一.暗 雲
20XX年、世界がAI競争で沸き立つ中、米中の独壇場と化したAI市場にクサビを打ち込むべく、純国産AI開発を目論む日本政府は国家プロジェクト「与作」を始動。
そして、中核となってプロジェクトを推進する「AI企画戦略室」を立ち上げた。
しかし、一日の長がある米中にはなかなか追いつけず、プロジェクト「与作」は早くも暗礁に乗り上げつつあった。
当然、AI企画戦略室は重苦しい空気に包まれたが、この状況を打開すべく今日も朝早くから会議が行われていた。
「えーっ、以上のことから、このままでは、どう頑張っても“与作”は米中のAIに追いつけないと、これまでの検証テストから導き出されました」
司会進行の現状報告から悲観的な意見が開発チームのメンバーの口から相次いで出た。
「確かに、アメリカはビッグテックが後ろ盾となって超高性能AIを次々と発表している」
「中国は国家戦略として官民挙げて自前のAI開発に躍起になってる」
「翻って我らの“与作”は計算速度は遅いし、回答は微妙にズレてる」
「無理だよ。どう考えても追いつけない……」
「予算も人材も桁が違うしな」
「与作も、もう終わりか……」
誰の口からも「性能で勝負するのは、さすがに厳しい」と、会議室には溜息が充満していた。
メンバー誰もが諦めかけていたその時、創造性に関する検証テストのアンケート結果が開発チームに微かな希望を灯した。




