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プロローグ
彼女と出会ったのは、月の綺麗な夜だった。
俺のお気に入りで、他に誰もいないはずの場所に彼女はいた。
銀髪が月明かりに照らされて、キラキラと輝いていたのを覚えている。
今思えば、この時の出会いもきっと偶然なんかじゃなかったんだろう。
「怪我はないですか?」
彼女が手を差し出す。
助けるつもりだったのに、逆に助けられてしまった俺は、素直に手をとることができなかった。
「ごめんなさい、驚かせてしまって。この子達は私のお友達なんです。」
彼女はそう言って、隣でおとなしくお座りしている魔犬の首に頬を埋めた。
本来ならば人間を襲うことしか脳のない魔獣を、彼女は完璧に手懐けていた。あたかも普通の犬のように。
その異様な光景に困惑して、あまりにも印象的で。
「一体何者なんだ、お前。」
つい、尋ねてしまったんだ。
彼女に興味が湧いてしまって、もっと知りたいと思ってしまって。
今思うとここから全て狂ってしまったのだと思う。
彼女に興味を持った時から。
彼女の名前を知った時から。
彼女という存在が俺の中に入ってきたこの日から。
俺はもうずっと彼女に囚われている。
金と地位にしか興味がなく、俺のことなんて眼中にない、悪女に。
そんな女にずっと、深く、溺れているんだ。




