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アイデア投稿作品群  作者: アッキ@瓶の蓋。


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元ダンジョンマスターは、伝説の吸血鬼の【主様】にして【従者】です #03

 ダンジョンマスターとは、ダンジョンで冒険者を迎え撃つ仕事である。

 最終的にはそのダンジョンで殺した冒険者から得られた資源(リソース)を、魔王に引き渡す仕事なのだが、なにも無報酬でやってる訳ではない。


 ダンジョンマスターには、冒険者の撃退云々に関わらず、ダンジョンに冒険者がいるという事態に対して、ダンジョンポイントというモノが溜まっていく。

 強い冒険者なら多くのポイントが、長く居ればそれだけの時間に応じて、ダンジョンポイントというモノが増えて来る。


 ダンジョンマスターは、このダンジョンポイントを使う事で、様々なことが出来る。


 魔物の召還。

 罠の設置。

 ダンジョンの拡張。


 そして、ダンジョンポイントを大量に消費して、他の魔族や魔物を自分の配下、従者にする能力----。




 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆




「----権限機能【テイム】発動!」


 ガブっと、噛みついて俺を従者として従属化させようとしているレーネディアに対して、持っていたダンジョンポイントを使って、俺は権限を発動させる。

 俺の手が青く光り輝くと、その光がレーネディアへと移動していき、彼女の身体が「ビクンッ!!」と揺れる。


 恐らくは今の俺と同じ状況。

 痛みではなく、快楽が全身を蝕もうとしているのだろう。

 それでもなお、俺に従属化させるために噛み続けるのは、流石としか言いようがないが。


「お主……何を……」

「言っただろう、元ダンジョンマスターだって。俺の身体には、辞める時に渡さなかった分のダンジョンポイントがたっぷりあるからな」


 ダンジョンマスターというが、別にダンジョンに居なくても、ダンジョンポイントがあれば、魔物の召還やら、罠の設置といった権限が使用できる。

 そうでなければ、ダンジョンなんて場所で、ずーっと、居なくちゃいけない過酷業務になるからな。


 普通なら、ダンジョンマスターを辞める際に、次のダンジョンマスターに引き継がなくてはいけない。

 しかし俺はその次のダンジョンマスターに無理矢理ここへ転移させられた訳だし、あるのだから使って構わんだろうよ。


「(ダンジョンポイントがあるからこそ、俺は勝ち目があると思ってこのボスの間に乗り込んだのだ)」


 俺が貯蓄しているダンジョンポイントは、かなりの量だ。

 冒険者をほとんど倒していないとは言え、100年もの間、地道にコツコツ溜めてきたから、相当な量である。

 そりゃあもう、例え大勢の魔物に襲われても落とし穴で対処出来たり、強力な魔物が出てきたらこうして【テイム】できるくらいには。



 ----まぁ、相手がまさかまさかの上位種たる、吸血鬼というのは想定外ではあったが。



「くっ……」

「分かるか、吸血鬼のお嬢さん。今から俺達がするのは、互いに互いの従属を約束する、不毛な決闘だ。俺の目的は、ただあんたを倒したという事で出てくるであろう、ダンジョンからの脱出だけが目的だ。

 あんたが従属化を止めるなら、俺も止める。でも続けるというのなら、俺も続けるだけだ」


 俺はこの吸血鬼を倒したいだとか、そういうのを考えていない。

 あくまでも俺はこのダンジョンから脱出したいだけだ。

 ダンジョンボスであるレーネディアが負けを認めれば、脱出するための鍵----帰還ポイントと呼ばれる脱出口も開くはずだし、俺が求めているのはそれだけだ。


 いま、俺達は、お互いに、相手を従者とするための能力を発動している。

 これ以上続ければ、相手に対して従者としてご奉仕しながら、相手を主様として命令できる----そんな、歪な主従関係が誕生してしまう。


 そうなれば、お互いに相手を切り捨てる事も、傷つけることも出来なくなる。

 なにせ相手が主様だから切り捨てられないし、従者である以上は相手を傷つけられない。


 そんな不自由な関係など、俺はごめんだね。

 だからこそ、レーネディアには今すぐ従属化の能力を止めるようにお願いする。


「ふっ、妾を従者にじゃと?! よろしい、ならばその能力が完全に発揮される前に、妾の従属化能力を速めればよいだけの事!!」


 そう言って、なんとレーネディアはさらに従属化への力を"強めてきた(・・・・・)のであります(・・・・・・)"。


 ----って、やべぇ!!

 言葉遣いにまで、従属化の影響が出てきた!!


「こうなれば、こちらも……!!」


 俺は【テイム】に、さらにダンジョンポイントを注ぎ込み、レーネディアへの従属化を進める。




「えぇい! 妾が主になるのじゃよ、"ご主人様"!」

「だったら止めろ! "お止めてくださいませ"!」

「上位種たる妾に、なんて口の利き方を"していらっしゃるのですか"?! こうなれば、止める訳には"まいりません"!」

「ああいえば、こう言う! どうなっても"しりませんよ"!?」




 そうして、互いに相手を従者にするという不毛な戦いは----


「「これからよろしくお願いします……ご主人様」」


 互いに、互いの従者にして、互いの主様という----歪な主従関係が成立してしまうのであった。




(※)帰還ポイント

 ダンジョンボスを倒すと出現する、ダンジョンの外へと出ることが出来る装置

 ダンジョンボスを消滅、あるいはダンジョンボスが敗北を認める事で起動でき、乗る事でダンジョンの外へとワープすることが出来る


(※)ダンジョンポイント

 ダンジョンマスターが使える、専用のポイント。自分が支配している領土、ダンジョンに敵がいる時間ごとに、ダンジョンマスターに加算されていくポイント

 敵が強ければ強いほど、得られるポイントは多くなり、このポイントを用いる事により、魔物を配置するために召喚する【サモン】、罠を設置する【セット】、ダンジョンを拡張する【エクステンド】、魔物を召喚する【サモン】などが使えるようになる

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