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異世界『怪奇屋』へようこそ  作者: 雲英侑李


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第31話 怪奇レポート5-4 『フェイ』

「騒動の件は聞いている。っと、そっちのは?」


「襲撃してきたうちの1人。いろいろあって警備隊が被害者って認識しちゃったみたいで連れていかれなかったんだよね。とりあえずいろいろ聞きたいから連れてきた。」


肩に手を置くとブルっと震わせる。このフェイって子相当怯えてない?敵組織の子っていうよりかは奴隷とかそっち系の感じが・・・


「そうか。無害なのか?」


「私のスキルは自分の望んだ呪術を使用できるスキル。使用条件は両手で指定の印を結ぶこと。ゴーストプリズムでは{盲目の呪}という視界を奪う呪術だけが使えるということにしていた。」


「自分の力をそんなに簡単に喋っちゃっていいワケ?」


「敵に捕らえられた。その時点で私の命はあなたたちのもの。」


「そうか。ではゴーストプリズムに関する情報を吐いてもらおうか。」


「はいはい。ゴーストプリズムは今、全世界に1000人を超える構成員を持つ組織。当然私もその一員。各国に支部があるから本部の場所は知らない。構成員の大半は奴隷か精神支配で従ってるに過ぎない。私はリーゼッヘ王国支部の準幹部ってことに表向きはなってるけど実際は奴隷。」


「なるほどね。それでそんなに臆病なんだね。じゃあ今度はあなたについて聞かせてもらおうかな。」


「私?何も面白いことなんてないと思うけど、いいわ。私はフェイ。ここリーゼッヘ王国で奴隷商人からゴーストプリズムに売られた奴隷。年齢は18歳。スキルは[呪の支配者]、自分がイメージしたあらゆる事象を呪術として扱うことが出来るスキル。」


「その名前は本物?」


この子の目、この世界で転生者以外で見たことない黒い瞳をしてる。それに髪も黒い。多分・・・


「なんで?」


「あなたも薄々気づいてるんじゃないかな?私は神楽有栖。日本から転生してこの世界に来た転生者だよ。」


「やっぱり?バレちゃったなら仕方ないね。私は雨宮怜(あまみやれい)。日本から転生してこの世界に来た転生者。」


「そう。レイちゃん、私と行動を共にする気はある?」


「え?さっきまで敵対していたのにどうしてそうも簡単に信じられる?同郷のよしみとか言い出したら殺すけど。」


「そんなことはないよ。でもあなたからは優しさを感じる。だって、ゴーストプリズムの一員として活動する気なら視界を奪うなんて複雑なことをしなくてもいいでしょ?レイちゃんの力なら人を殺すなんて簡単なんだから。」


「そ、それは・・・」


「だから私はあなたを信じれる。ギルマスは何かある?」


「俺は反対だ。そもそもその嬢ちゃんにはゴーストプリズムとの奴隷契約が施されてるはずだ。」


「それはない。表向きは準幹部として役職をもらってたから。ただリーゼッヘ支部の長が強すぎて従わざるを得なかっただけ。」


「レイの力を持ってしても?」


「呪術っていうのは人を選ぶ。術者よりもふさわしい相手に呪術をかけようとすればそれは術者に返ってくる。」


「なるほどね。その点、私は対呪術では最強ってわけだね。」


「そういえばどうやって私の力を跳ね返したの?」


「私のスキル[退魔呪詛]は3つの効果を持っていて、1つ目が妖怪、幽霊みたいな呪いを扱うことが出来てかつ実体を持たない存在を呪殺する、2つ目が自分に呪いをかけた存在の位置を探知してその対象にその呪いを跳ね返す。この2つは対象を視界に収めることが発動条件。そして3つ目が、私に対して発動されるあらゆる呪術の無効化。だから私には一切呪いは効かないし、その力を跳ね返せるってワケ。ゴーストプリズムからしたら最悪の相手でしょ?」


「そうね。バラスオキラ様の力で奴隷とか洗脳した市民に死霊術を与えているからなおさらね。」


「バラスオキラ?」


「えぇ。ゴーストプリズムの頂点に君臨している存在よ。私も名前と死霊術の才を構成員に授けているということしか知らないわ。」


「なるほどね。その力でこれだけ巨大な組織にしたってことだね。」


「そうだな。俺も聞いたことがない名だが調べておこう。」


「お願い。それで改めてだけど、私と一緒に来ない?世界をゴーストプリズムの好きにさせないためにも。毒を以て毒を制すっていうでしょ?死霊とか呪いには呪いをぶつけなきゃ!」


「分かったわ。あなたの好きにしなさい。」


「俺は反対だが、お前は聞かねぇだろうな。だが街中で騒ぎを起こした以上、ギルドとしてはそのままお前と共に過ごさせるという訳にもいかない。アリスにはレイと奴隷契約をしてもらう。」


「えぇー・・・嫌って言ったら?」


「そいつを警備隊に引き渡す。」


「なら仕方ないね。で、奴隷契約って何なの?」


「簡単に言うのなら主人に逆らえなくなる魔法みたいなもんだ。主人の命令は絶対だし、逆らおうとすれば本人の精神を蝕む。」


「強度とかって決めれないの?」


「残念ながら無理だ。だが、厳しい命令を下しでもしない限り廃人になるようなことはない。それに悪さをしようとすればすぐに主人には分かる。」


「分かるってどうやって?」


「感覚だな。奴隷が悪いことをしてるって強い直感みたいなものを感じるらしいぞ。俺は奴隷を取ったことがないから知らんがな。」


「そっか。それなら安心かな?」


「私は構わない。さっきも言ったけど、捕まった時点で私の命はあなたのものだから。」


ギルマスの案内で奴隷契約の準備を整えてもらってサクっと奴隷契約を済ませた。これでレイは私の仲間だね。奴隷として、っていうのがちょっと嫌だけど、ちょっとずつ距離を縮めて、ゴーストプリズムが崩壊した暁には奴隷契約を解除して友達としていれればいいな。

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