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異世界『怪奇屋』へようこそ  作者: 雲英侑李


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第17話 怪奇レポート4-1 貴族からの依頼

1週間くらいは普通の依頼しか来てなかったし特筆することも特になかった。でもやっぱりこの町、怪奇現象が起こりすぎだね。同じ人から2回目の依頼っていうのは今の所ないから野良の幽霊とかゴーストを誰かが放ってるとかなのかな?


「邪魔するぞ。」


「ギルマス?ちょっと待ってくださいね。えーっと、シア、この方の聞き取りの続きお願いしてもいい?」


「分かったのじゃ。」


新たな依頼に関して聞き取りをしていた人の引き継ぎをシアにしてギルマスには2階の部屋に来てもらった。


「急にすまないな。それにしても人を雇ったのだな。」


「2人ね。もう1人の子は今日はお休み。さっき見たと思うけどシアは人間じゃなくて妖怪だよ。」


「妖怪?どう見ても人間だったが・・・」


「座敷童子っていう子供の見た目をしてる妖怪なんだよ。ちょっと前に依頼で視に行ったら会ってね。依頼者がどうしても追い出してくれっていうからうちに連れてきたの。それで、わざわざギルマス本人が来るってなんの用なの?」


「そうだな。本題に入ろう、と言いたいところだが、この国の階位構造については知っているか?」


「あんまりかな。一応王族が一番上で貴族が領地を治めてるってことくらいは知ってるけど。」


「大体は合ってるが、正しくは王族、大貴族、貴族、平民ってのがこの世界での4大区分だ。どの国でもこの構造は変わらない。王族は国を治めるが、大貴族は複数の領地を王族から預かり、貴族は大貴族から1つの領地を預かり治めている。平民からしたら貴族ですら反抗はできない。この国の貴族様たちは平民にもお優しいがな。他国では酷い貴族もいると聞く。」


「そうなんだ。それが今回の話とどんな関係が?」


「今回の依頼を出したのが貴族ってことだ。そもそも今回俺がわざわざ出向いたのはアリスに当てるべきと判断した依頼を複数同時に受注したからだ。」


「結構大変そうだね。」


「その中にはギルドで取り扱うレベルではないものもあるが、なんせ相手が貴族様だからな。受注せざるを得なくなった。1つずつ説明していく。今回の依頼は4件、どれも貴族からであることには変わりないのだが、うち1件は他国の貴族だ。」


「他国まで?なんでここのギルドにそんな話が?」


「アリスの噂はすでにかなり広がっているようでな。今回依頼を出した貴族のいる他国、この国リーゼッヘ王国からすると隣国にあたる国ヘルベイン法国は我が国に対しても毎年のように戦争を仕掛けてきていてな。毎年小競り合い程度で終わってはいるが、アリスを戦火の火種にしようと考えている可能性はある。十分気をつけて行動してくれ。」


「分かったよ。依頼の詳細は?」


「ヘルベイン法国の貴族に関してはギルドは信用ならないから当人にしか話さない、だそうだ。我が国の貴族様たちはご本人がお会いになるそうで、こっちも詳細は聞けていないが、いずれにしても人死にが出ているような案件ではないそうだ。」


「負傷者はいる可能性があるってことね。了解。どの順で行けばいいとかある?」


「明日、ヘルベイン法国の貴族ヘルオール様の屋敷から転移魔法を使える使者が迎えに来るそうだ。朝の10時前にはギルドに来てくれ。」


「分かったよ。他の貴族様は?」


「同時に複数の依頼が入ったとお伝えしたらお待ちくださるとお返事をいただいた。ただ、深刻そうな依頼も1件あるようだ。早めにヘルオール様からの依頼を終わらせて戻ってきてくれると助かる。」


「分かった。可能なら明日中に終わらせるつもりで頑張ってくるよ。」


「頼むぞ。特に明日のヘルオール様の依頼に関しては国同士の争いになりかねないからな。」


「分かってるって。」


その後もめちゃくちゃ念を押されたけど、他にも忙しいのかギルマスは帰ってった。貴族か。異世界もののアニメとかだとあんまりいいイメージないよね。


「おぉ、話は終わったのか?」


「終わったよ。そっちも?」


依頼者は帰ったみたいで、シアがちょうど調書をまとめてたところだったみたい。


「うむ。調査は今晩と伝えておるが問題ないかの?」


「大丈夫。シア、明日からの依頼ついてきてくれる?」


「妾がか?」


「昼間にも外に出てもらわないといけないけど、ちょっと1人だと不安でさ。姿は消してていいから。あと、気になるんだけど、私が転移魔法で転移したらシアってどうなる?」


「姿を消してアリスに憑いていれば共に転移するはずじゃ。それで、どんな依頼なのじゃ?」


「貴族からの依頼だって。しかも1人目は他国の、うちの国と毎年のように戦争してる。」


「最悪じゃの。」


「そうだね。まぁ、どうにかなるよ。」


夜の依頼に関してはここ1週間と同じような野良の幽霊が悪さしてるだけだったからさっさと解決して帰った。そして翌日・・・


「貴様がアリス・カグラだな?」


ギルマスが立ち会ってくれるかと思ったら普通に1対1で会えって言われて話しかけてみたらずいぶん高圧的な言葉が飛んできたんだけど・・・


「はい。ヘルオール様からの使者様でお間違い無いですか?」


「あぁ。転送する前に武器を隠しもたないか検査させてもらう。魔法は使用できないと言うことだったな?」


「はい。2つのスキルを所持しておりますが、特殊な条件下でなければ人間に危害を加えることはできません。魔法の使用もできません。」


「スキルでヘルオール様に危害が加わる可能性は?」


「先程申した条件下というのは私に呪詛をかけることです。その条件が満たされない限りは人間には危害を加えられません。」


「そうか。指輪の反応もないし、真実なのだろう。」


嘘をついたらわかるとかそんな感じなのかな


そのままボディチェックをされて最低限の信頼は得たみたい。


「武器は隠し持っていないようだな。それではこれよりヘルオール様の屋敷へ転移する。ヘルオール様と面会してもらう故、くれぐれも失礼のないよう。」


「かしこまりました。よろしくお願い致します。」


「【転移魔法(テレポート)】」


眩しさから一瞬閉じた瞼を開くとかなり豪華な装飾の施された部屋だね。こんなにピンポイントで転移ってできるものなんだ。


さて、どんな貴族が現れるのやら・・・

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