あらすじ・あとがき
※小説家になろう×スターツ出版文庫大賞のため、最初にあらすじを入れています。
あらすじは選考期間中のみ表示します。
(小説家になろう×スターツ出版文庫大賞用あらすじ・400字以内)
「ゆのぽん」は男の子のような女の子。家庭内に暴力や虐待等の親の問題があり、自分の性を受け入れられずにいる高校生。「しのりん」は性同一性障がいのある他校の生徒。男の子として生まれたが、自分の心の性を隠して生きている。二人はいわゆる「腐仲間」で、同人誌等の活動の中で友達になった。
ある日、ゆのぽんに悪感情を抱く少女の策略により、学校で性同一性障害のことが知れ渡り、しのりんへのひどいいじめが始まってしまう。夏休みで田舎に帰省中だったしのりんは衝動的に行方不明に。ゆのぽんはしのりんの友人・茅野穂積と探しに行く。
しのりんの発見後、三人はこの問題を引き起こした少女に会いに行く。そんな中、ゆのぽんは自分やしのりんの人生と「幸せ」へのひとつの答えを見出しかける。
「ふつう」とは何なのか、友情とは何なのかを描いた物語です。
(ここからあとがきです)
「あとがきなんて、不要だろうか」
実はいつもいつも、そんなことを思っているのですが。
そう言いながらも書いてしまいますね、あとがき。まあすべての作品につけているわけではないのですけれども。
今回は、前作を書き上げたあと、もう本当に「ああ、もう本当の本当に、ひとっつも書くことがないよ〜」と思っていたのです。
真っ白。からっぽ。なんにもない。
ところがある朝、ふと目が覚めてまだベッドでごろごろしていたとき――そう、私は明け方近くに目が覚めて、まだ外が暗いような時間帯になにかをひらめくことが多いのです――「しのりん」「ゆのぽん」と呼び合っている、男の子のような女の子と、女の子のような男の子が赤いロープウェイにゆられている、そういうイメージが急に湧き起こってきたのでした。
そうしてあのプロローグのワンシーンを一気に書いたあとは、いつものような「芋づる式」。
プロット? そんなもんはありません(断言するな)。
登場人物も、そのとき、そのときで必要な人を最小限で出そう、という以外はなにも決めていませんでした。なにしろ短い話にしたかったので……といいながら、結局十万字越えはしてしまって、なんのことやらという感じですが。
プロットがあったほうがいいんだろうな、というのは、他のすばらしい書き手さんたちの執筆のご様子などを拝見していると切実に思うのですが、どうも私の執筆方法にはそぐわないもののようで……。
なんだかこう、書いていて自分自身が楽しめなくなってくると、どんどん書いているものそのものまでつまんないものに見えてきて、やがて書く気が失せるのですよね。つまりプロットありきだと、自滅しやすい書き手なのです。
そういう失敗を繰り返してきた果ての、この「ぶっつけ本番」執筆なのでした。
よい子のみなさんは、あんまり真似してはいけません(笑)。
今回は、いつもの紋切り型(という厳しいご感想をいただいたことがあって・汗)なキャラクターではなしに、わりに身近にいそうな普通のたたずまいの登場人物を目指してみました。
しかしそうすると、思った以上に人物にリアルさが付加されてきて、どんどん作者の身近にいる(あるいはいた)色んな人たちをモデルにせざるを得なくなり、途中からはもう、作者自身がちょっと怖いぐらいに思いつつの執筆でした。まあ誰とは言いませんが……。
ある意味ホラーです。対作者限定ホラー(ってなんや!)。
夏だからまあいいか。
お読みくださったかたが、「いるいる、こういう奴!」と思ってくださっていたら幸いです。
色んな困った人たちにも、人生があるんですよね。つらいことや悲しいこと、悩みやいらだち、うまくいかないもどかしさ、もろもろのことがあって生きているんだろうなあなんて、勝手な想像しつつ、書きながらそう思ったりした一ヶ月でした。
皆さんのお心に、なにがしかのものが残るようでしたら幸いです。
つたない文章ではありましたが、ここまで丹念にお読みくださり、ご感想やSNS上での読了宣言など、さまざまにお付き合いくださいました皆様、まことにありがとうございました。
それでは、いつかまた、どこかで。
2017年7月18日
つづれ しういち





