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天文20(1551)年5月1日

5月1日。 朝7時過ぎまで寝坊した。皆、昨日は疲れたようだ。コンビニサンドとコーヒー・紅茶で簡単に朝食を済ませる。女子にばかり負担をかけちゃ申し訳ないしね。午後から借りた家に移動して整備だから、今のうちに船内の清掃と物品格納を済ませておく。倉庫の中身を確認して明日からの作業に備える。実は、徳山館の裏手の丘の頂上には、明日・明後日中に神明社を建ててしまうつもりでいる。モ・ルエラニの神明社のコピーが作ってあって、プレハブ建築が出来るように部分毎に倉庫に格納してある。後は出して組み合わせ、要所を金具で留めていけば良い。幸い、丘の上は疎らに低木が生えているだけで太い木は無く、草刈りして土台を作り、その上にプレハブ工事すれば良い。土台は穴を掘ってコンクリブロックを埋め、その上に厚めの合成化粧石を置いて作れば良いだろう。梯子として伸ばせる脚立を買っておこう。優也は、倉庫にしまってあった神様の立像 ―この前と殆ど同じー の微調整をやっている。やっぱり、才能とは恐ろしいもんだ。こればかりは全く追随できない。明後日迄に建立し、3日後には、会合の後で皆を神明社へ引っ張っていこう。

 昼食もコンビニ弁当と「お~い、お〇」で済ませ、待っていると、昨日の到着時に駆け付けてくれた大井介三郎が迎えに来た。

「(介三郎)昨日はお疲れさまでした。お使い頂く家に皆様方をご案内するよう、主から命じられております。ここから歩いて四半時かかりません。それから、神明社の建立の許可が出ている旨、お伝えするように言いつかっております。」

「(優也)それはありがたい。準備は出来ているので、早速だが案内をお願いする。」

・・・・・

 貸し出された家は、昨日、長門殿の屋敷へ向かう直ぐ手前を北へちょっと入った処で眺望が良い。

「(介三郎)此処でございます。昨日と今日の午前中で掃除を済ませております。何かあれば、三郎か長門様にお言いつけ下さい。」

「(秀明)大井殿、ご足労でござった。これは少ないが、世話になった警邏の方々へのお礼だ。このギヤマンの瓶には酒が入っておる。瓶の一番上の薄い金属を剥がし、見えてきた栓を抜けばよい。この瓶は落とすと割れてしまい、割れた角は鋭利なので手を切ったりするから、割らないよう気を付けてもらいたい。非番になった時に、順番に楽しんでいただきたい。」

と言って、一升瓶の安物日本酒とコンビニ焼き鳥多数を渡した。

「(介三郎)ありがとうございます。皆喜ぶでしょう。それではごゆっくりと為されて下さいませ。」

 介三郎が帰って行ったあと、全員で手分けしてしゃかりきになって整備を始めた。女子連は清掃の仕方が気に染まぬ処でもあるのか、充電式掃除機を使って隅々まで吸引している。その後、ワイパーを使って板敷の床面を拭いまくるつもりのようだ。我等男二人は、先ず発電機を設置し、配線して、コンセントとLED灯を各所に配置した。下水を確認すると、各家の溝から裏手の下水を流している小川に繋がっているのが分かった。これだと水洗便所には出来ないな。飲み水は井戸なので、一旦汲んでみたが、水質には問題が無いように見える。まあすぐ傍に小高い丘というか小山があるので、地下水は豊富なのだろう。井戸の蓋をちょっと補修するだけで電動ポンプを取り付け、しばらく下水溝に直接排水して水の張替えを行った。台所と風呂場にパイプを導いて配管した。化粧板を張ってある板材で洗面と台所のシンクを作り、下に排水口を開けて溝と繋げた。台所には竈があるのだが、使わないので厚板で蓋をしてしまい、その上に炊飯器やガスコンロなどを配置した。トイレは、この時代当たり前だがボットン式なので、使いにくいし臭いので外の廊下に小部屋を増設し、便器を置いた。生分解性の素材で出来ている処理袋と消臭/凝固剤を使うことにし、使用後、適宜ボットンの方へ捨てることにした。風呂は結構大きな五右衛門風呂だったのでそのまま使うことにして、風が外から吹き込む不要な焚口を適当に塞いだ。洗い場に、コンクリブロックを敷いてその上にスノコを置き、水回りと投げ込みヒーターの動作を確認すれば終了。ついでに風呂は沸かしておこう。

 その間、女子連は女子部屋と男子部屋の家具を配置していたようだ。各自の洋箪笥や机、椅子が倉庫から出されて見栄え良く配置されている。下がフローリングというか明け透けに言うと凸凹の板敷なので、厚めの絨毯を購入して部屋に敷いてある。両部屋とも二段ベッドを購入して既に組み立ててあり、部屋の隅にはマットレスと掛布団が積んである。いや、女子連も逞しいね。普通なら、12歳の女の子が二段ベッドの組み立て・配置、倉庫からの洋箪笥の運び出し・配置など出来ないだろうね。やっぱり女子2人も身体能力がもの凄く上がっているようだ。

土間の台所から上がった直ぐの処は囲炉裏のあるLDになっており、その両側に女子部屋と男子部屋が離れて対面する形になっている。まあ部屋の間仕切りが襖だからね、離れていないと室内の音がダダ洩れなので、この方が良い。しかし冬になったら寒そうだな、隙間風も盛大にありそうだし。暇を見つけて、各所の目張りとストーブの設置を行おう。

 今日は活躍した女子に先に風呂に入って貰い、俺と優也と二人で男料理を振舞うことにした。と言っても、作るのはビーフカレーとサラダだ。飯は炊飯器が炊いてくれるし。

 交代で風呂に入って男子が上がった後、松前の地での初めての食事だ。なにせ先程までは船の中だったからね。無事に此処に至ったことを神様に感謝しつつお茶で乾杯し、カレーをぱくつく。

「(咲耶)男料理も結構いけるじゃない。これならば、これからも偶に作って貰おうかしら。」

「(優也)いいぜ、毎度、芯のあるご飯とカレーで良ければ。」

「(咲耶)ご飯は炊飯器だから当たり前に大丈夫でしょ。」

「(美香)まさか、カレーしかレパートリーが無いとか?」

「(優也)いや、そんなことは無いぜ。目玉焼きでしょ、スクランブルエッグでしょ、ゆで卵でしょ、あと、トーストと塩にぎり。」

「(咲耶)そんなの料理って言わないでしょ。あきれた。」

「(秀明)お前ホントかよ、信じられんな。何も料理した事無いんだ。」

「(優也)いや、そんなことは無いぞ。アジの干物焼きや、焼肉も出来る。」

「(秀明)ダメだわ、コイツ。ステーキって言わなかっただけマシか。」

「(優也)えっ、ステーキって焼肉の延長上じゃ無いのか?」

「(秀明)うん、もうお前黙ってろ。」

「(優也)ひでぇー。じゃ、焼肉とステーキの調理の違いを説明してみろ。」

「(秀明)焼肉ってえのは薄切りだから直ぐに火が通るだろ、だから各自好きなように焼けばよい。しかしステーキはそうはいかない。厚いので火を通すためにパタパタひっくり返してばかりいると、肉汁、要するに肉のうまみ成分がこぼれ出て焦げてしまうだけでなく、パサパサで美味しくなくなる。ということで、火加減が大事、と同時にあまり引っくり返さない。先ず、旨味を閉じ込めるために表面をちょっと強火で焼く。次に、表面をそれ以上焦がすことなく中まで火を通すために弱火にする。この火加減と、時間調整が難しい。肉の奏でる音を聞くのさ。」

「(優也)ちぇっ、分かったよー。で、シュウメイは他にもレパートリーはあるんだろうな?」

「(秀明)ギョウザ、チャーハン、ロールキャベツ、ビーフストロガノフ、ボンゴレなどスパゲッティ各種、等々」

「(美香)美味しいギョウザやロールキャベツ食べたい。何時か本当にお願い。」

「(秀明)ラジャー。」

「(優也)お・ね・が・い♪」

「(秀明)気色の悪い声を出すな。手伝わせるからな、覚悟してろ。―さて、そろそろ寝ようぜ。」

「「「そうね(そうだな)、おやすみなさい!」」」


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