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おっさん転生〜異世界へ転生したおっさんは、かっこいい幼女になりたい〜  作者: 猫屋敷
四章 元おっさん、和の国【皇御国】へ
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49 いまだに見つからない!

「え、居場所がわからない?」

「えぇ、アイヴィーの居場所は……」


途端顔を顰めるミラ。居場所が分からないんじゃ、どうしようもできないこの現状。すっかり夜の帳が下り、青い月が道中を照らす。

まさか、国王陛下直々にここはやって来たのに、まさかこうなるとは。夢にも思ってなかった。


「ですが、何回か同じ部屋なったことがあるんです」

「同じ部屋?」

「はい、その時は侍たちの住んでいた部屋……。そこに監禁されていました」

(え、嘘やろ。それはあかんて。監禁? やっば)


あまりにも最低すぎて、声に出すことができなかった。ただ呆然とその事実を聞いているのみ。だが、分かるとしたら、ミラの友人が“アイヴィー”ということは分かる。

蔦かな?

アイヴィーの花言葉、なんかあったはずなんだけど、忘れた。


(ともかく、その子を探すためにはどうするべきか……。下手に探偵の様に情報を聞き込み……なんてしたら、またミラが狙われかねないし)


先まで見越して行動しないと、行けなさそうな予感がする。つまりは慎重に……ということだ。

とりあえず、対策を考えないとどうもこうも出来なさそうだ。動くことができなかったら、その子を助けることもできない。その子を助けないと、ミラの母親が死ぬ。


(母親が死ぬ……ね。母親が死んだら、相当寂しい……いや、違う。家族が死んだら、悲しいんだ………)


俺はふと、前世を思い出す。前世で親を亡くしたこと、それが何よりの心の傷であった。

抽象的すぎて、よくわからないこの感情。まるで、ガラスが割れた様な……。そんな感覚。

ガラスが割れると、元に戻すことはできない。その当時の感情が、渦の様に巻き起こる。


心が、心臓が、ぎゅっと締め付けられる様な……。


だから、助けたいって………思ったのかもしれない——。





♢♢♢





夜中から朝方まで探すのは、至難の業だった。どこにいるか、それが分からない以上、下手に大声を出すわけにはいかない。近所迷惑になりかねない。

いや、それを言ってる場合か? 

と思ったが、その侍たちがどこで聞いているかも分からない以上、下手に動くことも躊躇しないといけない。


(くそ、朝日が昇った……。早く見つけないといけないのに………)


ずっと起きていたせいか、眠気が襲ってくる。3人が起きる前にさっさとアンナさんと戻り、ミラとは一旦別れた。

こういう一夜漬けにも慣れているのか、アンナさんはずっと起きていた。とにかく、俺も起きないと……と思いながら顔を洗いに出かける。


(ハァ…、眠い)


顔をバシャバシャと洗ったは良いものの、眠気が消えることはない。おまけに体はだるいし、汗でぐっちょりだし。

ほんと、最悪だ。


(ハァ、こりゃ、また温泉に入らないとな)


おそらく今の時間帯は7時ぐらい。時計という道具がないため、正確な時間も日時も分からない。

とにかく、朝が昇った。というのはわかる。




♢♢♢




「朝風呂って結構いいなぁ」


全身に噴き出た汗が綺麗さっぱり流されていく。

だが、温泉内は広いため、俺一人だけというのもなかなか寂しい。


(ここって露天風呂とかあんのかなぁ……)


とかぼやきながら、俺は朝風呂を堪能した。




♢♢♢




あれから1時間入り、あの時が7時ならば、今は8時。普通に長風呂した。

お陰でのぼせてしまった。


(ハァ、あっつぅ……)


手でパタパタとさせ、部屋に戻るともう既に3人も起きていた。


「あ、おはよう! ヴィーゼさん!」

「朝風呂ですか? いいですね」

「遅いわよ、全く……。アンナもまだ寝てるし」


(え、あれから寝ちゃったの?)


あれだけ「何時間も起きてられます!」ていう余裕そうな顔していたのに……。

俺はというと、温泉に入ったからか、眠気は少しはマシになった。


「じゃあ、私たちも着替えよっか!」

「そうだね。ヴィーゼさんも着替えなくていいんですか?」

「あ、うん。そうだね」


いくら旅荘に支給されている服とはいえど、やはりぶかぶかだ。早く私服……と言っていいのか、普段の服に着替えよう。


もちろん、後ろを向いて。


「……毎回思うんですが……」

「……ん?」

「どうして、ヴィーゼさんって背中を向けながら着替えてるんですか? 同性なのに……」


(そうだよね!? そんなことしなくてもいいよね!? けど俺は、男。そう、前世は中年おっさんだった。いくら、いくら幼女になったとはいえど、女子の下着姿を見るなど……! いやでも待てよ? 合法だから………、いやいやいや!)


と、何故か天使? と悪魔? が戦っていた。



♢♢♢


しっかりと普段着に着替えたはいいが、ランスから意地悪をされた。


『同性なのに、恥ずかしいの?』

『ち、違うから!』

『えー? じゃあこっち見て着替えれるでしょ?』

『いや、マジでやめて!』


そんな光景を二人は哀れみな目で見られたのは、多分。大人(?)になっても忘れない。


だが、一刻も時間は迫っている。早く、見つけ出さないと———。

読んでくださってありがとうございます!


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