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“評価不定”と世界の混乱  作者: 浅賀ソルト


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4/4

皆が子供を持てる世界

 お嬢様の愛人とラブパレードの同伴について会話をした日の夜、私は研究室にいた。

 部屋にいたのはお嬢様と愛人、そして助手と私の4人である。会話の内容は情報公開、お嬢様が使っているいくつかの魔法を皆に教えるという方針についてだった。

 お嬢様は子供を望む人が殺到して奇跡の主のように崇められている現状を好いていなかった。誰でも使えるのは無理にしても、遺伝子操作の魔法使いであれば唱えられる程度には一般化したいと考えていた。

 愛人は特に意見がなく、私と助手はこの議論が繰り返されるたびに反対していた。今回も同様だった。しかしお嬢様の意思は固く、これまでと違って決定事項のようだった。

「私もこれまでは別にどっちでもいいかと思っていたんだよ。けどきりがない。子供ができなくて悩んでいる人はたくさんいるし、私1人じゃ全員は救えないよ」

 私と助手では反対する理由がちょっと違う。私は言った。「お嬢様のこの魔法は有効な“貸し”になります。いままでどれだけ敵対する貴族がお忍びでお嬢様のところに来たと思っているんですか? これは非常に強力です」

「人工子宮を使えば誰と誰の子供でも作れます。他人同士の子供を作ってそれを育てることもできます。その混乱を社会は受け止められません」助手は言った。「そしてたぶん、世界は二度と元に戻りません」

「つまりあなたたちは外交カードとして技術を占有して、みんなが使えるようになると世の中がどうなるか分からないから秘密にしろって言ってるんだ? 研究機関としてのレシレカシとは真逆に」

「そうです」「そうです」

 私はちらっと助手を見てから言葉を続けた。「お嬢様はどうして皆が使えるようにしたいんですか?」

「私1人では全員には唱えられないからだってば。さっき言ったろ?」

 お嬢様の愛人が言葉を添える。「知と白痴の神の話はしないの?」

 お嬢様は愛人の顔をちらりと見た。どういう表情か分からないが仕方ないといった様子で口を開いた。「アミュヘゾパウユが私の前に来て言うのよ。どうして魔法をみんなに教えないんだって」

 私はその名前を知らない。しかし助手は知っているようで驚いた顔になった。「知と白痴の神?」

「そう。どうやら私はその魔法使いの加護を受けているみたい。なんだか分からないけど」


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