない。」

「何故わかる?」

「…良い機会かもしれないな…うん、私の話を信じるか?嘘みたいな、頭のイかれた奴が言うような話…ふふふ…」

「嘘ではないのなら信じよう。」

「……お前が嘘はねぇって言うならな…」


相手の真剣な目を確認して口を開いた。


「嘘じゃない、嘘のような話。…私は、マールじゃなく『地球』と言う星に居た。別の世界だ。何故わかったかというと」

「待て待て、星って…夜見える星?!」

「そうだ。私の住んでいた星は、世界の端から端まで、どんな国があり、どんな町、どんな人、どんな言葉…調べたらすぐに知ることが出来るんだ。地球には、アルタイン王国はない。6歳から15歳まで子供は勉強をし、世界のことをある程度習うから間違いない。ここは、私の世界じゃない。」

「「…………」」


呆然としている2人を一概し、続ける。


「地球にある小さな国、日本に住んでいた。私はそこで1人、不自由なく気ままに暮らしていた。そして23歳の時、仕事からの帰宅中に死んだ。」

「は?」

「うん、死んだ。階段から落ちてな…その後、女の声が聞こえて、マールに堕ちるとか言われてさ…起きたら森の中。鏡を見れば体は子供になってた。たまたま馬車の轍を見つけて歩いて…いや、ちょうど春でさ、気持ち良くて寝てしまったんだ…で、ウィルナードに起こされた。後は分かるよな?……まぁ、これを信じるかどうかはあなた次第です!!…」

「「………」」


キまったのに無反応…私はツラいぜ…



「ほらほら、聞きたいことないか?」

「…確かに途方もない話だな…」

「前世を覚えている…ってことか?」

「いや、今の私はまるっきり子供の頃の姿と同じだ。生まれ変わりじゃないと思う。私は、23まで生き、中途半端に子供に戻って、5年こっちで生活しているんだ。だから私は精神年齢28歳なんだぞ?もうガキ扱いすんなよ?ハハハッ」

「言ってたな、そんなこと…マジか?いやいや、お前、人外?」


アルが私の顔に手を伸ばし、頬を左右に引っ張ってきた。サッと身を引いて痛みから逃れる。


「痛いっつーの!!」

「ハハハハッすまんすまん。俺には15、6の小坊主にしか見えねぇわ。アハハハ」

「ふむ。髪も黒いだけで俺達と変わりないな…」

「髪引っ張んな、ギル!離せ離せ…ったく…私は人間だ。そういうことは確認済みだ。」

「確認?」

「娼婦のお姉さんにご指導頂いた。やはり体のことは」

「なんだそれ!何を教えて貰ったんだ?教えろ教えろ〜」

「ふふふ…秘密っ」


茶目っ気たっぷりに言ってやる。


「可愛く言っても許さん!何を、何した!?」

「アハハハ!煩悩男にゃあの柔らかさは、おっと口が滑った!ハハハハッ」

「下世話な…」

「詳しく、詳しく!そこんとこ!なぁ〜カナメ〜」


体をくねらせたアルがしなだれかかってきた。


「キモい!離れろ!」

「…アル。話は終わってない。」

「別にこれから聞いていきゃいいじゃねぇか。この話は今じゃなきゃ聞けないんだ!」

「言わないって言ってるだろ?妄想でもしとけ!…まあ、そんなこんなで、私は本当に子供のフリをしている。半信半疑のままで構わないから、そう思っててくれ。」

「…死ぬ前は男だったのか?」

「は?女だよ…ギル。」

「ありえねー!そっちの方がありえねえ!」

「うるせぇな…元からこういう女だ。」

「………」

「地球?の女…わかんねぇわ、俺…」

「ああ、それは違うぞ。私は、口が悪い、背の高い、女にモテる女!だったからな。ちゃんとターニャみたいなのもいたぞ。」

「ふぅ…」

「そんなあからさまに安心するなよ…クククッ行けもしねぇのにさ。」

「…そうだな。こっちにも女は五万と居るからな。」

「ああ、そうだ。けど、お前は宝石豚で十分だ。」

「………そりゃねぇよ…」

「ハハハハッ」

「ククッ」




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