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鮭 短編集  作者: 鮭
8/8

恋とは

時に甘く、時に切ない


高校三年生

受験が近付いてきた夏


ふと君の事を思い出した


もう叶う事はない恋

後悔しても遅く、どれだけ願っても君に会う事は出来ない




3年生としての生活が始まる少し前の事

自分にとって良い知らせがあった


家が近所の、2つ年下の女の子が

自分と同じ高校に受かって明日入学式だと連絡してきた


家が近いという理由だけで昔から知っていて

妹の様だと思っていたものの特別な感情だとは考えもしなかった


彼女は昔から体が弱く学校にもあまり行けていなかった

だから余計に自分に出来る事はしてあげたいと思った

幸い彼女の体は徐々に良くなり普通に生活出来るまで回復した

高校に進学すると聞いた時

もう今までの様に会えなくなるかもしれないと

少し寂しくなった


でもそれが彼女にとって幸せなんだと

何度も自分に言い聞かせた


そんな寂しい気持ちを吹き飛ばすかのような知らせに

心が踊った


今思えば、あの時既に

いや、もしかするともっと前から

彼女に対して妹以上の特別な感情があったのかもしれない



ただ、幸せな気持ちは長く続くことは無かった



嬉しい知らせの数時間後

嬉しさは悲しさへと姿を変えた


彼女が交通事故で亡くなったと連絡があった


頭の中が真っ白になって

なにも考えられなかった


心が哀しみで溢れかえって悲鳴をあげた


悲鳴が涙となって零れ落ちた


通夜は親族と知人だけで静かに行われた

棺には彼女が生前好きだった白い花弁の百合の花を入れた


眠っている様な彼女の顔は

切ない様な幸せな様な顔で

明日という日をどれだけ待ち望んでいただろう

彼女にとっての新しい世界をどれだけ夢見ていただろう


やるせない気持ちに胸が締め付けられた



彼女が居なくなって二日後春休みが終わり

新学期が始まった


友達に悟られまいと明るく振る舞った

三年生という期間は忙しく自分にとっては好都合だったかも知れない


彼女が居ない哀しみを紛らわす事が出来た


忙しない毎日が続く気付けば7月になっていた

勉強疲れからかその日は寝坊してしまい

10時半ごろ家を出た


何時もならまだ開店前の花屋が営業を始めていて

何気なく置いてある花に目がいった

白い花弁の百合の花


彼女が大好きだった花

無性に寂しくなった

居ても立っても居られなくなって百合の花束を買った


もし彼女が今の自分を見たら

いつまでも哀しみに囚われている事に申し訳ないと思うだろうか

それとも、

いい加減シャキッとしろって子供みたいに頬を膨らませて怒るだろうか


きっと後者だろう


彼女が事故にあった場所にそっと花束を置いた


今までありがとう

君と一緒に居られた時間は自分にとって大切な宝物

きっと忘れる事はないよ


安らかに眠ってね


手を合わせて学校に向かった



いつもと変わらない学校だけど

いつもとは違う


心の靄は無くなり


気持ちは軽くなった


新しい恋をする事はまだ無いと思うけれど

少しだけ意識しても良いかもしれない






今までよりも少し元気に

友達に言った





『相変わらずシケたツラしてんのな!』

後悔と哀しみ乗り越えるのはとても難しく

乗り越える事で強くなれる事もあると思います

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