前作までのあらすじ・用語・登場人物・相関図
これまでのあらすじ(前作までのネタバレを含みます)
[異世界]
・猿の転生Ⅰ(転生編)・Ⅱ(夷征東編)・Ⅳ(二所朝廷編)・Ⅵ(黄泉還る鬼編)・Ⅷ(革命編)
人語を話す猿族と特殊能力を持った人間たちの対立する12万年後の世界に飛ばされてしまった青年、ましらの物語。
[現代/Side-B]
・猿の転生Ⅲ(天使編)
Side-Aの主人公・ましらのクローンとして生まれた少年の物語。西暦2248年現在、公安警察治安維持局、通称「伏魔殿」のエージェントとして暗躍する高校生、真白 雪は、強化された肉体と特殊能力を付与された改造人間「12人の怒れる男」の一員である。自身の生みの親であり、公安警察の敵対組織である「エデン」壊滅のため駆り出された彼は、自らの存在意義をかけ淡々と組織の命令を下す日々を送る。そんな生活を送っていた雪だったが、次の標的となった少女、一々江の暗殺に気持ちを揺るがせるようになる。改造人間第一号の力を継承し、特異な不幸体質を持つようになった少女、のまえを不良グループやエデンの刺客から守ることを決意した雪は組織の命令を拒絶し、彼女のもう一つの人格、ニノマエの喪失を代償にのまえを助け出すのであった。
・猿の転生V(悪魔編)
平和な夏休みを送る雪とのまえの前に、人類最強の能力者、〈12人の怒れる男〉第2号御黒闇彦が現れる。行方不明の第1号能力者・昼神イヴとの闘いを望む御黒は、昼神の所在を掴む手掛かりとしてのまえに目を付ける。御黒の圧倒的な力の前に大敗を喫しのまえを奪われた雪は、幼馴染にしてエデンの第9号・雨乞烏合の手で、〈エデンの悪魔〉こと第12号能力者・「寿」が収監されるエデンの施設へと連れていかれる。強力すぎる御黒はエデンすらも手を出せない存在であり、彼に対抗する戦力として利用するため、エデンは敵対するはずの雪に能力開花の助力を施すことにすると言う。
一方南の島へ訓練合宿に来ていた不良組・悪童隊一行は、元エデンの構成員・跡星丑を教官に厳しい特訓を続けていた。同行する見、葎の協力の下開催された能力者候補最終選抜試験は、エデンの刺客として潜り込んでいたスパイ・野一色靜馬の計略によって混乱に陥る。跡星を退け、悪童隊の大半を捉えることに成功した靜馬は、葎暗殺を図り変装して見に近づく。しかし変装を見抜いた見の機転によって靜馬は撤退。最終選抜を制し能力を与えられた馬飼らの活躍によって、襲撃者たちを鎮めることにも成功する。
一方御黒の根拠地を南極大陸と特定したエデンは、最高戦力〈12人の怒れる男〉のうち3人を同時投入するという異例の襲撃を展開する。彼らの後を追って南極に来た雪は、エデンの刺客たちを簡単に一掃してみせた御黒に再び相対することになる。御黒の常人外れな力の前に死の淵へと追いやられた雪だったが、意識の果てで「神」との邂逅を経て復活、第12号能力者「寿」としての真の能力に目覚める。〈エデンの悪魔〉の正体は雪自身であったのだ。暴走状態として12人全員の狂花帯を模倣可能となった雪、その攻勢は御黒にも届きうるものであった。地の利を生かした御黒の攻撃に雪は惜しくも敗れるが、御黒は彼の実力と努力を認め、のまえを解放するのだった。
御黒の排除に失敗したエデンであったが、その黒幕「灰色の枢機卿」とその側近・祁答院伊舎那は満足気だった。雪を裏切ったかつての級友・伊舎那はエデンの首領である枢機卿の実の息子であり、枢機卿の正体は政界の要人、呰部副総裁であったことが明かされる。
・猿の転生Ⅶ(人間編)
伏魔殿の本部に、ついにエデンが侵攻を開始する。全国から集めた精鋭たちと共に撃退に臨む伏魔殿だったが、エデンの策略を前に敗北を喫する。
人物相関図
黒塗りは死亡扱い、緑塗りは〈12人の怒れる男〉を現わす。名前が緑のキャラは新規キャラクター。
Side-B の登場人物
[伏魔殿]
・真白雪/Q/|寿
『悪魔が来りて笛を吹く』
公安組織「伏魔殿」に所属する高校一年生の少年。改造人間「12人の怒れる男」第五号・真白雪のクローン。伏魔殿の局長であり育ての母でもある紫のことを長年拒絶していたが、関係も夏の一件で雪解けに一歩前進した。肉体が改造強化されており、常人離れした耐久力と身体能力を持っている。五号のましらと同じく時空間に干渉することができ、予知や超速移動、残留思念解読が可能。これらの能力はクローンの肉体に由来する思われていた。しかし実際は雪自身が持つ、第12号能力者としての狂花帯模倣能力がその正体であった。
・一々江
『天使禁猟区』
第一号の能力の片鱗を継承した15歳の少女。確率をコントロールする現実干渉能力を制御できず不幸体質に悩まされていたが、もう一つの人格「ニノマエ」との統合を果たしたことによって統御可能になった。幼少期に母親からネグレクトを受け、父親からも疎遠にされていたことから強い自罰意識を持ったまま成長してしまったが、雪に心を救われ、共に生きていく道を選ぶ。ひと悶着あったが、現在はエデンの隊員として保護されている。
・染袈裟丸
『絞め殺す堕天使』
14歳の雪の義妹。先天的な殺人衝動を抱えており、幼少期には政府の違法実験施設に監禁されていた。雪から嫌悪されることを恐れひた隠しにし続けてきたが、Ⅶのエデン襲撃を受け殺人衝動が解放され、目撃者である柤岡兎と餘目止朗を殺害した。副局長の木葉下は彼女の本性を知っており、利用しようとしている。
・鴛原 見
伏魔殿の作戦補助を担当するオペレーター。17歳で普段から制服を着用しているが、実は高校・大学を飛び級している。見た目は完全に美少女だが性別は男。伏魔殿の研究室長である苦竹葎に好意を寄せており、助手も務めている。幼少期に死別した従姉の聴のことを今も忘れておらず、部屋には写真が飾られている。エデンの8号・左衛門三郎捌光の息子であることが発覚した。
・幣原
公安警察のトップ。伏魔殿局長の紫の上司。
・注連野紫
伏魔殿の局長。雪の育ての母。雪とは長年すれ違っていたが、現在は関係を修復している。
・苦竹 葎
伏魔殿の研究室長。20代半ばの美しい研究者。エデンの前身・旧エデン製薬から離反した一人であり、狂花帯手術や強化改造手術の技術を持っている。エデンの二コラ博士の娘であり、高い知能指数を誇る。
・木葉下不比等
伏魔殿の副局長。幣原の直属の部下であり、紫とは異なる派閥を形成し公安局長の指示を陰でこなす。元マル暴の遣り手で、目的のためには手段を択ばない。磁力能力の使い手。
・慶留間四兄弟
上から 武智麻呂・房前・宇合・麻呂。伏魔殿のオペレーター及び管理職を務める中年の四つ子。
・煙草森鳰
『発狂した宇宙』
精神操作能力を持つ七号の改造人間。エデンや伏魔殿の抗争とは距離を置いていたが、謎の声に導かれ巻き込まれることに。現在は伏魔殿の隊員に。
・五頭 稔
『天路歴程』
伏魔殿の実働部隊「悪童隊」のリーダー。冷静沈着で情に流されない冷徹さを持つが、義理堅い一面もある。祁答院伊舎那に従えられていたが、雪との対戦を経て心を入れ替え、伊舎那の下をさる。代償として片目を失い、現在は眼帯の下に高性能の義眼をはめている。雪に組織力と根性を買われ、伏魔殿の強化兵士としてスカウトされた。
・馬飼 首
『大切断』
五頭と共に不良たちを治める悪童隊のリーダー。情に厚く血気盛んな高校二年生で、雪の一撃にも耐えるタフな体を持つ。五頭らとともに伏魔殿入りし、強化兵の肉体を駆使してエデンの暴徒を鎮圧した。五頭とのコンビは「牛頭馬頭」の通称で恐れられ、他校にまでその名を轟かせている。
・後原未
『羊たちの沈黙』
悪童隊の三年女子。もとは校内のトップだったが、五頭と馬飼に頭を譲り転校していた。その後中国・四国地方の不良グループをまとめ上げ、彼女らを引き連れて悪童隊入り。狙撃を得意とする。
・眼目 伊達政
通称「独眼竜」。東北地方の不良集団「十三蝦夷」を束ねる猛者。優れた剣の使い手でもある。伏魔殿がスカウトに動く。
・合佐毘 羆
北海道二大グループの一つ「熊嵐」の頭目。伏魔殿がスカウト。
・子々々 京
『聖者の行進』
関西の連合軍『淀』を指揮していた女子高生。エデンに属していたが、煙草森の洗脳を受けて今巻では伏魔殿側として登場する。
[エデン]
・枢機卿/|呰戸圷比古
エデンの首領。スーツを着た銅色の骸骨機械を自身の身代わりとして立たせている。正体は内閣副総裁だが、エデンの幹部でも知るものはごく僅か。息子の伊舎那を直属部隊・アンタイ・エデンのリーダーとして動かし、エデンの公の目的とは別に「スノーホワイト・プロトコル」なる計画を進めている。
・リジー・ケイクブレッド
枢機卿の個人秘書。ボブの青髪で葎に似た雰囲気がある。エデンの工学系システムを担当。
・海土路 佑丞
『存在の耐えられない軽さ』
第三号能力者。エデンの最高戦力の一人で、戦闘大連隊の連隊長を務める。褐色の肌に金白色の髪が特徴。四号の双子の兄。
・海土路 佐丞
『万物流転』
第四号能力者。エデンの最高戦力の一人で、戦闘大連隊の副連隊長を務める。色素の抜けた真っ白な肌にまつ毛まで白い金白色の髪の青年。物腰は柔らかで常に敬語で話す。三号の双子の弟。
・阿舎利吉留
エデンの戦闘大連隊参謀。気弱な性格。
・左衛門三郎 蜂光
『剣で生きれば剣で死ぬ』
第八号能力者。刀を差した文士のような風体に黒めがちな細目、後ろに結った墨を垂らしたような長髪が特徴。物体の振動を操る能力を持ち、異常な切れ味を付与した斬撃を飛ばして戦う。また自身の細胞を振動させることで物体を透過することができる。愛刀「捨毘厭天」は自身の細胞を用いて形成した武器であり、血肉を注ぐことで折れても再生成することが可能。
伏魔殿襲撃時、見を拷問から救い、彼の父親であることが発覚した。またこの際拷問を担当した十兄妹の妹〇を殺しており、兄✕から恨まれている。
・ウルフギャング・エジソン /ウルフィー
『輝ける闇』
第十号能力者。ウルフカットにした金髪と鋭い碧眼の若いアメリカ人女性。雷を操る能力を持ち、電撃や超速移動が可能。また電力を供給することで無限にスタミナを回復することができる。Ⅴで御黒と交戦して以降生死不明。
[アンタイ・エデン]
・祁答院伊舎那/「蠅の王」/「第六天魔王」
『化人幻戯』
第6号にして枢機卿直属の別動隊のリーダー。思惑は謎に包まれており、盤面を掻き回すかのように暗躍する。雪の同級生として高校に通っていたが、その裏で「蠅の王」の名で関東全域の不良たちを束ねており、1000人近い学徒を強化人間としてエデンに引き込んだ。雪の力を使って何かを企てており、のまえを利用しようとしたことがきっかけで決別することとなった。
・真虫散什郎
『八岐大蛇』
「赤蝮」の異名を持つ名うての不良。伊舎那に心酔し、彼の手足としてアンタイ・エデンで活動する。不良グループのリーダーとして、牛頭馬頭とは以前から面識がある。
・野一色 靜馬
『百面相冠者』
アンタイ・エデンのメンバー。変身能力を持ち、遺伝情報を取り込んだ相手なら誰にでも化けられる。Vで悪童隊のキャンプを襲ったが、見・葎によって撃退された。しかしⅦでは見を陥れ復讐を果たしている。見の死んだ従姉・聴の顔を持っており、彼女の殺害に関与している疑いがある。
・和喰 爾凝/ニコラ博士
『12人』や強化人間を生み出したエデンの博士。「最後の天才」と称えられるほどの頭脳を持つ。葎の実の父。
・十 ✕
『眠りと死は兄弟』
「死神兄妹」と恐れられる殺し屋殺しの片割れ。ワイヤーの使い手。妹を捌光に殺され彼を憎んでいる。
・十〇
『どこまで行けばお茶の時間』
✕の双子の妹。中学一年生。先天的な殺人衝動を抱えており、それを解消するため殺し屋の道を選んだ。大鎌と卵型の爆弾を暗器として用いる。
[第九研究班]
・雨乞 烏合
『蟲愛づる姫君』
第九号の少女。エデンの幹部にして第九研究班の班長。雪とは幼馴染であり、彼をエデンに取り戻そうとしている。雪から伏魔殿入りを逆オファーされるも、エデンから二人を守るほどの力が伏魔殿にないと断っている。無口で思考が読みづらいが行動は時に大胆。
・残間 愛
『告げ口心臓』
〈12人の怒れる男〉第11号。裏社会に影響力を持つ闇カジノのオーナーを務めていたことで、エデンと伏魔殿双方に目を付けられる。雪とは互いの命を懸けたゲームで競い合った仲であり、窮地に駆け付けたことも。心臓操作能力を持ち、バイタルの知覚化、嘘の検知、心音感知といった補助的な脳直から、ドーピングや果ては心拍の停止まで様々な技を使用できる。
しばらく烏合の能力の支配下にあり、解放された現在も自主的にエデンに付いている。
・箱崎塩生
第九研究班のメンバー。10代後半の青年で、班員として烏合を敬愛している。
・余目 止郎
烏合の右腕を務めるエデンの女史。11号の能力を継承した贋作。伏魔殿襲撃時、殺人衝動を取り戻した袈裟丸に殺害される。
・七坐 而澄/ナナクロ
第九研究班所属の女子高生。正体は成り済ました煙草森鳰だった。
[その他]
・昼神 イヴ
『月は無慈悲な夜の女王』
第1号能力者。のまえの能力元。長い間行方不明となっていたが、Ⅶで御黒によって遺体を発見された。はずだったが、月の畔に再び姿を見せる。
・御黒 闇彦
『死にゆく者たちの太陽』
『12人』第二号の男。規格外の強さを持ち、最強の呼び声も高い。黒髪に細縁の眼鏡がトレードマーク。単独で国連との講和条約を結ぶほどの影響力を持つ。第1号昼神イヴとの再戦を目的として南極を拠点に活動している。Ⅶでは3号と4号の連携を撃破し、昼神の真相へと辿り着いた。
・鹿室 喪苅
御黒の協力者。エンジニアとしての優れた技術を持つ。
用語解説
・エデン
人類の死の克服を目指す組織。製薬会社を前身に持ち、五年前に一度解体されている。現在は枢機卿を中心に再結集し、次々と改造人間を送り出している。
・伏魔殿
公安警察治安維持局の通称。雪を始めエデン製薬から離反した者たちを中心に構成されており、彼らの技術と情報によってエデンに対抗している。組織規模は100名程度だったが、悪童隊が参加したことで200名程度に増加、さらに後原、伊達政、羆、蝦夷森らの加入で1万人以上にまで巨大化した。Ⅶのエデンによる伏魔殿侵攻を受けて本部は壊滅、隊員からもかなりの死傷者を出した。
・悪童隊
伏魔殿が要する強化人間の部隊。隊員数は100名前後。五頭や馬飼たち不良グループで構成されている。呰部伊舎那との戦闘で半数以上が死亡。残ったメンバーはそれぞれの部隊長に昇格している。
・12人の怒れる男/〈12人〉
エデンが生み出した改造人間。狂花帯と呼ばれる特殊な器官を移植され、死を克服するための12のコンセプトに基づいてそれぞれ固有の能力を与えられている。この狂花帯は遺伝する性質を持ち、彼らの子孫や臓器移植者にも同系統の能力が受け継がれると予想されている。エデン製薬崩壊時に半数近くが脱走した。未来世界の「12民族」のルーツでもある。
・贋作
跡星やのまえなど、『12人』の血や細胞を移植されたことで狂花帯を発現した者たち。エデンでは適合する人間を意図的に贋作へ改造する技術が確立されている。のまえのように、改造手術とは別のルートで贋作化する場合もある。肉体強化手術とセットで手術されるため強化された肉体を持つ者が多いが、のまえや12人の子孫のような手術以外の方法で贋作化した人間は、能力意外通常の人間と変わらない。
・量産型強化兵士/強化人間
外装骨格と呼ばれる装置を移植され肉体を強化改造された戦闘員たち。基本的には能力を持たないが、『12人』や大半の『贋作』などの改造人間の肉体にも標準的搭載されている。常人離れした耐久力と身体能力を持つ。
アンタイ・エデン
伊舎那をリーダーとする枢機卿直下の別動隊。エデンの本隊とは思惑を異にし、独立して動いている。正規メンバーは7人からなる少数精鋭であり、人員を必要とする際は本体から構成員を派遣させている。
・第九研究班(プラン・ナイン)
烏合率いる、エデンの研究チームの一つ。生物兵器の開発や細菌研究を主たる領域としている。名称は宇宙ゾンビ映画『プラン9・フロム・アウタースペース』から。
〈今作から登場する一部のキャラクター・用語〉
・蝦夷森 十三
伏魔殿がスカウトした、北海道二大グループの一つ「アングリー・ペンギンズ」のリーダー。強面の男。何やら秘密があり気。
・三廻部 游
公安部長・幣原の護衛。伏魔殿初期の時代から実行部隊の隊長として功績を上げており、雪の戦闘の師匠でもある。贋作としての腕も一流で、〈12人〉とも渡り合える力を持つ。
・伏
幣原の護衛。
・ドクター・カフカ
アンタイ・エデンのメンバー。邇凝博士に次ぐ知能の持ち主。




