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304/305

(304) 事件その後

◇◇◇ 白川宅 ◇◇◇

時刻は朝7時


オレは現在、白川宅に居る。

リビングのソファーで寝る

1人の女性の元へと近づいているところ。


見下ろす形にまで側に寄っても

その女性はオレの気配にまったく気付いてない。

毛布にくるまって爆睡中である。


「クルミちゃん、朝だよ」

「は~い」


返事をするも眠り続ける。


「クルミちゃん、朝だよ」

「分かった」


「起きて!」

「起きてる」


「起きてない」

「起きてます」


会話をするも目を開ける気配を感じない。

なぜクルミちゃんが、ここで寝ているかというと

昨夜が事件で、単にクルミちゃんを病院へ

送り届けることができなかったから。

なら、嫁の部屋で寝ればいいのにと

頭を過ったが、部屋は段ボールの山で

ベッドはマットレスが剥き出しでシーツすらない。

そんな部屋で寝れる訳がないな。


「あれ?クルミちゃん、まだ寝てるの?」


嫁が着替え終わってリビングへと入って来る。


「返事はするけど、起きないんだ」


嫁もクルミちゃんを起こそうと

チャレンジするも同じ結果に。


1階入り口で車を待たしてある。

ここは抱きかかえて強引に連れて行くしかないな。


「このまま連れて行きます」


毛布を剥ぎ取ると。


「え!やだぁ」


クルミちゃんが目を開く。


「ちょっと、オジサンやめて」


オレの身体は田中のままである。


「迎えに来た。病院へ帰るぞ」

「えぇ、今から?」

「今から」


クルミちゃんはオレと嫁を交互にみる。


「朝帰りだぁ、朝帰り。

 ヒューヒュー」


嬉しそうで恥ずかしそうなクルミちゃん。

変な妄想されてません?


「何か誤解してるようだけど。

 さっきまで病院に居て、

 クルミちゃんを迎えに来たのだが、何か?」


・・・


反論がないようなので、

ポケットからスマホを取り出し

クルミちゃんに差し出す。


「これ、クルミちゃんのスマホ」

「くれるの?」


素直に受け取るのであった。


「これからは、自由にその身体(ニーナ)に乗り換えられる。

 連絡が取れるようになった方がいいだろ?

 オジサンからのプレゼント。

 クルミちゃん専用だから自由に使っていい」

「ズッキー姉ぇ、Line交換しよ?」


そう言って、アプリをいろいろと登録し

Line交換が始まる。


あのぉ!

下で車を待たしているんですが。

てか、早く病院に戻るぞ。


Line交換が終わると、

リビングの様子をスマホに映し出す。


「クルミちゃん?何してるのかな?」

「宝探しゲーム」


はい?


「トレジャールーム知らないの?」

「知りません」

「凄く流行ってるんだよ」


聞くところによると、

カメラを使ったスマホゲームで

部屋の一部を画面上に表示させ、

道具を使ってお宝をゲットするというもの。

ゲットしたお宝は、ゲーム内での通貨に

換金ができ、そのお金でアイテム強化していく。

トレジャーアイテムによってゲットできる

お宝が変わるらしい。


本当に流行っているの?

これのどこが面白いのだろうか。


最終的には、本物の賞金100万円が

受け取れるという。

なるほどね。10代に流行りそうだ。


てか詐欺ゲームじゃん。

どう考えても、部屋に高額な品が置いてないか。

進入口はないかの情報提供してるゲームだろ。

嫁に危ない目に合わせる訳にはいかない。


「クルミちゃん?

 そのゲーム、部屋の情報をネット経由で

 送ってません?」

「大丈夫。

 カメラ情報はネット送信しない

 権限設定になってるから。

 私だってバカじゃないよ」


へぇ。


「じゃぁ、100万円は嘘で、

 課金でアイテムを買わせてるんじゃないの?」

「それが課金がないの、このゲーム。

 広告もでないし。だから流行ってるの」


へぇ。

100万円の賞金は怪しすぎだろ。


「お宝見つけた!」


すみません。

10時から堀北んの試合が始まるんですが。


「そのゲーム調べて見る。

 安全だと分かるまで使用禁止」

「えぇ」

「今日お母さん来る日だろ。

 早く病院へ戻るぞ」


そう言って、オレとクルミちゃんは

1階へと降り、車に乗り込むのであった。


◇◇◇ 車中 ◇◇◇


『次は昨夜発見された謎の漂流クラフト

 についての続報となります。

 警視庁の捜査で、クラフトに記載されていた

 船名・登録番号から設置されていたであろう

 船体を特定された模様です。

 捜査官らは船体に乗船し、

 事件との関係性について調査・・・』


オレは発着室へ向かう車内にて、

昨夜の事件についての最新ニュースを読んでいる。


どうやら捜査官がクルーザーに押し寄せた時には

乗船者はおらず、争った形跡もなかったようだ。

オレらが脱出した後、急いで隠ぺい工作したに違いない。


クルーザーの持ち主は、不動産会社である

ノヴァシティ・ホールディングスの社長こと

桐生(きりゅう)竜之介(りゅうのすけ) 44才。

現在、任意同行で取り調べを受けているようだが、

あのクラフトは盗まれた物だと主張しているらしい。


なるほどねぇ。

このままだと逃げ切られそうだ。

胸糞悪い。


ネットで社長を調べると、顔写真が出てくる出てくる。

船の地下室で対面した野郎だ。

相手が誰なのか判明すれば、もう怖いものはない。

あとは、嫁にバレずに行動するだけ。


実はあの時、船内の様子をスマホで

こっそり録画していた。

10秒ほどしかないが、カジノをやっている風景は

鮮明に撮れている。

とりあえず、X でポストしておこう。

拡散されることを祈る。


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