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魔法で極める暗殺稼業  作者: マッスルアップだいすきマン
魔法で極める暗殺稼業
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異世界黄門様

 せっかく魔王の砦を攻略できたので、みんなで戦利品を漁ることとした。やっと異世界転生RPGぽくなってきた。RPGのテンプレ通り、魔人たちには装備できないであろう伝説級の武器防具がテンプレ通りの宝箱に入っていた。ただ、俺にとっては鎧は重いし、剣も使えない。全部中村にあげた。長老は無限収納袋を持っていたので、手当たり次第にお宝を袋に入れていた。田中は魔法使いっぽく、聖者っぽくもある杖を発見したので、装備していた。結局、おれには何も戦利品が与えられなかった。

 「お主も『勇者』ってことになっているんじゃから、それっぽい恰好しなさいよ。」

 長老から説教されたが、そもそも鎧なんて装備できないし、マントやローブ的なものは全部その無限収納袋に吸い込んでいるじゃあないか!

 探索を進めると砦の中には食堂らしきものもあった。気が付いたら半日以上何も食べていない。安心と同時に腹がすいてきた。

 「おいみんな、食事にしようぜ!」

 俺が元気よく皆に声をかけたが、皆すごく気まずそうな顔をしていた。俺はそれにお構いなしに食品貯蔵庫的なところに行ったが、皆の顔の理由が分かった。ウジ虫の湧いた蛇の死体だの、まだ生きているサソリだの、人間の生首だのゲテモノが陳列されていた。当然にして魔人の食性は人間と違う。

 げんなりしながら食堂に戻ると、俺を除く3人が肉だの魚だの野菜だのが入ったうまそうな料理を食べていた。

 「おい、ふざけんなよ!」

 俺はついつい声をだして怒ってしまった。

 「いや、井上がなんかウキウキしてたからさ。まあ、怒るなよ。お前の分もあるよ。」

 食料は田中の加護でいくらでも出てくるのを失念していた。

 少し機嫌が悪くなりながらも、半日ぶりに口に運んだ料理はうまい。いつの間にか俺も上機嫌になっていた。

 「で、これからこれからどうするの?」

 長老に話しかけたら、前にも見たようなニヤリとした笑みを浮かべた。不気味だ。結局何も答えてくれなかったが、しばらくしてラピ〇タでみたゴ◯アテの飛空音のようなものが砦の上から聞こえてきた。敵の急襲だ!

 俺は窓から空を見上げた。空には黒く塗られたフ〇-ザの宇宙船みたいなものが浮かんでいた。魔王はフ〇-ザだったのか!?夜空に突如として現れた巨大な宇宙船。その船体から放たれる眩い光が、静かな大地を照らし出した。光の中からゆっくりと降り立つ影。その姿は、まるで伝説の魔王そのものだった。

 彼の足が地面に触れると、周囲の空気が一瞬にして凍りついたかのように冷たくなった。彼の目は深い闇のように黒く、見る者の心を射抜くような鋭さを持っていた。彼の周りには不気味なオーラが漂い、まるで世界そのものが彼の存在を恐れているかのようだった。

 「我が名は魔王。我が眷属を倒した者はいずこか。」

 その声は低く、重く、そして威厳に満ちていた。彼の言葉が響くたびに、大地が震え、風がざわめいた。俺は恐怖に震えながらも、その圧倒的な存在感に目を奪われていた。魔王はゆっくりと歩みを進め、その一歩一歩が大地に深い痕跡を残していった。彼の背後には、宇宙船の光がなおも輝き続け、まるで彼の力を象徴するかのように輝いていた。事実、サーチングしてみたところ、レベルは200もあった。

 「おい、お前ら。魔王が来ちゃったよ!どうすんだよ!」

 俺は大慌てだが、相変わらず他の3人は落ち着き払って食事をしている。俺はいても経ってもいられず、長老の襟首を掴んだ。

 「そんな慌てなさんな。じゃあちょっくら行きますか。」

 長老はゆっくりと椅子から腰を上げた。他の2人もそれに続いた。4人で砦の門の前に出て、魔王と対峙した。

 「ほう、聖人田中とやらにエルフの族長か。そこの者は伝説武具を装備しているな。お前が我を討伐しに来た勇者か。」

 魔王は中村を指さし、指からビームを放った。中村は剣で難なくビームを弾き返し、返す刀で中村も剣からビーム的なものを魔王に向けて放った。

 「中村が戦っている間に我々は魔王の後ろを取るぞ。」

 長老が耳打ちした。同時に田中がハイディングを掛けた。俺が知っているハイディングは田中のみに有効であったはずだが、俺たち3人はすうっと背景に溶け込むことができた。


 なおも中村と魔王の激戦が続いていた。中村の剣が閃き、魔王の黒いオーラを切り裂く。しかし、魔王はその度に不気味な笑みを浮かべ、再び立ち上がる。彼の力は底知れず、まるで無限のエネルギーを持っているかのようだった。

 「勇者よ、お前の勇気は称賛に値する。しかし、我が力の前では無力だ。」

 魔王の声が響くと同時に、彼の手から放たれた闇のエネルギーが中村に襲いかかる。中村はその攻撃をかわしながらも、次第に疲労が見え始めていた。彼の呼吸は荒く、汗が額を伝う。

「まだだ、まだ終わらせない!」

 中村は再び立ち上がり、全身の力を込めて剣を振り下ろす。その一撃は、これまでのどの攻撃よりも強力で、魔王の防御を突き破った。魔王の体が一瞬揺らぎ、彼の表情に驚きが浮かぶ。

 「これは…!」

 しかし、魔王はすぐにその驚きを消し去り、再び攻撃を仕掛ける。彼の動きはますます速く、そして凶暴になっていった。中村はその攻撃を受け流しながらも、次第に追い詰められていく。

 「勇者よ、諦めるのだ。お前の力では我を倒すことはできない。」

 魔王の言葉が中村の心に重くのしかかる。しかし、中村はその言葉に屈することなく、再び立ち上がる。彼の目には決意の光が宿っていた。

 「諦めるものか。俺には守るべきものがあるんだ!」

 その言葉と共に、中村は最後の力を振り絞り、再び魔王に立ち向かう。彼の剣が再び閃き、魔王の体に深い傷を刻む。魔王の表情が苦痛に歪むが、彼はなおも立ち続けた。


 「おい、このままじゃ中村と魔王が刺し違えてどちらかが死んじゃうぞ!」

 魔王のほぼ背後に回った俺たち3人だが、俺は中村と魔王の死闘に目を奪われていた。

 「大丈夫じゃ。中村の厨二心がああいう戦い方をさせているだけじゃ。中村は死ぬことはないじゃろう。」

 また厨二心かよ。どんだけ中村は厨二病なんだよ。

 「さて頃合いか。」

 突然、田中がハイディングを解いた。ハイディングの意図は、後ろから攻撃してとどめさすんじゃないのか!そんな俺の心配をよそに長老が声を張り上げた。


 「控えおろう!こちらにおわすお方をどなたと心得る!恐れ多くも大賢者マサユキを葬った勇者、井上公にあらせられるぞ!」


 まじかよ。魔人アバドンにやった作戦と同じかよ!長老が啖呵を切った瞬間、中村と対峙していた魔王はゆっくりとこちらを振り向いた。

 「嘘をつけ!今我を傷を与えたこの者こそが誠の勇者であろう!そのような乞食風情が勇者なわけがない!」

 乞食呼ばわりされたわけだ。正直気分は良くない。

 「嘘だと思うならお主のサーチ能力で確認するがよかろう。」

 魔王は嫌々俺に顔を向け、目を見開いた。そして、驚愕の表情を浮かべながら膝から崩れ落ちた。それを確認した長老がここぞとばかりに決め台詞をはいた。

 「この『マサユキの討伐者』の称号が目に入らぬか!」

 「へへぇ~。」

 魔王は土下座をしはじめた。どうやら俺は知らず知らずのうちに『マサユキの討伐者』という称号を獲得していたらしい。それはそれとして、なんだこの時代劇は!俺と再会してからこういう絵を描いていたのかよ。脚本家田中にしてはベタすぎる展開なんじゃないか?もっと努力しろ!

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井上公を語る偽物じゃ! こうなっては致し方あるまい…皆のもの出会えい出会えい!
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