第16話 怪奇レポート3-4 新体制
そこから2日間大した依頼は舞い込んでこなかった。来た依頼もよくあるような幽霊案件だったし近くにお墓があったり、過去に殺人が起きてたりって感じで原因も分かってるようなものだったからあっさり解決出来ちゃった。ただ、依頼の数はやっぱり多い。1日あたり4件も解決しないといけないなんて思ってなかったや。まぁ、そんなことは置いといて、シアがうちに来て3日目、ついに『怪奇屋』に従業員が増える日がやってきた。
「おはようございます。」
「カレン、おはよ。」
「あれ?そちらの方は?」
「一昨日からかなり忙しくてね。依頼関係で知り合ったんだけどこの子にもお手伝いをお願いしようかなって。」
「妾はシア。妖怪である座敷童子を生業としておる。」
「座敷童子?妖怪?」
「びっくりさせてごめんね。妖怪ではあるけど、私の言うことは聞いてくれるし、いい子だから。仲良くしてあげて。」
「・・・はい。びっくりしすぎてあんまり言葉が出ませんけど、よろしくお願いします、シア。」
「うむ。よろしく頼むのじゃ。」
「さっそくだけど2人にお願いすることを教えるね。昨日までの依頼の量を考えると日中に解決とか調査に出かけることも増えると思うからその間の受付をやってほしいんだ。紙は用意したから、依頼者の名前、依頼の場所、ざっくりでいいから内容を聞き取りして紙に書いてほしいかな。」
「内容ってどんなことを聞けばいいんですか?」
「どんな現象が起きてるか、かな。あとその場所で過去に何か事件とかがあったかも聞いてほしいかも。現象とかに関しては1回私が聞き取りするの見てもらったほうが速いだろうし見てもらおっかな。今日はまだお店開けるまでちょっと時間あるけど。」
「それならば少し聞きたいことがあるのじゃが良いか?」
「いいよ。何でも聞いてよ。2人とも私と会ってまだ日が浅いもんね。お互いのことを知る機会だし。」
「何故おぬしはそこまで『怪奇』を好んでおるのじゃ?人間からしたら恐怖の対象であろう?」
「そうだね。それならまず私の元居た世界について話そうかな。私の元居た世界って魔法がない分文明が発展しててさ。なんて言えばいいかな。今私が見てる景色をほかの人に共有することが出来るものがあるんだけど。」
「写真ですか?」
「いや、今2人としゃべってるでしょ?この会話だったり、動きだったりまで共有できる動画っていうものがあるんだよ。」
「そんなことが出来るとはの。」
「それで、その動画を大体の人が持ってるスマートフォンってものから誰でも見ることが出来たんだけどそこに動画を共有する仕事をしてたんだよ。」
「動画とやらを共有することが仕事になるのか?」
「うん。動画を見てもらえば見てもらうほどお金がもらえるんだよ。逆に見てもらえなければ全くお金が入ってこないんだけどね。動画投稿者って一般的には呼ばれてる職業なんだけど、その中でも私比較的人気があってね。その動画で取り扱ってたのが怪奇なの。元居た世界では心霊って呼ばれてたんだけどね。元々私も動画を見る側として楽しんでて好きだったから心霊で動画を投稿し始めてどんどんいろんな人に見てもらってたんだ。」
「それで怪奇を好むようになったんですね。」
「そう。ただ、かなり念の強い怪奇の居る場所に行っちゃってたみたいでそれに取り憑かれて意識のないうちに身体を操られて自分で命を絶っちゃってこの世界に来たんだよ。この世界に来たほかの世界の人たちはみんな自分で命を絶った人たちって話だよ。」
「そう、か。なかなかに壮絶な人生を歩んでおったのじゃな。」
「まぁ、もともと覚悟はしてたからね。それに今はその怪奇たちを見ることもできてこうやってシアとは仲良くなれたからね。この世界に来てすごくうれしいんだよ。」
「そうですか。私、アリスが店のことをあまり考えずに怪奇を楽しめるようお店の管理頑張ります!」
「そこまで張り切らなくていいって。あ、そうだ。カレンのお給料の話なんだけど。」
「そういえば今日話すってことでしたね。」
「基本的には月給銀貨30枚でどうかな?店の売り上げ次第ではもっと上げると思うけど。」
「そんなにもらっていいんですか?」
「もちろん。錯乱してる人とかも相手にすることがあるだろうから大変だろうしね。あと、私の判断次第で急におやすみにしたりするかもしれないけどその時はゆっくり休んでね。お給料減らしたりなんてことはしないから。」
「分かりました。ありがとうございます。」
通常依頼だけなら月30件も解決しないとカレンの月給+自分の生活に必要な額に届かないんだけど、ギルド経由だったり、危険な依頼は定期的に舞い込みそうだしね。ギルマスもまだ依頼として正式に受けれてないけど貴族とか大きい組織からの相談は山ほど来てるって話だし、やっぱり裏に何かしらいるんだろうね。
「さて、開店の時間だよ!」




