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人質姫と忘れんぼ王子 番外編  作者: 雪野 結莉
IF フレッド様の人質姫
3/37

1章 1

ifルートフレッド編になります。

すみません。

あくまでifルートですので、本編のイメージを壊したくない方はそっと閉じてください。


分岐は本編、最終章 ランバラルドからの封書 ですので、それ以降のお話になります。


 昨日の即位式パーティーの後、眠れなかったボナールの女王シャーロットは、宿泊をしている離宮の調理場で夜中に趣味のお菓子を作り、仲良しだった王弟子息のギルバートと、王子、いえもう国王となったライリー陛下とその側近の方々にも焼いたクッキーを渡そうとしました。


 朝早くの訪問で、起きていたギルバートには直接クッキーを渡せましたが、即位したばかりの国王ライリーはまだ眠っており、側近のディリオンにクッキーを預けたのでした。





 ライリーの執務室で、ディリオンは手にしたクッキーを眺めていた。


 ライリーが好きだったシャーロットのクッキー。

 ディリオンはこれをライリーに渡していいものか、悩んでいたのだ。


 せっかく、数年経ち忘れかけていたものを呼び起こすのではないか。


 仕事の上で、ボナール女王シャーロットの存在は邪魔になる。

 ボナールの女王とライリーが結婚し、国が統合されればランバラルドは帝国に次ぐ大国となる。

 ランバラルドの軍事力とボナールの豊かな食料事情は、帝国を刺激するのに充分な事柄だ。

 目の上のコブとなったランバラルドへ、帝国は戦争を仕掛けるだろう。

 目障りなものは叩き潰すのが、帝国ジルベール陛下のこれまでのやり方だ。


 帝国に次ぐ大国になったとしても、ランバラルドに勝ち目はないだろう。


 ランバラルドの次期宰相として、ディリオンはライリーの想いを止めることしかできなかった。




 ディリオンが考え込んでいると、そこに、国王となったライリーが入ってきた。

「ふぁ~。ディリオンおはよう。早いな。お前も昨夜は遅かっただろうに」

「ああ、王子。おはよう」

「ははっ、もう王子じゃないって」

 ライリーは笑いながらディリオンに目を向けたが、机の上を見て笑みが消える。


「それは、シャーロットの?」

 ディリオンは言おうか誤魔化そうか一瞬だけ悩み、肯定した。

「……そうか。じゃ、侍女に紅茶でも入れてもらうか」

 ライリーは穏やかに微笑んでそう言った。

「シャーロットはいつまで滞在だっけ? またケーキも焼いてくれないかな」

「王…、陛下。シャーロット陛下は今日ランバラルドを発つ予定だ」

「えっ」


 ライリーは慌てて席を立ち、執務室を出て行こうとする。

「陛下! 追ってなんになる? 彼女はもう他国の王なのだ。追いかけて呼び止めたところで、もうこの国にずっといられる訳ではない」


 ライリーはドアの前に佇み、一度だけ呟いた。

「シャーロット……」


 ライリーもまた、後を追わなかったことで、シャーロットへの想いに区切りをつけるのだった。



 そして、想い出はセピア色に染まっていく。









 カタコトと揺れる帰国の為の馬車の中で、シャーロットの頭は左に右に揺れていた。


 昨夜、パーティーに出席して疲れているのに眠れずに、ほぼ寝ないでクッキーを焼いたので、居眠りするのも無理ない状態だった。


 ゴンっ!


 馬車の窓に頭をぶつけたのに、シャーロットは覚醒せず、まだ前後左右に頭をフラフラさせたまま。

「姫様、それ以上頭をぶつけると、バカになっちゃいますよ?」

 馬車に乗っていたジュディが声を掛けるも、シャーロットはまだ目を覚まさず。


 隣に座っていたフレッドがシャーロットの頭を自分の方へと引き寄せた。

「肩貸してあげるから、ここに頭を置いて少し寝なよ」

「……むにゃ、はい。フレッド様」

 寝ぼけながらもフレッドに返事をし、シャーロットはフレッドにもたれて、スースーと安らかな寝息を立て始めた。


 フレッドは肩に乗るささやかな重みに幸せを感じるように、笑みを浮かべる。

 それをマリーとジュディは微笑ましく見ていた。

「フレッド様になら、姫様を任せられるのに」

 ジュディはポロっと言葉をこぼす。

「これ、ジュディ」

「だって母さん、ちゃんと姫様に何も言ってくれないライなんかより、黙って姫様を支えてくれるフレッド様の方が、どれだけ頼りになるか」

 そう言われて、マリーは黙る。

 シャーロットがライリーの言葉を待ちわびて、悲しげにしていたのを知っているから。


「オレなんかじゃ、シャーロットちゃんは相手にしてくれないよ。こんなに真面目で一途なシャーロットちゃんと、今までフラフラしていて遊んでたオレじゃ、釣り合いが取れないからね」

 フレッドは自嘲気味にふたりにそう言った。

わたしの妄想にお付き合いいただき、ありがとうございます。

物語で結ばれるのはたった1人です。

なので、本編の枠に入れることはできませんでした。

あくまで、本編のヒーローはライリーです。

でも、健気なフレッドが報われるパラレルワールドがあってもいいんじゃないかなと、番外編として書かせていただきました。


普通、小説に分岐ルートはありません。

なんだこの書き方は! と思われる方もいらっしゃると思います。

できれば、広い心でお読みいただけたら嬉しいです。


更新は不定期となり、30話前後の予定です。

今日は続けてもう1話アップしますを

どうぞよろしくお願いします。

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