表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢という面倒くさい役割、もう捨ててもいいですか? ~妖精たちと辺境ルートを満喫します!~   作者: トロ猫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/66

さらば! 悪役令嬢!

本作をご愛読いただきありがとうございます!

長らくお待たせいたしましたが、二章を再開します。

本作は嬉しいことに2026.07.17に電撃の新文芸様より刊行します


書籍化にあたって、本編の内容に少々変更があります。二章は書籍化に沿って進めていく予定です。やや違和感がある部分が出てくるかもしれませんが、できるだけWEB版もスムーズに進めていけばと思っております。


書籍の1巻は現在WEB版よりも話が進んでおりますので、そちらもお楽しみいただければと思います。


題名の変更

旧題

悪役令嬢という面倒くさい役割、もう捨ててもいいですか?~辺境ルート? 是非、お願いします!


新題

悪役令嬢という面倒くさい役割、もう捨ててもいいですか? ~妖精たちと辺境ルートを満喫します!~


人物名の変更について

リリ→ティア


なお、リクエストがありましたので、2章からは読みやすいようにエピソードに題名をつけさせていただきます。


よろしくお願いいたします。


トロ猫


 辺境への出発の日となった。

 アントンとマイルズには、購入した長距離馬車と馬たちの手配をお願いしている。だが、その前に私は貴族銀行にカルと向かう。

 オリビアの父親からぶんどった領地の支援費は金貨四千枚、それに加えて、王室からの賠償金が入金されたと昨日連絡があった。貴族銀行には私の宿泊先は伝えていたが、連絡はギリギリだった。

 連絡があった際に渡されたルナヴェル子爵当主である指輪を人差し指にはめる。

 貴族銀行の営業時間少し前に到着すると、貴族の執事たちが数人すでに並んでいた。

 開店直後は、待たずにすぐに先に並んでいた執事たちの数人よりも先に呼ばれた。


「あの人たちが先だったと思うのですが……」

「彼らは男爵家や騎士家の使用人でございます。順番的には間違っておりませんルナヴェル子爵様」


 日本で生きた美香の記憶が強いので、身分制度には違和感がある。だが、それがルールなら従う。

 銀行員に残高を確認してもらう。


「残高は大金貨百枚です」

「へ?」

「王室から昨日大金貨六十枚の入金がありました」


 は、はい? お金の数え方は基本金貨何枚~というシンプルなもので、大金貨数えは初めて聞いたので一瞬思考が止まる。

 まって……王室からの詫び金って金貨六千枚もあったの? オリビアの父親だってしぶりしぶり出したのは領地経営に年金貨千枚の四千枚だった。それを二千枚も超えるって、王室が太っ腹すぎるでしょ。

 以前のオリビアだったらどう思ったのだろうか。お金には無頓着な感じだったからよくわからなかったかもしれない。このオリビアへの詫び金は大切に使わせてもらう。

 金貨二千枚を引き出し、カルに預ける。辺境には貴族銀行はない。一番近い貴族銀行は馬車で一週間の場所にある辺境伯の領地だ。

貴族銀行を後にすると、カルが小声で言う。


「なんだかまとめてもらうと重みがあるな」

「私もあんな額を持ち歩けって言われたら、緊張するかも。カルの収納があってよかった。ありがとう」


 宿に戻り、カル、ティア、それからエリアスと部屋で共に朝食をとる。

 エリアスはまだおしゃべりはできないが、筆談はできるので意思疎通に問題はない。この数日の間にティアにはかなり懐いたように見える。ティアからエリアスが私に向けて書いた手紙を渡されたが、子供らしかぬ感謝の言葉が述べられていた。

子供に長旅は少々心配だけど、それよりさらに不安なのがオリビアの体力だ。大丈夫かなぁ……。


(オリビアはディーネの汁を飲めば大丈夫だから!)

(ワシの泥団子も忘れなよ!)

(あ、ありがとう)


 今回は妖精の二人をかなり頼りにしている。なんせ、私の領地は王都から一か月も離れた場所にある。シナリオが嫌で遠くの利益のありそうな土地を選んだけど、美香時代を含め一か月も陸路を移動する旅をするのは初めての経験だ。しかも、馬車で!

 平民の服に着替えチェックアウトすると、アントンとマイルズが荷造りの済んだ馬車を宿の横につけていた。


「二人ともありがとう。問題はなかった?」

「いいえ。予定通りです。この後に傭兵と合流したのち出発になります。それから――」


 マイルズが旅路を報告する。今日は五時間ほど向かった王家の統治する領の街で一晩過ごす予定だ。一か月もあるのでいくつかの領を跨ぎながら移動する予定だ。旅路はアントンとマイルズが提示したもので問題はなさそうなのでそのままお願いしている。

 馬車に乗り、席の心地よさに満足する。さすが長距離用の馬車だ、座り心地がいい。金貨三百枚払っただけある。

 ようやくこの日を迎えたかと思うと、本当に心の底から嬉しい。私の中にあるシナリオは、あくまでも通常モード(?)のこの世界で起こることだ。もうすでに私という存在が通常モードをぶち壊しているので、女神から貰ったシナリオに表示される出来事が、どれだけ実際に起こるのか……神のみぞ知るってやつかもしれない。

 ただ、シナリオにある王の死やその後に訪れる、ライ麦などの穀物の病気による飢饉などは起こると仮定して動いたほうがいい。

そのほかに重要な出来事は、飢饉あたりで第一王子が婚約者に毒殺されること。それをきっかけに第二王子と第三王子であるクリストフェルの王への椅子取りゲームがヒートアップする。

 うーん……クリストフェルが大公の後ろ盾を得る理由の一つに、私の元実家をオリビアの件を含め弾圧するという出来事があるが……オリビアと婚約破棄をした今、そのルートは辿りそうもな・だが、それが起こらない今は――まぁ、そんなこと、どうでもいいや。


「それでは、出発しましょう!」  

 

 予定通り、雇っていた傭兵のアルカディアの四人と合流する。男性三人と女性一人で編成されたパーティだ。まとめ役の男は、ザイルと名乗った。二十代後半の筋肉質の双剣持ちの男だ。少しチャラそうな男がケイン、体は大きいが寡黙の男がセイ、ジャラジャラと鉱石をつけた女はキアラと紹介された。


「よろしくお願いします」


 四人に頭を下げると、驚いたような表情をされた。


「何か……?」

「い、いや、貴族に頭を下げられたのは初めてなので驚いただけです」

「そうなのですか?」

「はい。私どもは雇われた身なので」


 ザイルが控えめな笑顔で言う。他の三人を見れば、一言も発さずに下を向いたままだった。貴族って思っていたより権力があるようだ。別に彼らにはいつも通りで過ごしてもらって構わないけど、そんなことをお貴族様である私に急に言われても困るだろう。


「長旅になるので、変に緊張せずに護衛をお願いします」

「よろしくお願いします」


 ザイルはまだ私の態度に居心地悪そうに返事をしたが、これから慣れてほしい。

 お互いに自己紹介も済ませたので、出発する。馬車の後ろにケインとセイが乗り、予備の馬二頭に残りの二人が乗った。

 門を通り抜け、馬車の後ろ窓から徐々に遠ざかる王都を見ながら口角を上げる。


 ――さらば、王都! さらば、悪役令嬢オリビア!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ