第十一章:【英語】英語という「ことばの順番」を身につける(小3編)
英語の時間が始まったとき、裕太はすぐに戸惑った。
アルファベット、聞き慣れない音、そして日本語とはまったく違う言葉の並び。
それは裕太にとって、とても分かりにくいものだった。
「お父さん、英語って変だよ。なんで“ぼくは りんごを たべる”が、“I eat an apple”になるの?順番が違うと、頭の中がぐちゃぐちゃになる」
家で教科書を広げながら、裕太は困った顔をした。
純一は静かにうなずいた。
「いいところに気づいたね、裕太。英語は日本語と“ルール”が違うんだ。だから難しく感じる。でもね、ルールが分かれば一気に楽になるよ」
真依も優しく言った。
「裕太は“順番”が分かると理解できるタイプだから、英語もきっと大丈夫」
そこへ、美佐子ばあちゃんが笑いながら入ってきた。
「ガハハハ!英語なんてな、“並べ替えゲーム”や!料理の順番と同じやで!」
梅子ばあちゃんもゆっくり続けた。
「現場でもね、言葉が難しい子には“型”から教えるのよ。自由に話させる前に、まずは形を覚えるの」
こうして、裕太の英語の学びが始まった。
■ 英語は「順番の型」で考える
高野はノートに大きく書いた。
「主語+動詞+もの」
「英語は、この順番が基本なんだ」
裕太はじっと見つめた。
「順番が決まってるの?」
「そう。ここが日本語と違うところ。でも逆に言えば、“毎回同じ形”なんだ」
美佐子ばあちゃんがうなずく。
「ごはん→みそ汁→おかず、みたいなもんやな!」
裕太は少し笑った。
「それなら覚えられそう」
■ 例題①(順番の練習)
I eat apples.
「だれが?」→ I
「どうする?」→ eat
「なにを?」→ apples
「本当だ…順番に当てはめるだけだ」
「そう。英語は“順番のパズル”なんだ」
■ 日本語に訳さないで考える
裕太はいつも、日本語に直してから英語を考えようとして止まっていた。
それに気づいたのは真依だった。
「裕太、日本語に直そうとするから時間がかかるのよ。そのまま覚えていいの」
「そのまま?」
「“I eat”は“私は食べる”じゃなくて、“I eat”でひとつの形として覚えるの」
梅子ばあちゃんも言った。
「一回一回訳してたら大変よ。現場でも“そのまま使える形”を覚えるのがコツだったね」
裕太は少し考えてからうなずいた。
「そのまま覚えたほうが早いかも」
■ 音は「まねする」から始める
英語の音も、裕太にとっては難しかった。
「聞こえない音がある…」
そう言ったとき、高野は言った。
「全部聞き取ろうとしなくていい。まずは“まねする”だけでいい」
「まね?」
「そう。同じように声に出す。それだけでいい」
美佐子ばあちゃんが笑う。
「赤ちゃんと一緒や!まねして覚えるんや!」
■ 例題②(発音)
Hello.
(ヘローではなく、ハローに近い音)
裕太は何度も繰り返した。
少しずつ、音が近づいていく。
「ちょっと似てきたかも」
「それで十分。完璧じゃなくていい」
■ 短い文で「話せた」を作る
最後に、高野は言った。
「長い文を作ろうとしなくていい。短い文でいいから“言えた”を増やそう」
真依も続けた。
「できた経験が増えると、安心して話せるようになるよ」
■ 例題③(話す練習)
I like games.
I play soccer.
I eat rice.
裕太はゆっくり、一つずつ言った。
少し詰まりながらも、最後まで言えた。
「言えた…」
その顔は、少し嬉しそうだった。
■ 英語が「怖くない」に変わる
その日の夜。
裕太は教科書を見ながら、小さな声で英語を読んでいた。
止まることもある。
でも、前のように固まることはなかった。
「お父さん、英語って難しいけど…順番が分かればできるね」
高野は静かにうなずいた。
「その通り。裕太は“ルールで理解する”タイプだからね」
真依は優しく言った。
「ゆっくりでいいから、一つずつね」
美佐子ばあちゃんが笑った。
「ガハハハ!世界の言葉も攻略やな!」
梅子ばあちゃんも続けた。
「分かる形にすれば、どんな子でもできるようになるのよ」
裕太は小さくうなずいた。
「英語、ちょっと面白いかも」
英語はもう、分からないものではなかった。
順番と形で考えれば、ちゃんと理解できるものだった。
裕太は、自分のやり方で、新しい言葉の世界に一歩踏み出していた。




