第32話 怪奇レポート5-5 レイ・アマミヤ
お店は閉めてるけど、解決した依頼のレポート処理とかお金の管理とかでカレンには出勤してもらってたんだけど、そろそろカレンが帰る時間だし、ちょっと急ぎでレイを連れて帰ってきた。
「カレン、おつかれさま。」
「お疲れ様です。そちらの方は依頼の方ですか?」
「いいや、新しい従業員と思ってくれていいよ。受付じゃなくて依頼消化に着いてきてもらう予定だけど。」
「そうなんですね。私カレンです。ここ『怪奇屋』で依頼の受付として働いています。」
「私レイ・アマミヤ。レイって呼んでくれていい。」
「分かりました。レイさんよろしくお願いします。ところでシアさんは?」
「あぁ、シア、出てきていいよ。」
「うむ、姿を消しておったのを忘れていたのじゃ。」
「わぁ、びっくりした。」
「昼は急に店を飛び出してすまぬな、カレン。アリスがかなり危険な状況だったのでな。」
「そうでもないよ。警備隊が来るまでは多少怪我はしてたかもだけど耐えれてたよ。」
「その怪我が問題じゃ。人間は脆いのでな。妾であればあの程度の剣、切られても傷一つつかぬ。」
「妖怪だもんね。」
「すみません。私今日、父に食事に誘われていて、ここで失礼しますね。」
「ごめんね引き止めちゃって。お食事楽しんでね。アレスさんにもよろしく。」
「はい。それでは失礼します。」
カレンは帰って行った。何日か前から食事に行くとは言ってたし、前ほど過保護でもなくなって関係も良好みたい。
「それで、私はどうすればいい?」
「そうだね。とりあえずご飯にしよっか。準備するから待ってて。」
「えぇ。」
帰りに買ってきた串焼きと家に置いておいたパンを盛り付けるだけで簡単なものだからちょっと申し訳ないけど。元の世界でもそうだったけど、ずっと忙しくて料理なんてしてる暇もないんだよね。調理器具も置いてないし。
「ハイ、どーぞ。買ってきたものだけで申し訳ないけど、ずっと忙しくて料理してる暇もなくてね。」
「いいえ。ゴーストプリズムにいた間はちゃんとしたものを食べれていなかったから、十分よ。」
「そう?そういってもらえたら嬉しいけど。それじゃ食べちゃおっか。」
本当にちゃんとした食事が久々なのかレイは一心不乱に、でも上品にあっという間に平らげてしまった。
「ごちそうさま。」
「ごちそうさま。それじゃ、ちょっとおしゃべりでもしようか。シア、片づけお願いしていい?」
「うむ。分かったのじゃ。」
「先に私から良いかしら?なんでそのレベルの妖怪があなたに付き従っているのかしら?私も妖怪は何度も見たことがあるけれど、その子ほど確固たる自我を持っていて強大な力を持つ妖怪は初めて見るわ。」
「強大な力?シア、そうなの?」
「そうじゃな。人間からしたら強大な力じゃろうな。全属性の魔法に適性を持っておるし、人間からしたら魔力量も莫大であろうな。じゃが、これらはすべて呪いの力じゃ。その点ではレイのスキルと似ておる。アリスには天地がひっくり返ろうと勝てぬのじゃ。」
「そういうことみたい。とある依頼で会ったんだけど家に憑いてたシアをどうにかしてくれって依頼主が聞かなくてね。それでちょっといたずら好きなだけだったみたいだし殺しちゃうのはかわいそうだしってことで連れて帰ってきたの。」
「本音は怪奇に対する欲であろう?」
「バレてる?」
「当然であろう。貴様ほどの変態そうそうおらぬわ。」
「怪奇?」
「レイは知ってると思うけど、この世界に転生してくる人ってさみんな自殺者でしょ?」
「神様からはそう聞いてるわ。」
「私もその1人なわけなんだけど、私の場合、心霊系の動画を投稿サイトで投稿して生計を立ててたんだけど、心霊スポットでヤバいもの連れて帰ってきちゃったみたいで寝てる間にそれが勝手に体動かして死んじゃったみたいなんだよね。」
「心霊の動画投稿?それにその声、もしかしてアリスの心霊チャンネル?」
「あれ?もしかして知ってるの?」
「えぇ。かなり本格的な心霊系の投稿者だったから好きでよく見ていたわ。」
「それは嬉しいね。まぁ、その結果がこのザマなんだけどね。」
「危険そうな場所もかなり行ってたものね。」
「ってことはレイも心霊とか好きだったの?」
「スキルを知って気づかなかったの?」
「確かに。呪いに関するスキルだよね。」
「私は都市伝説とか呪い、降霊術みたいなののほうが好きだったわ。降霊術を実行しちゃった結果なんか意識のないうちに死んじゃったみたいで、自殺判定になったとか神様に言われたわ。」
「死因は私に似てるけど、私とはちょっと好みがずれてるんだね。それでも近い趣味の人がこの世界で見つかるなんて!」
「あなたの趣味に合うこの世界の住人なんて全員ゴーストプリズムの一員でしょうね。」
「そうだろうね。でも『怪奇屋』が忙しいのはゴーストプリズムのせいなわけだし、もったいないけど組織としては最低限崩壊してもらわないとね。」
「そうね。今のゴーストプリズムはバラスオキラからの『各国のできるだけ多くの町で怪奇現象や死霊術での暴動を起こしたり、極力証拠の残らないように呪殺をして回れ』って通達を受けて活動しているわ。」
「ってことはそのバラスオキラってのを倒さないと解決しなさそうだね。逆に言えば死霊術を授けてるのもそいつって話だしそいつを倒しちゃえば解決しそうだね。」
「そうね。でも支部長が言うには私が一切歯が立たない支部長が足元にも及ばない相手だそうよ。」
「私との相性は悪そうだけど、とりあえず詳しい情報がわからないし情報収集からかな。」




