第14話
言いたいことは言いきった。
だって、あまりに奏多のことを考えていない人達なんだもん。
なんで、私はあんな人の言うことを信じて奏多にさよならしたんだろう。
私が西尾親子と対峙していると、間に奏多が入ってきた。
あっ、やっぱり私少し緊張してたのかも…。
奏多の背中を見てたら、力が抜けてきてちょっと震えてきちゃった。
そんな時、奏多が西尾さん達に話しかけた。
「ところで、西尾さん、こんなところで遊んでいていいんですか?確かそちらの会社で何か問題が起きているという噂を聞いたんですが…。」
「なっ!何を言っているんだ!失礼じゃないか!何なんだ、一体!」
西尾さんのお父さんが激昂している。
何ていうか、スゴく残念な人達だね。
そんな言い方したら怪しさ倍増なんですけど。
「いえ、こちらとしましても少なからず取引しているお相手のことは、気にかけていますからね。確証も無いのにそんな発言はしませんよ。」
奏多がそう発言すると、西尾さんのお父さんは低く唸っている。
なんか、ホントにこの人会社経営してるのかな。
失礼ながら、残念な感じが否めない。
そこへ、奏多のお父さんがやって来た。
「西尾さん、前からお話は進めていましたが、そちらとの取引は中止させていただきますね。もともとは貴方のお父上と懇意にさせて頂いての関係でしたが、今回のことで私共は難しいと考えました。」
奏多のお父さんはこう続けた。
「それに…会社だけの問題ならまだよかったのですが…貴方達は一番手を出しちゃいけないところに手を出してしまったのですよ。」
それって、もしかして私のことかな?
西尾さんが婚約者って言う話も嘘みたいだし。
すると西尾さんのお父さんが慌て出した。
「ちょ、ちょっと待って下さい!たかが、そんな娘のことで会社の取引のことまで決めるなんて、馬鹿げていますよ。それに、こちらとしても、優菜と奏多くんが結婚すればより良いお付き合いができると、良かれと思ってのことでして…」
えー〜〜、そこでそんな話しちゃうの?
今までの会話の流れからして、どうなるかわかるでしょ。
案の定、奏多が怒りを滲ませながら西尾さんのお父さんに噛み付いた。
「あのですね、なんで問題のある会社のお嬢さんと結婚する事が良いことなんですかね?大体、人の恋人に嘘を付いて別れさせようとする奴なんて普通選ばないでしょう。それに、仕事場にまで堂々と現れるなんて公私混同も甚だしいですよ。それを見て見ぬ振りをし、逆に手伝おうとするなんて社会人のすることですか!昔から言ってましたよね、御宅のお嬢さんと付き合うつもりはないと。なのに、勝手に私が出ていないパーティーなどで婚約者づらするなんて非常識ですよ!」
あーー、奏多も怒ってますね。
まあ、恋人っていうのは多少語弊があるけどね。
フリだったのは本当のことだし。
離れるのが怖くって奏多と話合わなかったのも、今回の出来事の要因の一つかもしれない。
「奏多さん!どうして私ではいけないのですか?そんな人よりも私の方が奏多さんには相応しいのに!」
ブチっ!
あ、あれなんか切れた音がしたような…。
恐る恐る奏多を見ると…ひ〜〜!
めっちゃ怖いよ〜〜。美形が怒ると迫力が違うね。
「そんな人だって?美羽のことを何も知らないくせにふざけたこと言わないでください。(女だからってゆるさねーぞ。)それに、貴方は私の何を知っているんですか?家柄ですか?それともこの顔ですか?どちらにしても対して親交もないのにどこらへんが相応しいのかまったくわかりませんね。(ってか、全然合わねーよ)どう考えても、私と貴方が合うとは考えられませんよ。(わかったか、この馬鹿女!)」
ん、なんか所どころ暴言が混ざっていたような。
でも、西尾さんはブルブル震えて青ざめている。
美形があんなんなったら、そりゃ怖いよね。




