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【完結】夜風コーヒー  作者: 夜風セト
第2章 高校2年生編(2024年)

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第45話:ドラムが上手く叩けるようになった

「ちょっと待て、ちょっと待って」

「何何? 何だよ?」


 自主練中、えまちゃんがそう叫ぶ。なので、るかちゃんは彼女の方を見る。もえもベースを弾くのを止める。


「上手く叩けるようなったんよ」


 えまちゃんはドラムスティックを持ちながら笑顔で万歳する。


「え、マジで?」


 と、るかちゃんは言う。


「ねぇ、聞いて聞いて」


 えまちゃんは今まで演奏してきた、ドラムパートを叩いてみる。確かに彼女の言う通り、リズムにズレが生じていない。叩き方も無駄が無く、とても洗練されている。


「すげぇ。めっちゃ上手くなったじゃん」


 るかちゃんは彼女を褒める。ドラムセットに回り、彼女の肩を抱く。二人とも、とびっきりの笑顔だ。


「えまちゃんの裏切り者っ、へたくそ同盟を結んだ同志でしたのにっ」


 もえは、涙目で彼女に指をさす。


「そんな同盟、結んだ憶えないよ?」


 と、えまちゃんは叫ぶ。


「無いのかよ」


 と、るかちゃんはツッコむ。えまちゃんの肩を抱くのをやめると、もえに近付き、


「それでもまぁ……もえちゃんはさらにベース、上手くなってるわ」

「うん、なってる」


 と、さなちゃんはうなずく。


「うんうん」


 と、えまちゃんは、笑顔で二回うなずく。


「……なってるんですかね。みんなに言われると嬉しいですが、やっぱりまだまだ、へたくそですよ……」


 もえはうつむく。灰色のベースを抱きしめて、ネックを頬に当てる。


「そんなことないよ。ほら、今まで撮ったこの動画を見て。一日目はこんな感じだったんだよ? えまのも撮ってあるよ」


 さなちゃんは、スマートフォンをもえたちに見せる。


「え、いつの間に?」

「撮ってくれとったんじゃ」


 もえとえまちゃんは、体をくっつける。動画がよく見えるように、顔を前に出す。


「もえちゃんは集中すると、周りが見えなくなるからね。何度も呼びかけても気付かない。従ってこうして私が間近で、動画を撮っていても、やはり気付かない。ほら、一週間後、一ヵ月後、半年後と」

「……確かにわたし、上手くなってます……。動画で見るとよくわかりました」


 もえは両手で握り拳を作る。


「そう。録音したり、動画を撮って客観的に見た方が、自分の成長具合がよくわかるの。もえちゃんも家で練習する時は、その習慣をはじめたら良いよ」


 さなちゃんは、えまちゃんのドラムの動画に切り替える。えまちゃんも自分の成長具合に目を輝かせ、感動している。


「うん、そうしてみます。ありがとうございます、さなちゃん。……よーし……えまちゃんにへたくそ同盟を破棄されたので、新しい人を見つけて結ばなくちゃっ」


 もえはスマホを素早く操作して、ツブヤイターで探す。すると「いや、結ぶな」と、るかちゃんはツッコんだ。

最後までご覧いただき、

ありがとうございました

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