入学!
あの地獄のお茶会からとうとう入学式!
あの日流した涙を力に変えるため私は剣術の修行に打ち込みました。
もう2度と悔し涙など流さぬ。
次は絶対に殺ってやりますわー。
ちなみにこの学園では入学式はダンスホールで行われ、毎年その年の主席もしくは王族のスピーチをしてその後は交流会とダンスパーティーいう流れのため初日は皆着飾り、制服は次の日からという決まりがございますの。
私も今日はお母様のブランドの新作の黒のマーメイドドレスでおめかしして参りましたわ!
「次に生徒代表シェルマン殿下、お願い致します。」
壇上に上がるシェルマン殿下。王族らしい風貌に自信と気品をまとっての挨拶が始まり、女生徒は皆ぽーっと壇上を見上げておりますが、あら?私なぜか目が合ったような?微笑まれたような?
おえーですわー!!!!
いやいや無理無理お前の笑顔とかトラウマでしかありませんから、思い出せ私の誕生日をぶち壊しにしたことを!
おっといけない取り乱しましたわ。
そんなこんなで入学式は終わり、ダンスパーティーとなったわけですが…
「「「「クラリス嬢ぜひ私とダンスをっ!!!!」」」」
「おーおーおモテになるじゃねぇーのよー」
これは…どうしたことでしょう?
先日お茶会でお会いした御令息方からのアプローチに私は面食らってしまいましたわ。
リリアンは茶化すなですわ。
まあ、公爵令嬢は私だけですし皆様私のビジュアルというよりはうちの家門目的ではあるでしょうけれど、でも正直悪い気はしませんわー!
なんて喜んでいると、ヤツらは来る
キラキラキラキラ、目がいてぇっての!ですわ!
「クラリス嬢、さっきは気がついてくれたかな?」
「あらまあ私、なんのことやら皆目見当もつきませんわ。」
「ひどいなあ。ちなみに初めてのダンスの相手は誰にするか決まっているのかな?」
「はい。リリアン様と踊る予定でございます。」
咄嗟にリリアンの名前を呼んでしまい、リリアンに悪いかと隣を見るといつもなら嫌がりそうなものなのに、得意げな顔の幼馴染の顔がそこにはあった。
あら?珍しいですわー。
「リリアンでは体格差がありすぎるだろう?クラリス嬢、良ければ僕と踊る方が良いのではないか?」
「え。カイル様とも体格差ありますけれども?というか10年ぶりでまだそんなに知らない方と踊るのは私ちょっとご遠慮させていただきますわ」
話に割って入って来たカイルの顔が少し悲しげだったが、カイルも背が大きいわけではないし、せいぜい168センチほどですけど、まあ一般的なご令嬢より大きいのですからそんなに悲しそうになさらなくともよいのに…まあ私はヒールで完全防備ですけど。180センチは超えてますけど。
「それなら私とおど…」
「ルッツ様も私仲良くございませんもの」
「………」
あらいけませんわ。殿方のお話を遮るなんて!
「そしたら俺と踊ろうぜクラリス!俺なら君とピッタリだろう?」
「そうですわねぇ、体格でしたらそうかもしれませんが、私ショタコンの変態だそうですのでご遠慮させていただきますわ」
にっこり微笑むと居た堪れない顔のジュリアス。あら?どうかなさって?
「そしたら僕の誘いは受けてくれるよね?クラリス嬢」
最後はシャルマン殿下。
流石に王族の誘いを断るとなると話は違ってきますがそこは私、もう捨てるものなどございません。
「まだまだ令嬢らしくの勉強中ですの。ですのでお手を煩わせるのも失礼かと思いますので、お断り致しますわっ」
にっこりお伝えすると、あらやだ!
殿下!お顔が引き攣ってますわよ!スマイルスマイル!
というか、あれだけ私を全力で振ったのに皆様一体何があったのかしら?
考えても分からないと思っていると、隣で震えているリリアンが目に入った。
笑いを堪えているようだが、もはや耐えられていない状態だ。
私は首を傾げて、結局その日はリリアンと何曲か踊り帰路へとついたのだった。
はー、疲れましたわー。