第五章:生活というパズル――毎日をうまく進めるコツ(小1~小3編)
三年生の頃。
裕太には、もう一つ困っていることがあった。
それは「家での過ごし方」だった。
■ 帰ってからがうまくいかない
学校から帰る。
カバンを置く。
そこで止まる。
次に何をすればいいのか分からない。
気づくと、
カバンは開いたまま。
プリントは出ていない。
宿題も手がつかない。
「……何からやればいいのか分からない」
裕太はその場に座り込んだ。
真依は思った。
(やる気じゃない)
(順番が分からないんだ)
■ 順番を「見えるようにする」
「裕太、これ見て」
真依は紙を出した。
【帰ってからやること】
① カバンを置く
② 連絡帳を出す
③ 宿題
④ 明日の準備
「この通りにやるだけでいいよ」
「……考えなくていいの?」
「うん、見て動けばいい」
■ 例題でやってみる
【例題①】
学校から帰る
→ ① カバンを置く
→ ② 連絡帳を出す
裕太はそのままやってみた。
止まらない。
「……できた」
「順番があると止まらないんだ」
■ 美佐子ばあちゃんの一言
「ガハハハ!」
「そりゃそうよ!」
「頭の中でやるから混むのよ!」
「外に出しとけばいいの!」
裕太が笑う。
「それなら分かる」
■ 物がなくなる
でも、また止まる。
「ない……」
消しゴムがない。
プリントもない。
探す。
止まる。
イライラする。
■ 「場所」を決める
高野が言った。
「裕太、探さなくていい」
「え?」
「場所を決める」
■ 例題②
【消しゴム】
→ 机の右の箱
【連絡帳】
→ カバンの前ポケット
「ここに戻すだけ」
「……それだけ?」
「それだけだ」
■ 梅子ばあちゃんの話
梅子が静かに言う。
「現場でもね」
「“なくす子”じゃないの」
「“場所が決まってない子”なの」
真依がうなずく。
■ 一つずつやる
それでも途中で止まることがあった。
「……途中で分からなくなる」
そのとき——
「いい!?人間な!」
美佐子の声が響く。
「一つずつやりなさい!」
「1こ終わってから次!」
裕太が笑う。
「それならできる」
■ はじめて最後までできた
その日。
裕太は順番通りに動いた。
カバンを置く。
連絡帳を出す。
宿題をやる。
準備をする。
全部終わった。
「……できた」
■ 母の気づき
真依は思った。
(この子はできないんじゃない)
(順番が見えていなかっただけなんだ)
■ まとめ
裕太は、生活がうまくいかなかった。
でも——
・順番を見えるようにする
・物の場所を決める
・一つずつやる
これで動けるようになった。
「いい?真依ちゃん」
美佐子が言う。
「生活ってのはね、“気合い”じゃないの」
「やりやすい形にすればいいのよ!」
梅子がうなずく。
「できる子はね、覚えてるんじゃないの」
「迷わない形になってるだけ」
見えないものは、見えるようにすればいい。
分からないことは、順番にすればいい。
裕太は、自分のやり方で、
毎日を進められるようになっていった。




