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魔法とスマホの魔界戦記RPG  作者: 常日頃無一文
第2章:ヘイヘイヘイ天界ビビってる♪ ヘイヘイヘイ天界ビビってる♪
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30:クイーンはクイーンにしてクイーンにあらず

 展開はしかし、それだけに留まらない。


「ひょっひょっひょ。フンバルトモレール。宴もたけなわザンスね」


 ぞっとしないフレーズが聞こえてきたので振り仰げば、案の定、俺は目を見開くことになった。


「久しぶりザンスね、マダム・ステビア」


 今や仄暗くなった砂漠の空。そこをフリルだらけのタキシードをまとったスカトロ貴公子が、虫羽根をヴーンと羽ばたかせてここに飛来してくる。


 いまさら見間違えるべくもないその姿。


 ベルゼブブだ。


 デビルアンツたちが、一斉にアゴを鳴らし始めた。この戦況を変えるであろう、戦場に到来した新たな存在。その脅威を伝えるため、群れが一丸となって警戒をあらわにしたのだ。


 しかし今度のは、これまでとは気色けしきが違う。


 なんというべきか、デタラメに鳴らされたピアノのように、音の合わせ方が乱雑なのだ。

 銘々(めいめい)が単にがなりたてるようで、調和していない。


 それはまるで、避け得ぬ天敵に遭遇した被捕食者が、恐慌パニック状態に陥ったかのように。


 それはそう、集団行動の象徴たるアリとは思えぬほどに、女王に侍る選ばれたデビルアンツとは思えぬほどに、散々な合唱だった。


 ――ああ、そういうことか。


 俺は一人得心する。

 コイツらの心など読めはしないが、しかし今回のこれだけは分かった。


 畏怖している。

 アリたちはベルゼブブを畏怖しているのだ。


 飛来するピエロの影は、俺の近くまでまで来ると滞空ホバリングし、その姿を群れに誇示するよう身体を開いてみせた。

 そしてニィっと笑んで見せる。


「チンも間に合ったようザンスね」


 その表情はあくまで道化ピエロ。滑稽で愉快で不気味で、そしておおよそ戦に臨む面構つらがまえではない。


 しかしこれこそが悪魔王、ベルゼブブなのだ。


 ――――ベルゼブブ。


 ベルゼブブ・ベベンベ・ベルナディス。

 ネクロポリス王位簒奪者。

 神から救済を諦められた蝿の帝王。

 七つの大罪にまみれた、不浄を抱いた気高き暴君――タイラント・オブ・コンタミネーション。

 72柱からなる悪魔王において、サタンに次ぐ圧倒的な魔力と大天使ミカエルさえ退けた剣技を備えた悪魔王。


 ――――ベルゼブブ。


 威名は悪魔王の中にあって、なお頭一つ抜けている。


 そんなものがこの状況、この場に現れたのだ。


 いかに恐怖を感じぬとはいえ、慈悲を知らぬとはいえ。しかし生物である以上はどうしようもなく避け得ない本能的危機。それはデビルアンツが悪魔の蟻である以前に生物である以上、有している感覚センスだろう。


 それ故の畏怖。

 生き物故の畏怖。

 避け得ぬ畏怖。


 俺は言い切れる。

 間違いなく、デビルアンツたちはこのピエロを畏怖していると。

 さもありなんだ。

 デビルアンツたちが悪魔の皮をかぶったありであれば、ベルゼブブはハエの皮をかぶった悪魔『王』なのだ。

 この違いは圧倒的というより決定的で、穿って言えば『偽物』と『本物』の差異とさえ言えるだろう。


「ひょっひょっひょ。イッヒフンバルトヘーデル。これはこれは壮観ザンスね」


 洪水のような畏怖の賞賛を浴びた、空のベルゼブブが笑った。もっと怯えよ、もっとおののけとばかりに。


「ケツカラデルドー。何はともあれ自己紹介ザンスね」


 そしてこの悪魔王は告げる。


「ネクロポリス国王軍総司令官ベルゼブブ・ベベンベ・ベルナディス、ネクロポリス国王バルバドス・ゲロッパーズの命に従い、勇者ステビア・カモミール並びに次期龍帝大風院ポン太殿の助太刀に来たザンス」


 本物の悪魔が『おのが敵ぞ』と名乗り上げた時、

 とうとうデビルアンツのアゴ鳴りがどよめきのようにうなった。


 この有り様は一言でいって形勢逆転。


 俺は快哉を叫びたくなった。


 が、


 それをぐっとこらえた。


 落ち着け。


 まだ戦が決したわけでもなんでもないのだ。


 むしろ数の上では圧倒的に負けている。


 冷静になれば全然形勢逆転していない。


 それでもこのニヤけと高揚は何なのか。


 騒ぎの渦中であるベルゼブブは、砂地にサクっと降り立ってからまずはポン太に向き直り


「次期龍帝大風院殿。お初にお目にかかるザンスが、いまここは戦場故に正式な挨拶は改めて」


 と胸に手を当て軽く一礼。ベルゼブブらしからぬ礼儀正しさ。スカトロでも貴公子な理由がちょっと分かった。彼女もそれに略礼で応えると、蝿の王は俺の方を向いて一言いった。


「見違えたザンスよマダム・ステビア。すっかり勇者ブレイバーになって剣を振ってるようザンスね?」


 悪魔に誉められる勇者ってなんだよとツッコミそうになったが、ぐっと堪えて返答する。


「それだけに色々あったんだぜ? 生死の境をくぐったり経験値荒稼ぎしたり。……それでお前の方も、今の感じだと結構変わったんだろ? おもに中身」


 見違えたぜ、と、俺も返しておいた。

 震える寒さを、見栄で押し殺して。


 俺は確信に近い自信でそう言い切ることができた。

 ベルゼブブは、あからさまに変わっていると。

 前にネクロポリスを奴隷のように支配し、フィナンシェお嬢様に不遜な態度をとった、あのベルゼブブではないと。

 そこにハッキリとした理由はないのだが、しかしそんな瑣末な説明が不必要なほどの確信を、俺は有しているのだ。


 それはフィナンシェお嬢様のあのお灸が効いたからなのか、魔王の100叩きが効いたからなのか、あるいは自らで改心したからなのか。それは分からないのだけれど、とにかく彼は大きく変わっていた。


 ベルゼブブは答える。


「はてさて? 自分が変わったかどうか、ふむ。チンにはわからないザンスね。ケツカラデルド。しかし勇者マダム・ステビアがそう仰るのなら、チンは知らぬ間に変体したのかもしれないザンス。ひょっひょっひょ」


 片眉をあげ、ニヤっとした笑みを最後に一つくれてから、彼は女王の方を向いた。

 相変わらずいやみったらしい笑顔に、俺はまたニヤけそうになる。

 それはもちろん、この『昨日の敵は今日の友』的なベタベタとした流れについての気持ちもあったのだけれど、メインはそうではない。そうではないのだ。

 そしていまは戦場なのでスルーしようと思ったのだけれど、でもやっぱりこれは突っ込まざるをえない。


 そんなわけで言う。


「ところで、オマエ戦う前からなんでそんな満身創痍おとこまえなわけ?」


 そう。俺のニヤケは、『もう殴るとこないだろ』ってぐらいボコボコになってるベルゼブブの顔面に対する突っ込みだった。


 今まで触れなかったのだがこのベルゼブブ、目上が紫色に腫れてたりほっぺたパンパンだったり鼻血ブーだったり、なんかもういろいろ酷いのである。


 ベルゼブブは何かをデビルアンツの女王に言いかけたようだったが、しかし俺の突っ込みにもう一度顔を向けて


「ヘーデルトベンデル。戦場だから手身近に言うザンスよ。チンがダージリン教会付近で逃亡中のスカリン達を見つけて保護した後、安全圏で自己紹介したらマダムジェラートにスカリン誘惑の件でタコ殴りにされたザンス」


 衝撃的ながら、しかしとても納得の行く説明をしてくれた。

 ベルゼブブは肩をすくめる。


「国王陛下が突然ネクロポリスを飛び出して行くもんザンスから、何事かと尋ねつつ追いかけてみれば、『スカリンとマダム・ステビアが危機的状況になった』という連絡をダージリン教会からもらったということザンス」


 なるほどだった。


 つまりティラミスが、早い段階でバルバドスに連絡していたのだろう。


 助けがる、と。


 そういえば俺も、教会でベルゼブブからこんな返信メールをもらっていたっけ?


 ----------


 差出:スカトロ貴公子

 件名:Re:そういえば堕天御免状どうなったよ?

 本文:

 ――文章略――

 追伸:国王からの伝言ザンス。『ピンチのときは何時でも呼ぶんだぜベイベー』。これはスカリンにも言伝よろしくザンス。


 ----------


 この展開はつまり、そういうことなのだ。


 伏線フラグはきちんとあったのだ。


 流石は良い子のRPGである。


 さておき。


 ベルゼブブは続ける。


「ワーデルモーデル。だからこうして急行してみれば、現場ではスカリン達ではなくチンが危機的状況になったザンス」


 意味は違うのだが、なんだか返り討ちと表現してみたい。


 ベルゼブブはまた肩をすくめる。


「それでまぁHP3ぐらい残してカツラをもぎ取られたアタリで、マダムみーみ――最初誰か分からなかったザンス――が止めてくれたザンスが、……あと一発分止めるのが遅かったら、チンも死者としてネクロポリスの住民票を申請するところだったザンスよ」


 俺は思った。みーみ、同じ止めるならもう少し早く止めてやれば良いのにと。


「まぁ、自業自得だベイベー」


 バルバドスは腹をかきながら言った。


「修道女にすれば人生と同じぐらい大事なグリモアと、自分の命と同じぐらい大事なティラミスを同時に奪われたんだベイベー。命があっただけでもラッキーだ」


 案外このカエルも容赦無いものである。


 するとベルゼブブはバルバドスの方を向き、そのボコボコフェイスを少し引き締め、


「ごまかしてもだめザンスよ?」


 と目を細めた。


 ピクっと、なんだか都合悪そうにバルバドスの頬が動く。


「ヘーヒルトベンデル。国王陛下、少しは立ち振舞を自重して欲しいザンス」


 ベルゼブブが説教口調で小言をはじめた。戦場なのに。


「国王陛下の身体はいまやご自分一人のものではなく、死者の国全員のものザンスよ? どんな理由があるにしても、一兵卒のごとく突進するなどあってはならないことざんす」


 それは以前のベルゼブブからは想像もつかない、王を支える家臣の言葉だった。


「悪かったベイベー。しかし状況が火急だったんでつい」


「ついもヘッタクレもないザンス」


 ピシャリとベルゼブブはいった。


「火急のときにこそドッシリと構えてみせるのが国王陛下の仕事ザンスよ。右往左往している部下と一緒に国王陛下がアタフタしては、いったい誰が事態を収拾するザンスか? そもそもこういった荒事は国王軍総司令官たるチンの仕事ザンス。国王陛下はただ臣下たるチンを信頼して、ドッシリと構えて戦況を睥睨してれば良いザンス。良いザンスね?」


 恐ろしい、なんだかベルゼブブがまともなキャラになってる。ついでに体臭も。


 しかし、ベルゼブブが国王軍総司令官。

 またまたそういえば、お嬢様の馬車を出る前に見た『Arcadia戦姫ニュース』でやってたっけ? ベルゼブブがそんな大それた職位についたと。

 

 ベルゼブブがちらりと女王に流し目してから言う。


「そしてこの事態はもちろん織り込み済みで、きちんと手は打ってあるザンスよ?」


 またニヤっと笑うスカトロ貴公子。しかしボコボコなので笑みが歪だ。バルバドスが腕を組む。


「織り込み済みって、あのネクロポリス即席ゲリラ国王軍だろベイベー? バルバドスはあれ苦手なんだベイベー」


 即席ゲリラ国王軍。

 もうちょっと他になかったのかと言いたくなるようなネーミングだった。

 しかしバルバドスが言った『苦手』とは、どういう意味だろうか?


 ベルゼブブが言う。


「好き嫌いで国が守れるなら外交は苦労しないザンス。やれやれ、まだまだ国王陛下には知ってもらうべき現実が山積ザンスね。ワーデルモーデル。そんなことだから国王陛下はチンにあっさりと国を落とされたザンスよ? あの件は10対0でチンが悪いザンスが、国王陛下にも反省材料になるはずザンス。ちょっとは外交や戦略的駆け引きの勉強もして欲しいザンス」


 ザンス攻勢である。バルバドスの顔が渋くなった。


「ぐぅの音も出ないことを言いやがるなベイベー。分かったベイベー」

 

 しかしそう素直に頷いてみせるバルバドスに、ベルゼブブは少し驚いたような表情になった。

 が、

 しかしすぐに薄く笑って、それから脱力するように嘆息した。


「ふーー。まぁ、そうザンスね」


 反論を予想して投げたセリフに素直にうなずかれ、肩透しでも食らったのだろうか。


「国を守るにはともかく、しかし国を治めるのに最も必要な部分が『それ』かもしれないザンスね」


 そんなことを言うベルゼブブの顔は、呆れるようでありながらしかしどこか嬉しげだった。


 嬉しげ。

 そう、嬉しげだ。


 俺の知らないベルゼブブの表情。

 このベルゼブブの表情を見た時なんとなく、俺はこの蝿の王を変えたのはバルバドスなのではないかと思った。


 フィナンシェお嬢様でも魔王でもなく、他ならぬバルバドスが、このベルゼブブを変えたのではないかと。


 ベルゼブブ――神にさえ見放されるほど不浄で、そして猜疑心が強く智謀に富んだベルゼブブ。

 かたや、

 バルバドス――悪魔のくせに神も虫も殺せず、一旦身内となれば無防備なまでの信頼を寄せるバルバドス。


 同じ悪魔にありながら、性格的には徹底して正反対な2人。

 そんなものが交われば、あるいはこの程度の変化がベルゼブブに生じたとしても、特に不思議はないのかもしれない。


 もっと端的に言えば、かつて自分バルバドスの地位と名誉と家族を奪った大重罪人ベルゼブブを自らの重臣に据える、こんなふざけたことをされて、ベルゼブブはおかしくなったのかもしれない。


 だから変わったのか。

   

 そのとき俺の肩をチョンチョンとしたのはポン太だった。彼女は口を耳元に寄せてきて


「ステビア殿」


「なになに?」


「さっきから女王が放置プレイでブチ切れそうでござるよ」


 え? と、デビルアンツ軍団の方を見れば、確かに上空の白眼美人が、肩をワナワナと震わせていた。


「さて、デビルアンツの女王と申したざんすね?」


 ギリギリのタイミングか。ベルゼブブによるファーストコンタクトは、ひとまずそんなセリフより始まった。


「こうして国王陛下が名乗られた通り、ワレワレは死者の国ネクロポリスの者ざんす。そしてここにいる勇者ステビア・カモミールも、向こうにいるダージリン教会修道女長ティラミス・ダージリンも、前修道女長のジェラート・ダージリンも、みーみ・カモミールも、大天使エクレールも、すべて国王陛下の掛け替えの無い御友人。即ち――」


 ――これより先の彼女たちに対する攻撃行為は、


 ――死者帝国ネクロポリスへの宣戦布告行為とみなし、


 ――全軍を持って断固迎撃するざんすよ?


 ベルゼブブはキッパリと言い切った。


 ここまで来れば、詰みと言い切って良い。


 神殺しヨルムガンドと不浄の暴君。

 魔界に轟く二柱に加え、ネクロポリスの全軍を敵に回してまで戦う理由は、女王クイーンにはないはずだ。

 コレ以上のを通すことは、デビルアンツという種の生存を根本的に脅かすこととなる。それはやりすぎだ。

 そもそも、群れの生存のために始めた今回の水源をめぐった戦い。

 いかにクイーンが傲岸とはいえ、ここで引き下がらなければ破綻している。


 水源が手に入る以上、そうまでして戦う意味がないだろう? いい加減。


 しかしである。


 すぅ、っと女王の視線が冷えた。

 そして再び中空で足を組む。


「黙って聞いてりゃどんどん調子に乗って行くんだね? 悪魔王ごときが」


 悪魔王ごとき――。


 彼女はそう言った。

 

 あのバルバドス、このベルゼブブと正面から相対して。

 さらには国一つを敵に回す恐れを承知した上で。


 堂々と、悪魔王『ごとき』と言ってのけた。


 ベルゼブブももちろん黙ってはいない。


「魔界を住まいとしながら悪魔王ごときとは、随分と威勢のいいセリフざんすね女王」


 あくまで道化のツラでいう悪魔王だが、その口は好戦的な本姓を隠せずに、歯を剥きだした笑みになっている。

 対してなお一層、視線が凍っていくデビルアンツの支配者。こちらもこちらで、言うまでもなく好戦的な本姓の持ち主だ。


「自惚れるんじゃないよ。何が悪魔『王』さ。天界の天使崩れにして魔王に隷属している負け犬じゃないかい」


 見下ろすどころか見下すようにして、『ごとき』どころか負け犬とまで言った。


 俺は震えを禁じ得ない。

 今のセリフが虚勢からくる強がりの啖呵ではなく、度を超えた怒りからくる侮蔑の啖呵であるからだ。


 女王は、人間は愚か悪魔王さえも下等と侮蔑している。


 やはりこの傲岸さは、尋常ではない。


 つまり異常だ。


「魔王様は誇り高き悪魔王が隷属に値する偉大なお方ザンス」


 ベルゼブブはしかし、さらりと言う。


「ベンダシタイナー。神にさえ捨てられたチンをお救い下さり、あまつさえそのご息女にとんだ無礼を働いた上でもなお厳しくお許しになられた魔王様。そのすばらしさは語るに100万言、綴るに20万行はくだらないザンスよ」


「どうでもいいさそんなことは」


 視線のみならず声の温度まで冷えてきた女王。


「どいつもこいつもウダウダウダウダ回りくどく下らないことばかりホザきやがって。何が悪魔王だ? 何が魔王だ? 何がネクロポリスだ? 何が修道女長だ? 何が大天使だ? 何が龍帝だ? 何が信仰だ? 何が勇者だ? ご大層な御託ばかり並べて何一つ己を語っちゃいないじゃないか」


 そして一人ひとりを、突き刺すような侮蔑の視線で睨み下ろしていく。


「お前はベルゼブブ。お前はバルバドス。お前はステビア。お前はポン太。それだけ聞けりゃアタシは良いんだよ。あとは余分なんだよ。あとは華美なんだよ。あとは装飾なんだよ。あとは過剰なんだよ。あとは冗長なんだよ」


 手本を見せてやる。

 しっかり聞いときなよ。


 そう言ってから、すぅっと女王は息を吸い込み、


「 ア タ シ は ク イ ー ン だ !」


 直後、ビリビリと身を打つような音の衝撃が一帯で爆ぜり、思わず仰け反った。


 その迫力でつくづく思い知った。やっぱり形勢逆転とか全くしていない。


 恐らくこのクイーンの強さは、ベルゼブブやバルバドス相手にヒケを取らない。


「チンたちには名を要求している割に、自分は女王と名乗るザンスか? 辻褄が合わないざんすね」


 ベルゼブブの真っ当な問いかけ。だが、


「勘違いしてんじゃないよ糞虫が」


 とうとう負け犬どころか糞虫である。しかしベルゼブブにとっては褒め言葉だったらしくちょっとハニかんでいた。いや怒れよお前。


「アタシはアタシの身分として女王クイーンって言ってんじゃないよ。名前がクイーンなんだよ」


 ここで一つ、決定的な誤解が解かれた。

 

 クイーンは、女王クイーンではあるが、しかしその名もクイーンなのだ。


「おいそこの勇者」


 白眼が俺に向けられた。


「あんたも見えるんだろ? 見てみなよアタシのステータスをさ」


 そうやって彼女が魔眼で微笑みかけてきたのと、俺が『ステータス参照コマンド』を空に走らせたのはほぼ同時だった。


 ほの暗い寒空に、光の線が疾走する。



 名前:クイーン・レッド・ホット・チリペッパーズ

 職業:蟻の巫女(砂漠の悪夢:ドライ・ナイトメア)

 LV:3

 HP:5 MP:0

 装備:なし

 解説:生まれついての魔眼により、忌まれ子としてこの砂漠に捨てられた人間の娘。庇護を求めてダージリン教会を目指すも、熱と乾きによって途中で生き倒れる。意識が途切れる最中、行軍中だったデビルアンツに襲われるが、自らの魔眼でデビルアンツたちを魅了し、逆に群れの女王蟻を襲わせる。その後、クイーンは女王クイーンとして君臨することになった。そのままデビルアンツたちと暮らしを共にするうち、果たしてどのような呪いが働いたものか、その背には風を捉える羽が生えるようになった。彼女の異常な傲岸さを支えているのは、自らの運命と世界に対する憎悪である。



 ――生まれついての魔眼

 ――忌まれ子としてこの砂漠に捨てられた人間の娘

 ――庇護を求めてダージリン教会を目指す

 ――異常な傲岸

 ――運命と世界に対する憎悪


 俺は動けなくなった。


 ステータスを見たまま、動けなくなった。


 クイーンは人間だった。

 クイーンは人間の娘だったのだ。


 そして覚えたあまりにひどい既視感に、めまいさえする。


 青髪で捨てられた俺。


 片翼で捨てられたエクレール。


 魔眼で捨てられたクイーン。


 同じだ。


 酷く、同じだ。


 そして頭ではなく、心で悟る。


 コイツは戦う相手じゃない。


 戦うべき相手じゃない。


 そんなんじゃない。


 そして同時に理解する。


 このクイーンが、どうしてポン太の交渉に応じなかったのかを。


 戦闘を回避し、安全に水源を譲渡すると提案されながら、なぜそれを拒否したのかを。


 群れを危機に陥れながら、どうして大した理由もなく戦闘を選んだのかを。


 いやあるいは、


 執拗にダージリン教会に固執した理由は、

 大天使に入れ知恵されたのではなくて、

 もしかしてコレなのかもしれない。


 彼女は、

 クイーンは、


 デ ビ ル ア ン ツ の 女 王 で は あ っ て も 、

 デ ビ ル ア ン ツ の 女 王 蟻 で は な い か ら だ。


 彼女はデビルアンツを利用しているだけであって、デビルアンツに親しみの情があるわけではない。

 デビルアンツは生きる手段であり、道具にすぎないのだ。

 抱く感情があるとしても、それは憎悪に類するものだろう。


 要するに、究極のところ。

 クイーンにとってデビルアンツ『ごとき』滅びようが滅びまいがどうでもいいのだ。

 それどころか自分の人生だって、命だって、どうだっていいのだ。

 

 魔眼で人に捨てられ、

 魔眼で蟻を利用し生きながらえ、

 魔眼で世界を見つめながら、今日まで自分の運命を呪ってきた彼女。


 そんな彼女に、群れを慮る、命を省みる、そんな慈悲にも似た考えがあるほうが不自然ではないのか。


 そう、デビルアンツに慈悲の心がないように。


 ――慈悲の心がない?


 何か決定的なことを、無意識のうちに思い当たった気がして、反芻してみる。


 慈悲の心がない。


 デビルアンツに慈悲の心がないように、クイーンに慈悲の心がない。

 あるいは。

 クイーンに慈悲の心がないように、デビルアンツに慈悲の心がない。


「まさか……」


 放心するように、俺は呟いた。


 呟いて、愕然とした。


 結論から言うと、ここで気付いたことは一つの真相だった。


 俺はダージリン教会の件を振り返る。


 ティラミスが修道女見習いとしてダージリン教会にいたころ、その修室には大勢の修道女たちが詰めていた。

 しかし彼女の代になるに連れて、一人また一人とダージリン教会を去っていき、とうとうジェラートと二人きりになった。

 その理由はなんだ?

 砂漠の気候によるものか?

 違う。

 そんなことは最初から知っていたはずだ。ここはレッド・ホット・チリ・ペッパー砂漠。そんなことは了承済みで、彼女たちはシスターになったはずだ。

 デビルアンツがいたからか?

 違う。

 それも最初から知っていたはずだ。ここは悪魔の蟻デビルアンツが生息するレッド・ホット・チリ・ペッパー砂漠だ。そんなことは了解済みで、彼女たちはシスターになったはずだ。

 ならばシスターたちが去っていった理由は何なのか。

 上2つの理由を了承してなったはずのシスターを、どうして彼女たちは辞めていったのか。

 理由はこれである。


 ――デビルアンツたちが『凶暴化』したからだ。

 ――デビルアンツたちが、『慈悲の心』を喪失したからだ。


 ――クイーンの魔眼によって。

 ――世界を呪う彼女の魔眼によって。


 そう。

 デビルアンツがあまりに無慈悲で、あまりに人心を解さなくて、あまりに凶暴で、あまりに人間をエサとしか認識しなくて、あまりにも心がないのは、

 クイーンがそうだからだ。

 そんなクイーンに、魔眼で魅了されたからだ。


 それまではデビルアンツにも、生物並の、あるいは知性並みの分別はあったに違いない。

 少なくとも、ダージリン教会で修道女が暮らしていけるぐらいは。


 つまりダージリン教会からシスター達が離れていった時期と、

 このクイーンがデビルアンツの女王として群れを指揮し始めた時期は符合するはずだ。


「分かっただろうステビア?」


 思わず顔を見上げそうになったが、魔眼と視線が交わる寸前に目を伏せることができた。


「アタシは、クイーンなんだよ。そしてお前は、ステビアさ」


 ふふふふと、彼女が空で笑った。


「クイーンの言うとおりだったザンスか? マダム・ステビア?」


 ベルゼブブの問いに、俺は俯いたまま『ああ』とだけ頷いた。


 そしたらなんだか、眼から涙が零れてきた。


「ステビア殿?」


 ポン太の声に、返事さえ出来なかった。


「なに泣いてんのさステビア? あたしの『強さ』が分かったかい? そこの龍帝の嬢ちゃんよりレベルは上だろう? ッハハハハ」


 自虐とも取れる嘲るような声に、いっそう胸が締め付けられる。


 同じだ。


 クイーンは俺達と同じだ。


 同じだけど、違う。

 同じだけど、俺達とは決定的に違う。


 俺は髪が青いからという理由で両親から捨てられた――けれどもそれを教会の人が世話してくれて、最後はフィナンシェお嬢様が助けてくれた。

 エクレールは突飛な力と生まれのせいで天界を追われた――けれどもそれをティラミスやジェラートが受け止めて、彼女を救おうと一丸となってくれた。


 2人は揃って、生まれついてのどうしようもない理由で捨てられた。

 けれども、そこには手を差し伸べてくれる存在がいた。

 

 でもクイーンにはいなかった。


 彼女も生まれついてのどうしようもない理由で、砂漠に捨てられた。けどそこには、手を差し伸べてくれる存在がいなかった。

 でもそれでも、彼女は自らの力で助けにすがろうとダージリン教会を目指した。俺みたいに、誰かに拾われたり救われたりするのをぼんやりと待つのではなく、自らの力で救われようと、砂漠を歩いてダージリン教会を目指した。

 しかしそれが適わなくて、生き倒れた。

 暑さにやられ、

 乾きにやられ、

 彼女は倒れた。

 酷く絶望し、酷く苦しかったことだろう。

 そしてそんな中、意識の途切れるか否かというそんなギリギリの状況下にあって、彼女に差し伸べられたのは、救いの手ではなくデビルアンツの牙だった。

 行軍中だった悪魔の蟻に、エサとして目をつけられ、そのまま食らわれそうになった。

 そこで、クイーンは自らをこんな境遇に陥れた魔眼を使い、逆に女王蟻を襲わせた。


 そしてそのまま、

 自らを殺そうとしたデビルアンツのクイーンに成り代わり、

 自らを狂わせた魔眼に頼って、デビルアンツと共に暮らすようになった。

 人としての形を喪失うしなうほど、運命と世界を呪いながら。  


 慈悲の心をなくすには充分な理由だ。

 人心を解さなくなるのに、適当過ぎる経緯だ。


 そしてそんなクイーンの魔眼で魅入られたデビルアンツたちが、

 知性はあれど慈悲のない、真性の悪魔の蟻として砂漠を脅かしたとしても、何ら不思議な点はない。


 ―――あんまりだ。


 俺は涙を腕で拭ってから、


 寒さにかじかんだ腕を動かし、


 背の撫子の柄に手を回した。


「へ~。この気温下でやるってのかい?」


 クイーンのからかうような声。


「見直したよステビア。それとも勇者と呼んでやろうかい?」


 嗤うクイーン。


「ああ、俺は勇者だよ」


 静かに答える。


「勇者になって、悪魔アタシを倒すのかい?」


 俺は首を左右にふる。


「いいや、悪魔オマエを倒すのは戦士の仕事だ。勇者オレの仕事は、悪魔オマエを救うことなんだよ」


 クイーンの え? という声を聞きつつ俺は顔をあげて、


 真正面からその魔眼に視線を向けた。


 真正面より魔眼を受けた俺の心に、恍惚の波が起こる。

 どうか愛しながら食らって下さいと、倒錯した劣情に、心が魔眼に蝕まれていく。

 甘く甘く、蕩かされそうになる。


 それを制そうとするポン太を、手で遮るように止める。


「……何を考えているのさ?」


 クイーンの目が眇められ、心の高ぶりが大きくなる。


「当ててみなよクイーン」


 俺は朦朧と答える。


「さぁ、この魔眼を魔眼と知りつつ直視するなんて、自殺行為にしか見えないね」


「それでお前が幸せになれるなら、半分は正解だぜ」


 クイーンの目が疑念に鋭くなる。


「何を考えている? お前」


「お前と一緒に幸せになることさ」


 ごく自然にそう応えたとき。


 心を蝕む恍惚の波が、

 

 もう一つの波に押し返され始める。


 心の痺れを覚まし、

 蝕みの元を包み隠すような、

 優しくながらも力強い、青の波。


 俺の心に起きているせめぎ合い。

 まるでそれが見えているかのように、クイーンの表情が曇った。


「アタシと一緒に幸せになる? 訳が分からないね」


「オマエと幸せになるのなんて、訳ないからな」


 いよいよ魔眼の波を、心の波が包み込んでいく。青の波が、恍惚の波を侵食していく。


「ハッタリは通じないよ」


「知ってる。だから俺は剣をとって、お前の運命と戦う」


 心に起きた恍惚の波は、ついにいだ。


「ハッタリじゃなくて、命がけのガチンコでさ」


 だから目を閉じる。


「アタシの……運命?」


 その声は驚きに満ちていた。


 それは魔眼が破られたからか――自分の運命を狂わせたそれをいともあっさりと。

 今のセリフが意外だったからか――ここまで敵対してきた自分と幸せになるだなんて。


 それは分からないのだけれど、そんなこと今はどうだっていい。


「お前をがんじがらめにしているその呪いを、俺は切り捨てる」


 俺は開眼する。


 魔眼を真正面から睨みつける。


 睨みに睨みつけ、クイーンの瞳孔の中に映る俺自身を、睨み殺すほどの気迫で睨みつける。


 そしてそれが、魔眼が。


 毛ほども効果のない証として、ニっと笑んでやった。


「勇者『ごとき』を魅了できない魔眼なんて知れてるぜ! 大丈夫だクイーン!」


 握った撫子の柄を引き出し、青眼に構えた。


「今までよく頑張ったよ! でももうそれも終わりだ!」


 クイーンが驚愕する。


「お前のドライナイトメアはここでおしまい!」


 ここまでけしかけたら以心伝心。ベルゼブブがニヤリと笑い、バルバドスは槍を構え、ポン太もゆるりと腰を落とす。


 寒さはない。 


 震えもない。


 ピタリと止まっていた。

 まるでウソみたいに。


 どうしてだろうか、その理由は分かっている。

 それはポン太が教えてくれた。

 身を持って。


 鋭い刃物ほど、使い方を誤れば自信に危害が及ぶ。

 ポン太の一兆からあった生命バイタルが、瞬く間に消えそうになったように。


 俺の場合もそう。


 さっきまでの俺は、勇者としての在り様が間違っていた。使い方が、在り方が、間違っていた。だから動けなくなったのだ。

 でももう、大丈夫。

 大丈夫だ。


「ベルゼブブ。さっきの国王軍って、準備に時間かかるのか?」


 ベルゼブブは「まさかまさか」と笑って、否、嘲笑ってみせる。

 

「チンがスカトロ貴公子と言われていた理由は、単にチンの崇高な趣味を褒め称えて言われていただけではないザンスよ」


 カードの存在を明らかにするのは、

 それが切れるようになってから。

 つまりいつでも準備万端ザンス。


 よし。


 ならばけしかけよう。


 クイーンの呪いと運命を倒し、

 クイーンを救う戦いを。


 そのとき、すっとクイーンが手を挙げてみせた。

 その手の行方を、デビルアンツの軍勢が、複眼で追う。


「口達者な勇者に悪魔か。世界は広いね。けどさ、ハッタリはもう聞き飽きているんだよ」


 そしてその手を振り下ろす。

 合戦の合図として。


「 死 ね !!」


 身を打つような音圧で言い放った時、再び蟻の軍勢が雪崩打ってきた。


 しかしベルゼブブは動じない。


 むしろここで一層に笑みを見せる。


「ワーデル。デビルアンツのクイーンによる死者帝国ネクロポリスへの宣戦布告、いまここに正式に受理したザンス。それでは死者を敵に回すということの意味を、世間知らずの姫君にこの糞野郎スカトロのほまれ高いチンが教育してやるザンス」


 パチンと、指の打つ音が一つなったとき。


「クイーン!!」


 俺は叫んだ。


 彼女の目がもう一度俺を捉えた時、


 俺は自分の正しき在り様を、ここで叫ぶ。


「いま助けてやるから待ってろ!!!」


 そう。


 俺は悪魔を倒す戦士じゃなくて

 俺は悪魔を救う勇者なのだ。

 

 それとほぼ同時、

 砂漠一帯が爆発したのか、というぐらいの破裂音と砂塵が発生した。


 何が起きたのかというパニックに包まれる中、

 砂煙の中で緑色の光が、

 蛍のように灯りはじめた。


 ポツポツと。

 ポツポツと。

 ポツポツポツと。


 それもおびただしい数が。


 そして轟く、重奏のようなうめき声。


 砂塵の中で蝿の王が嗤う。


「ひょっひょっひょ。毒を持って毒を制すとはこのことザンスね。ひょっひょっひょっひょっひょ」


 砂煙が落ち着くのとベルゼブブの嗤い声が止むのはほぼ同時だった。


 そして俺は、現れた者達の正体を認める。


 結論からいおう。


 デビルアンツが、もう10万増えていた。


 ただし、


 向きは俺達と同じ方を向いて。


 そして目には緑の光をたたえて。


 さらには。


 身体のあらゆるところにダメージを負っていた。


 それは例えば、両手剣で『わっしょい』と頭を叩き割られたような致命傷であるとか。


 それは例えば、キャットレディのデュアルクロウに踊りながら八つ裂かれた四肢欠損であるとか。


 それは例えば、剣術の極意を極めた不可解に首を『とろり』と落とされただとか。


 それは例えば、青の聖雷に炭と変えられていたりであるとか。


 まぁ要するに、


 さっき、俺達に殺されたばかりのデビルアンツたちである。


「そ、そんな……」


 真相にたどり着いた女王は青ざめる。


 その青冷めた顔にベルゼブブが笑う。


「さすがの女王も、死者を惹き付けるだけの魅力まがんはないようザンスね。ひょっひょっひょ。まぁ死後はうちの管轄ザンスということザンス」


 既にその声は勝ち誇っていた。


 一陣の砂塵のあと、

 現れたるは死兵総勢10万匹。

 数の上では互角なれど、はてさて真実の戦力差は?


 蠢くデビルアンツの死骸。

 おぞましくも凛々しい死兵達。

 瞳に灯るは黄泉の明かりか幻か。


 生けるはずのない、動くはずない身体つくりになった蟻たちが、ゆらりゆらりと揺れている。


 ボロボロの身体。

 ズタズタの身体。

 ゆらりゆらりと揺れている。


 ベルゼブブが歌い出す。


 ――さぁさぁさぁ怯えなさい。


 ――さぁさぁさぁ震えなさい。


 ――死したお前の同胞はらからたちが。


 ――あまりにあまりに寂しくて。


 ――あまりにあまりに悔しくて。


 ――あまりにあまりに妬ましく。


 ――黄泉の国から招きにきたぞ。


 ――共に死のうよ同胞はらからよ。


 ズゥンという音が、一度響く。


 なんの音かと思ったら、


 クイーンに率いられてきた蟻たちが。


 恐怖のあまり、一歩後ずさる音だった。


 まず最初にベルゼブブは、彼らに恐怖を教育したのだ。

 

「さてこの軍団、チンが新たに名付けて――」


 ベルゼブブが告げる。


残機無限アンリミテッド再利用アンデッド軍団アーミーズ!」


 そんなどうしようもない真名を叫んだ時、

 死したデビルアンツが空を震わす雄叫びをあげた。


 顎鳴りではなく雄叫び。


 デビルアンツが声を発したのだ。


 あばばばばばばばば!(ネクロポリス最高!!!)と。


 ――なんでやねん。


 内心突っ込んだ時、


「さぁ誉れ高きネクロポリス国王軍!」


 ベルゼブブが腰より禁・刺突剣『ヘクソカズラ』を抜き払い、


「突撃してどんどこ仲間を増やすザンス!」


 その切っ先で眼前のデビルアンツを刺し殺すように指し示した。


 俺も剣を振りかぶりながらベルゼブブに思った。


 この糞野郎スカトロ!!


 そして自分に思った。


 この布陣は勇者失格!!


 でもそれ以上に思った。


 こんなだけどでもちゃんと助けるから安心してクイーン!!


 そして戦場に身を突っ込んでいった。横目に、「学習しないザンスね」とベルゼブブに撮み出される国王バルバドスを見ながら。

勢いで投稿しましたが、

たぶん説明くさいお話になってると思います^^

要するにテンポ悪いでしょう(爆)


さて今後の展開、果たしてどうなるでしょうか?


真実の敵は?

本当のゴールは?

お嬢様何してんだ?


いろいろな疑問を用意し、色々な推測をしてみて下さい^^


ではではまた

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