表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Code maker  作者: おおたち
2/2

000010

焼けた栗色の豚っぱなはオークであった。

自分が寝かされていたのは確かに病院で、運んできてくれたのはそのオークで、白いものの正体はエルフの娘でオークの主人。

後から来た看護師さんは確かに人間の綺麗なナースさんであったが、俺が感動ではなく混乱と恐怖に大泣きしたことを、ここに告白しておく。

それと、俺が死んだかどうかであるが、どちらか俺にも分からない。

ただ理詰めで理解できない事態であったので『異世界に転生したっぽい』としておく事を許して欲しい。

さて、病院には結局1ヶ月程入院していたが、その間俺は所謂『法術』で回復された。

痛いリハビリもなく、辛い副作用もない。素晴らしいの一言だ。

本来なら3日ほどで退院出来る程度だったらしいのだが、自分の体力と回復力が極めて低かったためこの期間掛かったらしい。

その間にエルフの少女とオークの大男、そしてその奥さんの世話になり、今も継続中である。

エルフの少女は白く長い髪に紫の瞳の長耳、本人いわくエルフでも珍しい外見だそうで人当たりが良いのに余り外出しないらしい。

オークはボルグさんという名前で、以外にも優しい人だった。

ボルグさんが言うには1ヶ月前のあの日、奥さんが出産すると病院から連絡を受けて大急ぎで病院に向かっていた時に出会い頭に俺と激突したそうだ。

俺はトラックにやられたかと思ったが、真実はオークだったのだ。

どうせぶつかって転生するならエルフの方が良かった。とは、ボルグさんには言えない。

ボルグさんの奥さんで俺の先に病院にて奮戦中だったのは、以前さる国の騎士であったという金髪碧眼と白い肌が美しい人間のシーナさん。現役時代の主力武器を見せてもらったが、なんかエグかった。

俺が不用意に「モーニングスターでしたっけ?」と言ったら「違いますよ」と笑顔で言われた。怖かった。

後からボルグさんに教えてもらったが、シーナさんは騎兵団長であったのが誇りであり、普段は本当に優しいが夫婦喧嘩になると全力で向かわないと最悪死が見えるらしい。

なお、産まれたのは元気な男の子で、二人の初めてのお子さんだそうだ。おめでとうございます。

俺はボルグさんご家族とエルフの少女の屋敷に居候として世話になっているが、俺の事情は取り敢えず聞かないでくれている。

姿からしてこの世界の者ではないのは知られているし、言語は通じるが入院3日目まで酷い混乱状態で俺自身何を喋ったか解らないので、つまりはそういうことだろうと思われている。


そういう怪しい奴でも屋敷に入れてくれたエルフの少女とボルグさんシーナさんご夫妻には本当に感謝しきりだ。

しかし落ち着いてみれば、なぜ病院で法術をだとか、少女が名乗らない事だとか、気になることが出てきた。住んでいるのは3人、いや俺も含めるなら5人で住んでる割にやたらと大きい屋敷だし、エルフの態度が柔らかいのも俺が知っている情報と比べると不思議だ。

まあ、優しいボルグさんもオークであるし要は『個体差』ということなのだろうが…。

気にかかる不明点は潰しておきたい自分の悪い性格が前に出る。

「ボルグさん…」

「なんだい?」

息子さんのゆりかごを揺らしながら話を聞いてくれるボルグさんはデレッデレで、本当にお子さんが可愛いようだ。

「『お嬢』さんって、なんで名前教えてくれないのかな?ボルグさん達も『お嬢』って呼ぶよね」

「ああ、それね…うん。そうだよね、気になるよね」

あ、ボルグさん困らせた。明日俺生きてられるかわかんない。

冷や汗が背筋を伝った気がしたが、ボルグさんは息子さんを抱えると「着いて来て」と促してきた。

「お嬢さんに聞きに行こう。君は知っておいても良いと思うから」

「は、はい」

三人は時々こうして、すごく身を寄せ合うような笑顔をする。

何かあるのだろう。

そしてそれを他所者で得体の知れない俺に話そうとしている。

優しいこの人達にできる恩返しがあるなら何でもするつもりだけれど、それは俺一人に背負えるだろうか?

覚悟の薄い世界で生きてきた俺には荷が勝つ気がするが、背負い切りたいと震える足を前に進めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ