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一万人の転移  作者: 藤村 次郎
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シン歴2年1月1日

 新年会をやった。

年の節目には、新しい抱負を抱く機会を持つ。そして、神様に新年のお参りをして、今年1年の無事を祈る。

年の暮れから、総出で神殿の飾りつけを行った。

飾りつけは、救援隊長のアランと兵糧隊長のユメの元に、すみやかに行われた。

左右の柱には、稲わらで作った太い綱で飾られ、その横には、大きな竹が立てかけられた。祭壇には、米や、かぼちゃ、魚の干物、獣の肉の燻製などが所狭しと並べられた。

本部横には、櫓が組んであって、その上には大きな鉄の板が括り付けてある。いつもはこれで時の合図を送っているが、今日は板を3つ打ち、1休みを繰り返す。元旦なので、領民を神殿前に集める。


 「これより、新年の祝いを行う。皆のも、頭を神殿に向けよ。! 」とマサムネが大きい声で呼ばわった。

シンが、壇上に上がった。

「みんな、元気で何よりだ! 」

「今日は、めでたくも快晴である。このたび神殿の前で新しい年を迎えられたことを祝おう。」

「今年も、神様の庇護のもと、ここで繁栄することを誓う。」

「神殿を見よ。!右側の円柱には、“生あるものは魂を捧げよ”、左側は“生無きものは魂を望め”と刻まれている。ひとつに悪しき心を持つものはここに跪き、良き心を持ち帰れ。」と。


「八百万の神々とともにこの地の神も我々を見守ってくださる。感謝を捧げよ!」

シンは祭壇に向けて、2礼4拍手し、シン王国の繁栄をお願いした。そして1礼した。

返すように、皆の頭の中に声が響いた。

「しかと、汝らの思いを受け取った。今年も健やかに過ごせ。」と。

引き続き、豊穣の舞が奉納された。


 そして、今日は、ジローも同席してくれた。

「今日は、他でもない、この星の管理人である 8代目魔女のジロー様を紹介する。」

「皆もナズナの元に居たのを見たことがあると思う。 では、ジロー様 どうぞ。」とシン。

今日は、真っ白なコートに身を包み、茶色の帽子を被って、赤いブーツを履き、赤い手袋をしている。

「やあ、みんな元気かい? あたしは、君たちが心安らかに過ごせることを願っている。問題があれば、導き手であるシンに相談するように。 あたしは君たちにとやかく言うことはしない。手も出さない。 それが神様との約束なんだ。 でも魚心に水心と言う諺もあるので。うむ、 まあシンに相談してね。」


「あれ、あの嬢ちゃんって、そんなにすごいのか??」

「かわいいな。」

「魔女ってなんだ? 」

「魔法が使えて、恐ろしい薬が作れて、呪いを掛けられたり、やばいんじゃない。」


「ああ、それ、そこの兄ちゃん。 あたしは確かに怖いよ。 でも、あたしやこの星に敵意を抱かないかぎり報復はしないよ。 精々気を付けるんだね。」

あーあ、元旦そうそう言っちゃった。

まあ、脅しをかけておけば、血気盛んなアホも当面はおとなしいだろう。

ジローは嫌われ役を買って引き締めてくれた。感謝。

そのあとの女性居住区では、ジローは声を掛けられたり、抱かれたり、撫でられたり熱狂に迎え入れられた。その反対に、兵たちの多くの反応は、遠巻きにして恐れが顔に出ていた。


 1月20日 シンとユキ姫の結婚式が、神殿前で行われた。

カラサワ領に伝わる方式で、神前結婚式となった。

出席者は、任意ということであったが、ほぼ全員が集まった。

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