0話 -思い出-
オリジナルTRPGシナリオ『超銀河バスターズ』の一陣目をもとに、オリジナル要素を加えて小説っぽくしたものです。あまり期待しないでください。
大きなビル群、広大な自然、吹き抜ける潮の匂いに包まれた巨大都市[烏合市]。関東圏の中央に存在する巨大都市のひとつで、大都会でありながら市内外には広大な自然を有している貴重な街であり、日本人だけでなく多くの外国人も済んでいることから世界でも最もグローバルな街に入選されるほどだ。そのためか、オカルトチックな噂も絶えない。有名なところだと口裂け女だったりスレンダーマンだったりはたまた東洋と西洋の怪異や噂が混ざったような噂もいくつか挙がる。そしてそんな噂を調査する特殊機関も存在する。
この巨大都市に存在する教育機関、烏合学園の初等部の校舎、その裏手にある大きな山、烏合山に秘密基地を構え、烏合市に蔓延る幽霊や怪異、UMAを調査している特殊機関『超銀河バスターズ』。今日も噂をもとに烏合市の平和を守るために活動する、という設定のごっこ遊びである。
超銀河バスターズとは私立烏合初等部に通う小学5年生のクソガキ共が学校の裏山である烏合山にある使われなくなった山小屋を秘密基地に改造し、ゲームをしたり漫画を読んだり、はたまた山の中に入り探検をするというのが実際だ。
夏休みに入り時間も体力も有り余っているバスターズの面々は今日も秘密基地に集合し、各々好きなことをしながらだべっているのである。
超銀河バスターズのメンバーは全部で7人。
一之瀬 雄太を初めとして、二宮 翼、三浦 実里、七星 灯の4人が初期メンバーだった。そこから七星のカリスマ性溢れる勧誘のもと、新たに四谷 翔、五十嵐 紘人、六野 優希の3人が加入し現在の超銀河バスターズとなった。
今日は7月27日、小学生達は絶賛夏休みで雄太の集合の合図により14時から秘密基地に集合していた。
「そういえばさ、灯いつになったら来るの?翼なんか知ってる?」
「いや、何も聞いてないな。いつもなら雄太が集合かけるよりも先に到着してるハズなんだけど……」
「何かあったのかな?」
雄太、翼、実里の3人が顔を合わせる。
「ちょっとだけ心配だよね」
翔が不安そうな声を上げる。いつもいるハズの人間が中々来ないというのは事故や事件の心配を起こしてしまう。特に七星 灯という人物は年代問わず街1番の美少女と称されるほどの美貌を持っている。それに加え天真爛漫で常に元気一杯な性格だ。学校でもかなりの人気者なため、変質者から目をつけられていてもおかしくは無い。
「まぁ灯なら大丈夫っしょ。それよりも、優希さぁ、ハメ技辞めろって言ったよなぁ!全然ぬけだせないし!」
「いやぁ〜甘い、甘いよ紘人くん!私とスマブラで戦うならコンボの1つや2つ覚えてこないと勝てないよ!」
紘人と優希は持参したスイッチでスマブラをしている。紘人は小学生特有のB技連打をしているが、対する優希はそれらをひょいといなし的確に掴みからの即死コンボを叩き込んでいる。
「だぁ!クソ!もう一回だ!あと、即死コン禁止!!マジで!!」
「全く紘人くんは子供だねぇ〜」
「うるせぇ!!」
「しょうがない、紘人くんのためにも指一本で戦ってあげよう」
コントローラーを机に置き、両手の人差し指だけを伸ばしニヤリと挑発的な笑みを浮かべる優希。その顔が紘人の闘争心に更に油を注ぐ。
「舐めプしやがって……後悔すんなよ!」
啖呵を切る紘人だがものの1分半で3ストック全てを撃墜され意気消沈してしまう。
そんな様子を全員が眺めていると秘密基地のドアが勢いよく開く。
「みんなおまたせ!色々準備するのに時間かかっちゃって」
「遅かったじゃん灯」
「全く心配させやがって」
「ごめんね雄太、翼。パパとママを振りほどくのに時間かかっちゃって」
そう言って灯はてへっと舌をだす。さすが美少女、愛嬌で人を説得するには十分の威力だ。
「それでね、今日はさ皆で烏合山の探索しに行かない?」
「なんでまた烏合山の探索なんかすんだ?」
紘人がコントローラー片手に首だけ七星の方へと向ける。
「それがねぇ隣のクラスの子に聞いたんだけどね、どうやらこの山にUMAがいるらしいんだよ!」
「「「UMA?!」」」
その単語を聞き全員が驚く。UMA、未確認生物、彼ら超銀河バスターズの根幹に関係してくる。
「でもさ山のUMAって言ったらビッグフットとかチュパカブラとか、そういう感じのヤバそうなやつじゃないか?俺たち小学生だけで行くのはちょっと不味いんじゃないか?」
「大丈夫だよ翼!私たちは超銀河バスターズでしょ!それに、翼がいればなんとかなる!」
「俺が?どこからそんな自信が湧いてくるんだよ」
「だって私たちの中で1番頭がいいのは翼でしょ?なんかヤバい状態になっても翼がいればいい感じの打開策出してくれるでしょ」
「そうは言ってもだなぁ、俺にだって限界はあるし……」
「それに、私たちはひとりじゃなくてチームだよ!無敵だよ!」
灯は翼の手を取りキラキラとした目で翼を真っ直ぐ見つめる。しばらく悩んだ末に翼は仕方がないと言うように肩をすくめる。
「わかったよ、灯がそこまで言うならこの探検隊の参謀は俺に任せろ」
「さっすが翼!頼りにしてるよ!」
「うん、僕も翼くんなら安心かな」
「ま、俺はなんだっていいけどなー」
「そんなこと言って、紘人くんも本当は参謀やりたいんじゃないのかい?」
「は、はぁ?!別に?俺は参謀ってかんじゃねぇから?なんなら俺にはもっと似合ってる役職があるって言うか?」
「じゃあ雄太がリーダーね」
「確かに、俺が参謀ならリーダーは雄太だな」
「うぉい!リーダーは俺だろ!」
「紘人くん、君の器じゃあリーダーにはなれないよ」
「じゃあさじゃあさ、あたしが先導していいかな?」
勢い良く手を挙げ先導役に立候補する実里。
「あたし、地理好きだから烏合山の地形頭に入ってるんだ!それにそれに、おばあちゃんとかから聞いた烏合山の知識だっていっぱいあるんだよ!」
「じゃあ先導役は実里で決定だな!」
「じゃあ僕は記録係やるよ」
「翔くんが記録係っと……。優希ちゃんはどうする?」
「私は紘人くんのおもりで」
「おい!俺はガキじゃねぇぞ!」
「まぁ良いじゃないか。それとも私と2人は嫌かい?」
「別に嫌ってわけじゃねえけど……」
「じゃあ決まりだね!よーし、それじゃあ早速、烏合山の探検に行くぞ!」
「「「おー!!!」」」
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真夏の猛暑の中歩みを進める。7人の頼りない小さな足だが、それでも一歩一歩確実に烏合山という謎に、彼らの青春の一ページを記すために進み続ける。歩き慣れた山道を、名も無き獣道を歩み続けると廃神社へと到着した。山の深い場所に忘れ去られたかのように鎮座する神社には薄らと烏合神社と書かれていた。
「ここって……」
灯が手に持っていた懐中電灯で苔むした鳥居を照らす。
「どうやら、烏合神社のようだな」
「え、翼くん知ってるの?」
「知ってるも何も書いてあるだろ」
「あ、ホントだ」
「な、なんだか……オバケとか出てきそうだよね」
「オバケ!オバケならねおばあちゃんから教えてもらった除霊方法があってね!」
「おや?どうしたのかい紘人くん、震えているようだけど?」
「は、はぁ?!べっつに?!オバケとか全然怖くねぇし?!」
各々がそれぞれの反応を示すなか、雄太だけはズカズカと烏合神社の中に入っていく。
「おや一之瀬くん、随分とズカズカと進むねぇ」
「おうよ!別にオバケだろうがUMAだろうが全然怖くないからな!むしろ会ってみたいからね!」
「見たまえ紘人くん、アレが真のリーダーだよ。オバケごときで腰を抜かすようじゃあ君には向いていないねぇ」
「うるせぇ!これはアレだよ……アレ……あの……武者震いってやつだよ!ビビってなんかねぇわ!」
そういうと紘人も雄太に続くように神社の中へと入っていく。それにつられ全員が廃神社の境内へと足を踏み入れる。
境内は不気味な程に静かだった。都会の喧騒は聞こえず、自然特有の風の抜けるような音も聞こえない。神社が建てられる場所だからか音が遮断されているような、この場所だけ現世と離れた場所と勘違いする程である。石畳はコケにおおわれ、本殿も腐朽し建物に近づくの危険である。
「なんだか、雰囲気あるねぇ」
「おばあちゃんから聞いたんだけど、昔はここに烏合神社があったんだって!それでねそれでね、色々あって今の烏合神社の場所に移したんだって」
「なんで移したんだ?」
「さぁ?」
「知らねぇのかよ……」
「うーん、ここにはなんにもいなさそうだよねぇ…」
「じゃあ別の場所探そうぜ!」
一行は廃神社を後にする。来た道を戻り、山の中をかき分け右へ左へと歩みを進める。先の方から光が漏れてくる。飛び出してみるとそこはキャンプ場だった。
烏合山キャンプ場。全シーズンを通してキャンプ客で溢れる施設。夏休みということもあり、大勢のキャンプ客でごった返しになっている。
「キャンプ場に繋がっていたんだぁ……」
「さすがにここは違うな」
一行が引き返そうとした時、声を掛けられる。
「お、ガキンチョ共こんな所で何してんだ?」
自分よりもふた周りも大きな青年が話しかけてきた。青年は片手にアルコールの缶を握り、明らかに酔った状態で君たちにダル絡みをしてきた。
「うわ、面倒なやつに目つけられたな……」
「えっと、私たちUMAを探しに来たんです!」
「UMA?いいねぇ、ウェイって感じじゃん!」
「ウェイ……?」
「いやぁ、お兄さんもお前たちの歳の時はウェイだったなぁ……。あっちでウェイしてこっちでウェイして…」
「なぁ雄太、コイツだいぶ酔っ払ってないか?」
「ヤバいよね…」
「あ〜そうだ、ガキンチョ共よ。お兄さんがひとついいことを教えてやろう」
ウェイウェイ言っている酔っぱらった青年は雄太達の目線に合わせるように屈む。
「この山には秘密の洞窟があるらしくてな?もしかしたらお宝が眠ってるかもしれねぇって話だ。ま、本当にあるかは知らないけど、夏休みの冒険って感じでワクワクしないか?」
「お宝……何それ!すっごくワクワクする!」
「おい灯、そんな酔っぱらいの話を鵜呑みにすんなよ」
「え〜いいじゃんお宝だよお宝!翼は気にならないの?」
「ま、信じるか信じないかはあなた次第ってやつだよ。ほなら気ぃつけてなぁ〜」
酔っぱらいの青年は友人らしき人達の元へと戻ってしまった。
「なぁ本当に探しに行くのか?」
「もちろん!お宝探し、お宝探し!」
「まぁ灯は一度こうなったら止まらないから。諦めてお宝探ししようぜ、翼」
「はぁ、わかったよ」
一行は再び、来た道へと戻る。鬱蒼と生い茂る草木をかき分け、道無き道を、君たちだけの探検道を突き進む。時には渓流に出くわしたり、山の中で迷子になったり。いつしかUMAを探すという目的や宝探しなんて目的は忘れてしまい、山の中で楽しく探検していた。いつの間にか日は暮れもう帰らなければ行けない時間になってしまった。
「もう夕方だな」
「そろそろ家に帰らないとなぁ」
「色んなところ見れて楽しかったね!」
「僕たち結局UMAもお宝も探せなかったね」
「せっかく楽しみにしてたってのによぉ」
「まぁ良いじゃないか。これもひとつの思い出ってやつだよ」
「ねぇ……」
灯が指を指す。その先には見たこともない洞窟の入口があった。
「なんか……ありそうじゃない!」
「もしかして……今から?」
「さすがに夕方だし、もう危険じゃないかな……」
「ちょっとだけだから!」
そう言うと灯は全員を連れて洞窟の入口へと近づく。洞窟の先は真っ暗で何も見えず手元の小さな懐中電灯の光なんて直ぐに吸収されてしまう。しかし不思議なことにこの洞窟の先には何かがあると感じさせる”何か”があった。心惹かれるような何かを見つけるためにそれぞれが一歩と無意識に進んでいく。
洞窟の中は不気味な程に静かで何も無い。イメージとしては雫がぴちゃぴちゃと音を立てているようなものだが、そんなものも一切聞こえない。聞こえるのは全員の足音と息遣いだけ。しばらくすると広い空間に出た。
天井はかなり高く、地上と通じている穴があるのか僅かに光が落ちている。広さはだいたい25mプール程の大きさ、中央には謎の石版が置いてある。
「これ……モノリスだ……」
「モノリス?」
「綺麗な1枚の石版みたいなやつ。俺もよくわかんないけど海外のパワースポットとかには置いてあったりするんだよ」
「なんだか、綺麗だけど不気味だよね……」
そう言いながら灯がモノリスに触れようとした瞬間、ペタリと何かが落ちた音が聞こえた。慌てて振り返る。音は四方八方から聞こえ、ペタペタと足音を奏でながら近づいてくる。全員が恐怖に怯え、足が動かなくなる。ゆっくりと姿を現したそれは人のような形をしているが、手足は異様に長く犬のような形相をした顔、鋭く伸びた爪に灰色の皮膚をしていた。
「っ!!」
声にならない叫び声が出る。誰かがモノリスに触れる。そして化け物が雄太たち目掛けて襲ってきた。。。
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記憶があるのはここまでだった。気がついた時には自分たちは家に帰っていた。それは皆も同じようであの時洞窟で何があったかは覚えていない。何か怖い出来事に出会ったような気がするけど、酷いストレスを受けたのか思い出そうとする気すら起きない。何があったのか分からないけど、このいつ買ったか覚えていないトラの形をしたロボットのおもちゃを持っていると安心するような気がする。。。
長い……かなり長い道のり……
失踪しないように見守っててください……




