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魔法とスマホの魔界戦記RPG  作者: 常日頃無一文
第2章:ヘイヘイヘイ天界ビビってる♪ ヘイヘイヘイ天界ビビってる♪
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5:アミーゴどいや!

「ブッチャケちょっと聞いちゃっていいっすか?♪」

 

 緊迫の空気の中、横槍を入れるように問いを発したのは、ネコハンドをミニ挙手の形であげてるみーみだった。

 アミーゴ達の目線が、右向け右でみーみの方を向く。

 さっきまで、俺たちのヤリトリを通りすがりを装ってニヤニヤと見守っていたこの護衛ペット、ようやくの推参である。


 アミーゴが言う。


「なんやセニョリータ? もしかしてこのハワイアンブルーセニョリータの仲間かアミーゴ? まぁええわ言うてみいでアミーゴ」「アミーゴどいや」


 みーみは「にゅん♪」と頷いてからハッキリと言った。


「 ト ゲ が な い サ ボ テ ン と か 、 確 実 に キ ャ ラ 設 定 ミ ス ら れ て な い  っ す か ♪ ?」


 と。


 しーんっと、あたりが静まり返った。

 砂漠の風がヒュオーっと流れた。


 いや――、


 ――まぁ。


 最初は俺もそう思った。


 このアミーゴ、キャラ設定微妙だなーとか、作成時間10秒切ってんだろうなーとか。確かに、まぁサボテンと言えばトゲトゲしたものを連想するのはわかるけれど、冷静に考えてみたらトゲのないサボテンだってイッパイいるし、お店で売られてる多肉植物とかでも買う人の安全性を考えて、最近ではトゲのないものをメインに扱ってるらしいし。

 それにそもそも、アミーゴたちがまだサボテンと確定したわけでもないわけで、だからそうやって設定ミスと言い切るのはまだ早


「「「「「「「お前にワシらの気持ちわかってたまるかアミーゴ!?!?!?!?」」」」」


 アミーゴたちの一人が両手をついて「うおおお」っと嗚咽し始めた! 的中してたのか!?!? 


「 お前に製作時間3秒の気持ちがわかってたまるかアミーゴ!?!?!??!」


 真ん中のアミーゴがマラカスをビシっとみーみに向けて泣きながら吠える! 作成時間もはや5秒切ってた!!!

 

 どうでもいいがしかし衝撃の事実が二つも明らかになって、俺もペンギンも動けなくなった。みーみは「ありゃりゃ♪」とネコハンドで頭をかきつつ


「デリカシーないこと言ってメンゴメンゴ♪ でもボク、悪気はなかったっす♪」


 本気でこのネコに悪意はないのだろう、だからこそ残酷だとも思った。


「どいやどいやどいやー! うおおおお」


 と伏せって泣いてるアミーゴを、他のアミーゴが


「しっかりせいアミーゴ! 3秒のキャラ設定で全てが決まるんやない! みてみいマラカス振っててよかったやろ! こうして登場機会がやってきたんや! あとで田舎のカーチャンに電話や!」


 とかバックストーリー彷彿とさせるようなセリフで慰めていた。

 みーみは、けれども納得いかなさそうに「にゅ~ん」とネコハンドで鼻を触りつつ


「でも、ただ、こう。サボテンのお化けって如何にもトゲとか飛ばして攻撃してくる感じっしないっすか?♪ ほら、例えばファイナル○ァンタジーのサボ○ンダーみたいに、針千本とか♪」


 おお、別ゲーの話しだしたぞこのネコ娘。アミーゴの一人がシャカシャカシャカシャカ♪ とマラカスを振って、振り終わったら


「アミーゴ! 無茶言うなやあんなもんフィクションや!」


 いま何でマラカス振った? と微妙なことが気になったのは俺だけだろうか。ペンギンが「ステビア殿、これは出番の少ない芸人が僅かなチャンスにちょっとでもアピールしようとするアレでござるかな?」と何か暗いことを耳打ちしてきた。後頭部に汗がおりてくる。


「第一考えてみいや、サボテンのトゲはお前らで言うたら体毛やぞ? 体毛。あんなもん攻撃のたびに飛ばしとったら、そんなもんいっぺんにハゲてまうやろセニョリータ?」


 すごくまともな意見だと思った。ペンギンが「私はお腹が膨れてたいそう眠たいでござる」と目をゴシゴシゴシ。いちいち緊張感のない生物である。

 みーみがキョトン。


「え、トゲ使わないなら一体どうやって攻撃とかするんすか?♪ 普通に殴ってくるんすか?♪」


 みーみの問い。殴るって、もうそれサボテンである必要性皆無だな。

 サボテンが否定するようにマラカスを左右にシャカシャカ


「ちゃうちゃう! これやこれ! マラカスや!マラカス!」


 言いながら、またシャカシャカシャカシャカ♪ シャカシャカシャカシャカ♪ 


「トゲないからワシらマラカスなげるんや! 」


 トゲないから演奏道具投げんのか。

 みーみが尋ねる。


「トゲあったらトゲ投げるんすか♪?」


「トゲあったらトゲ大事にしてマラカス投げるでアミーゴ」


 結局マラカスなげんのかよ! おお、プニプニが眠そうに立ったままこっくりこっくりと船を漕ぎだした。本気で眠いらしい。


「で、投げたら後でひろてかえるんやアミーゴ」


 みみっち!


「後片付けは礼儀やからな! なぁアミーゴ!」「そうだでアミンゴ!」「アミーゴどいや!」


 なんかまともなこと言ってる!


「繰り返すが私は足手まといだ!」


 目覚めたペンギンが突然ズバっと手を差し向けて一喝! 何でこのタイミングで済んだ話蒸し返すのプニプニ!? 


「百聞は一見にしかずや見てみいアミーゴ!」「ざれごとはここまでどいや! セニョリータ!」「アミーゴどいや!」


 そのときアミーゴたちがマラカスを振りかざした! ペンギンを全く相手にしていない! ペンギン落ち込んだ! あ、ふて寝した。


「これが俺らマラカスマスターに伝わる必殺のマラカス投法――」


 10人が一気に、その両手のマラカス都合20本を振り上げる。

 流石に俺もちょっと警戒した。マラカスマスターによる必殺のマラカス投法だと?


「『全力投球』でアミーゴ!!!!!!」


 単に投げるだけだったーー!!! っていうかみーみじゃなくて全員俺狙いかよ!! 


「別名『アミーゴはワシが育てた』どいや!!」


 なにその意味不明でセンイチくさいだけの名前は!! っていうか恐ろしく精度いい! ヒュンヒュンと風切り音立てて殺到してくるマラカスの嵐! これ回避ムリ!!


御主人様センパイ!!!」


 みーみの悲鳴の直後、全弾が俺に命中した。



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