簡易版のいち
一部にて毒表現があります。
(2016/3/15 一部修正)
(2016/3/19 一部修正 及び 7 横書き、縦書き・数字を揃えよう に例文を一つ追加)
私は乱読気味なので、様々なジャンルに手を出しています。
検索で出てきたもの、日刊で表示されているもの、作者様のお気に入りにいれられているもののリンクから。
まず小説情報。そしてコメント欄を見ます。
ジャンルは何か。タグにはどんなものがあるのか。最初に投稿された日付と最新投稿の日付を確認し、半年以上放置されている作品にはよほどの事がない限り手を出しません。
コメント欄での感想や一言を見て、アンチの発言にしろファンの発言にしろ、活発であるならば好印象。
作者様の返信があれば尚良しですね。
そして、あらすじを読んでいざ第一話。
ここで会話文末尾で句点が使われていたり、疑問符感嘆符にも句読点が打たれていたり、一文字空白が使用されていないとかなりの減点。
一人しか発言していないのに一々かっこをとじ(」)、新しく発言させるなどを見るとうんざりします。
その作品がどれだけ多くの人に支持され長編作品にまで育っていても、そこまで読む気が起きません。
私が切る判断をするのは、早ければ三話付近。遅くても十話付近です。
作品序盤というのは、たとえていえば店構えです。ラーメン屋でも服屋でも構いませんが。
店構えが汚い店に入りたいと思う人は少ないでしょう。
店に入っても、店内の装飾・椅子や机、商品配置が汚ければ店を出ていきたくなりませんか。
掴みの部分で客(読者)を逃してしまうのは、大変もったいない事です。
なればこそ、きちんとルールを知って欲しい。
ルールを知った上で、その猛き妄想を作品として昇華して欲しい。
私はその昇華された作品を読みたい。
多くの人が素人だと思います。
起承転結をしっかりやれ。伏線張って回収しろ。なんて言いません。投げっぱなしでもいいです。
商業作品でさえ、伏線投げっぱなしなんてざらなんですから。矛盾点なんてありふれてますから。
登場人物の性格が変わっていたりもよくある話。唐突に兄弟姉妹が生えてきたりとか。
なので、ストーリーや展開に関しては私は一切口出しするつもりはありません。
ですが、小説としての体裁部分は別です。
中には、「その体裁部分とか気にしてられない」とか、「そんな堅苦しく書きたくない」なんて方もいらっしゃるかもしれません。
そういう方にとっては、私の言っている事は大きなお世話でしかないでしょう。
「ただただ気が向いた時に執筆してるだけで、読者ゼロでも構わないんだ」なんて方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方は、ブラウザバックして下さい。
さて、前書きが長かったのでさっさと本題に入りたいと思います。
「なろう」の中でも、小説の書き方をUPされている方はいらっしゃいます。
しかし、書かれている方がいらっしゃるにもかかわらず、スタイルがめちゃくちゃな方が多い。
【小説】には、ルールがあります。
たとえば、文頭は一文字あける。
たとえば、感嘆符(!)や疑問符(?)の後は一文字あける。
かぎかっこ(「 」)や、かっこ( )の文末に句点(。)を使わない。
ココではこういったルールを、幾つかの具体例を以って書いていきたいと思います。
1 文頭は一文字あける
まずは悪例。
寿限無、寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末 食う寝る処に住む処 藪ら柑子の藪柑子パイポパイポ パイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助
今度は正しい例。
寿限無、寿限無 五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末 食う寝る処に住む処 藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助
(改行位置は適当です。また、文章内容はwikiにあるものをコピペしております)
2 かぎかっこ(「 」)やかっこ( )の文末に句点(。)は使わない
まずは悪例。
「坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた。」
今度は正しい例。
「坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた」
これは、機械音声などを表現するときに使用する< >などでも同様ですし、内心での突っ込みや独り言・念話などを表現する( )も同様です。
もちろん、複数人の声を表現したり、機械音声や特殊な存在の音声・念話を表現する『 』や【 】も同様です。
3 感嘆符(!)や疑問符(?)の直後は一文字分あける
まずは悪例。
なまむぎ?なまごめ!!なまたまご!?
今度は正しい例。
なまむぎ? なまごめ!! なまたまご!?
(ちなみに、「 」や( )などの会話文・内心吐露、念話や機械音声などを表現する『 』や【 】< >などの時も同様です)
(余談ですが、疑問符や感嘆符の後に句読点は打たないので注意)
4 三点リーダ(…)は二セットで使用する
まずは悪例。
「おれが…おれが…ガン○ムだ!」
今度は正しい例。
「おれが……おれが……ガン○ムだ!」
絶句している状態や、少し長めの間を表現する場合でも使われますが、……がワンセットを考えて使用されると良いでしょう。
たとえば………………こんな………………感じ………………………………です。
他にも、――――(ハイフンの全角を並べたもの)など。
そして、こういった記号文字を使用する際に注意しなければならないのは、環境依存文字を使わない事。
みながみな、作者と同じ環境で読んでいるわけではありません。たとえばパソコンで読んでいる人の中にも、ウィンドウズの人やマックの人など様々です。
環境依存文字を使用すると、それを再現できない環境の方にはその文字の表示がおかしくなりなにが記されているのかわかりません。注意しましょう。
5 地の文は読者の為
たまにみかけるのが、会話文だけで何行も使い地の文がほとんど存在しないモノ。
登場人物がA・B・Cと三人存在するとして、全員が男だったり女だったりすれば、多少は口調で差別化がはかれます。
しかし、口調で差別化をはかるのも難しい場面はあります。
人数が多かったり、感情により言葉遣いが変化した場合などですね。
そういう時に、地の文にて補足を入れれば、読者の混乱を抑える事が可能です。
例文。
「そんな事言ったって、仕方ないじゃない。私、言おうとしたもん」
口を窄め、ふてくされた表情をするA子。それを見て我慢が出来なくなったB雄が怒鳴る。
「ふざけんな! お前がしっかりしなかったせいで……!」
「やめるんだ、B雄。怒鳴ったってなにも解決しないぞ」
発言の途中で先生がB雄を制する。
「まぁまぁ、みなさん落ち着いてください」
それまで傍観していた委員長も仲裁に入ってきた。
「確かにA子さんが言わなかったせいで、こんな事になってしまいました。ですが、僕たちも騒いでたんです。大人しいA子さんが言い出せなかったのも仕方ありません」
焼け焦げたサンマを見つつ話を続ける。
「サンマは焼け焦げました。これはもう取り返しがつきません。ですから、こうしましょう。このサンマは捨ててアジを焼きましょう」
どや顔で解決策を提示する委員長の頭を、先生が静かに叩いた。
「食べ物を粗末にするな」
さて。上記の会話文。地の文を消すとこうなります。
「そんな事言ったって、仕方ないじゃない。私、言おうとしたもん」
「ふざけんな! お前が言わなかったせいで……!」
「やめるんだ、B雄。怒鳴ったってなにも解決しないぞ」
「まぁまぁ、みなさん落ち着いてください」
「確かにA子さんが言わなかったせいで、こんな事になってしまいました。ですが、僕たちも騒いでたんです。大人しいA子さんが言い出せなかったのも仕方ありません」
「サンマは焼け焦げました。これはもう取り返しがつきません。ですから、こうしましょう。このサンマは捨ててアジを焼きましょう」
「食べ物を粗末にするな」
最初の三人目まではそれぞれ別人だというのはわかります。
しかし、四つ目の発言と五つ目の発言、そして六つ目の発言が同一人物のモノかどうかはコレだけではわかりません。
また、よくある悪文として、一人の発言を数度に分けて羅列するモノがあります。
上記の例文でいえば、地の文の消えた方の委員長の発言ですね。
地の文があれば、【だれが】【誰に対して】【どんな表情(仕草)で】話しているかがわかります。
(上記の例文では、表情や仕草を記してませんが)
6 情景・心理描写
5の地の文に近いものですが、描写がないと読者は困ります。
ファンタジーモノにつきものの【街道】。
さて。【街道】と一口に言っても、読者によって思い浮かべるモノは違います。
土や小石混じりの街道? 石畳で舗装された街道?
幅はどれくらいあるんでしょうか。馬車などによる轍はありますか?
街道の脇に雑草は生えてますでしょうか。街道横は草の生える平原? それとも樹木が生い茂る森?
どこまで詳細に描写するか、というのは作者の好みの部分もあります。
余りにも詳細に描写してしまうと、文章が物凄く硬くなってしまいますし、読み難くもなってしまうでしょう。
しかし、余りにも描写がなければ、読者単位で違うモノを想像してしまいます。そんな時に、さらっと描写されたものがあると、「え、これってそうだったの?」「こういうのだと思わなかった」となってしまいます。
登場人物の表情や仕草も同様です。
二人の人物が話し合っていたとして、それぞれの表情や仕草はどんなものでしょうか。
学校帰りに話し合っている? それとも教室に残って話している? 既にどちらかの自宅についている?
こういった描写がなく会話文の羅列だけだと、いまどんな状況なのかが読者に伝わりません。
描写は情報です。どこまでの情報を読者に渡すかは作者の腕次第です。
7 横書き、縦書き・数字を揃えよう
さて。横書きと縦書きでは表示のされ方が違います。
一万と漢字で書かずに、10000と打ったとします。
これが縦書き表示だとこうなります。
1
0
0
0
0
(正確にこうなるわけではないので注意が必要です)
これ、文末に引っかかり改行されると目も当てられません。アラビア数字を使用される際には注意が必要です。
また、作者の中には漢数字とアラビア数字をごちゃまぜにして書かれている方がいらっしゃいます。
中にはひどい方もいて、さっきは「レベル5」と書いていたのに、次には「レベル五」なんて書いてる方も。
他にも、「2日から3日、長くても十日は帰る事が出来ないと思う」などのように、一つの文の中で統一されていない作品も。
使用する表記は統一しましょう。
8 場面転換・語り手
場面転換に合わせてページを変える。語り手の変更に合わせてページを変える。
多くの人が使うやり方です。
しかし、この方法だけでは、一ページ内の文章量に偏りが出てしまう場合があります。
そこで使われるのが、記号の羅列による区切りや空改行による区切り。
記号の羅列による方法は、人によって違います。
数行の空改行に合わせてハイフンなどで区切ったり、☆などの記号を使用したり。
問題となるのは、この空改行のみでの転換が甘い場合や、頻繁に語り手(視点)が変わる場合。
まず、転換が甘い場合の対処ですが、これは簡単です。
たとえば三行以上、可能なら五行以上の空改行を使用する。或いは、☆や*などの記号を並べる。或いは複数の空改行、複数の記号を用いる。
こうすることにより、読者はこれまで読んできた流れが変化しているのだと気が付く事ができるのです。
そして、語り手(視点)が頻繁に変わる場合。
漫画や映画、アニメなどの作品であれば、同時進行の場面表現などもかなり楽になりますが、文字だけの世界ですと中々難しいものがあります。
人によっては、上記でもあげました通り、ページ毎に区切ったりもします。(side:○○ や ××視点など)
しかし、どうしても同じページ内で視点変更を行う必要も出てきます。
その場合も、場面転換などと同じように、記号や改行を駆使して読者に伝わるようにする必要があります。
ただし、注意点として。
一ページ内での視点変更は、最高でも二回くらいに抑えるようにしましょう。
単純に視点変更されるのが嫌いだという読者もいますし、頻繁な視点変更がなされると読者が混乱し易いというデメリットもあるからです。
このデメリットは、場面転換にも適用されます。
一ページ内での場面転換(日数経過や場所移動など)は、三か所以上にはならないようにしましょう。
9 欄外やコメント欄での裏話告白・設定暴露も程々に
ここまででずいぶん長くなってきているので、さらっと済ませます。
よくコメント欄での質問・突っ込みに対し、「これはこうなんです」「この時はこう考えていた為にこういう行動を取りました」など【言い訳】している作者さんを見受けます。
或いは、欄外にて物語にかかわる設定(裏設定)などさらっと暴露される作者さんとか。
そんな裏技使えるのって、ネット小説特有ですからね?
毒を以って言えば、自分の腕が足りない事を告白してるようなものです。
そういった設定や言い訳は、本文にて語るものです。
登場人物に語らせる。或いは、会話で語らせる。内心の吐露という形で表現する。地の文にて語らせる。
手法は様々ですが、コメント欄だと読む人読まない人の差が出てきます。
本文下にある欄外も同様です。紙媒材での小説に於いて、ページ毎のあとがきなんて存在しません。(章毎でも同様)
言いたい事。設定した事。どこまで本文にて表現するかは作者の腕の見せ所です。
場合によっては、多少くどくなっても本文に書きましょう。
以上で「簡易版:小説の書き方のルール」を終了させて頂きます。
分割した方がよかったかなぁとUPする段になって思った。
でも、今更分割する作業がめんどくさい。もう眠い。
多分、誤字脱字はないはず。あったら感想欄にでも。