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33/33

33.

 マルティーナはルーカスと共に、大神官一行を見送った。

 彼らは表面的には平静を繕っていたが、内心では意気消沈していた。


 元・婚約者もその中に含まれていたはずだが、誰がそうなのかは判別できなかったし、しようとも思わなかった。

 マルティーナにとっては、一切合切がもはや過去になっていたのだ。


「……はあ。今さらながら、手が震えてきてしまいました」


 一行が王宮を出ていったあとで、マルティーナは脱力しきって、そう言った。


「ほら、見てください」


 両手を掲げて、ルーカスに見せびらかす。


「あっ」


 左の薬指のつけ根が光るのが目に入った。


(これはすぐに返さないと……)


 ヴァレリアが所有していた指輪だからか、やけに指に馴染んでいた。


(だけど、私はヴァレリアではなく、マルティーナなんだから)


 震える指先を指輪にかけた。


「それにしても、この短期間でここまで準備してくれていたことに驚きました。私の元・婚約者のことまで調べてくれていたなんて」


 指先に力が入らず、もたついていた。


 そんなマルティーナの手を、ルーカスが両手で包むようにした。

 始め、震えを止めようとしての行為だと思った。

 しかし、違った──


「それは君につけていてほしい。ずっと……」

「ええっ!? そんなわけにはいきません!」


 彼がアーロンだったとわかっても、なおその言葉の意味を汲めないほど鈍くはなかった。


「指輪を返すかどうか、僕の話を聞いてから判断してくれないか?」

「話……ですか? それは、どんな内容でしょうか?」

「君の元・婚約者のことを調査したのは、今回のためではないんだ」

「では、一体何のために……?」


 指の震えが一層激しくなったのを、ルーカスが握って止めた。


「まずはどこから話そうか……君と学院の食堂前で再会したところから? いや、ヴァレリアに初めて会ったところからがいいかな。ものすごく長くなっても構わないだろうか?」

「それは……」


 ルーカスのお陰で、手の震えは止まった。

 しかし、代わりに心臓が震える。

 マルティーナはルーカスを真っ直ぐに見つめた。


「ぜひともお願いしたいです!」




END





最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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