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一万人の転移  作者: 藤村 次郎
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シン歴の終わり

 シン歴59年 1月10日。

シンは87歳を迎えた。

あれから、59年。世代も変わって、あの当時を知るものも、100人を切った。

シン歴1年に始めたお見合い作戦では200組が結ばれ、毎年100人から200人が産まれた。第1次ベビーブームで、人口は15000人になった。第2次ベビーブームは2000組の夫婦からシン歴10年から20年の間に20000人の子供が産まれた。

そして、シン歴30年には総人口は30000人になった。


小さないざこざはあったが、概ね平和な40年が過ぎて行った。

シン歴40年の1月10日。8代目魔女のジローが、周辺都市との交易を許可した。というか交易路の開発を行った。魔女ジローは、当初、自然消滅を考えていた。アルファな種族の運命は滅びであるが、転移してきた一世も9割がこの世を去った。そして、生まれてくる子供たちにはアルファ因子が減少していた。

喜ばしいことであった。第3次転移者12000人は、良き導き手と、ジローの支援により幸せを手に入れた。

そして、魔女ジローは、この星の一員としてシン王国の民を、迎え入れることを決断したのだ。

導き手である、シンの役割はこれで終わった。


今日も青い空と青い海。涼しい風が吹き始めた秋の始まり。

神殿の横の草むらに、シンは座って遠くの海を見ていた。

「シン、元の世界に戻りたいかな? 」と、黄色のオーバーオールにピンクのブラウスで10歳のままのジローが横に座った。

「ああ。ここの役目が済んだ。楽しい人生を経験させてもらった。ありがとう。」とシン。

ユキは、昨年他界した。ポチたちも森に帰っていった。


「あの、日暮里に行く手前に戻すことが可能ですが、如何しますか?」とキー。

「ああ おれはカレーより美味しくて楽しいものを得た、ここで良い。そのうちユキの横に埋めてくれることになっている。」


おわり。


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