127、ゴーダさんの所へ行こう!
それから俺はルーシェさんのいる冒険者ギルドからゴーダさんの所へ向かう。
途中で副ギルマスのライクさんに会った。
ギルマスの部屋から出てきた俺を見てかなり驚いていたけど、転移で来たって言ったら納得してくれたよ。
やっぱり門の外に転移しなくて良かったぁ!
それから俺はゴーダさんのいる鍛冶地域に向かった。
鍛冶地域に近づくと、あちこちの店舗兼家屋から金属や木材をを叩く音なんかが聞こえてくる。
ゴーダさんの店舗の前に来ると、なんだか懐かしさがこみ上げてきた。
この街から旅立って、もう2カ月近く経つんだなぁ。
俺はゆっくりとゴーダさんの店のドアを開けて大きな声で呼んた。
「こんにちは〜!シエルですが、ゴードさん居ますかぁ〜!」
すると店の奥からバタバタと足音が聞こえて、ゴーダさんが顔を出した。
「おう、坊主、元気そうだな!……って、お前だけか?他のメンバーは?」
ゴーダさんは不安そうな顔で俺に聞いてくる。
俺は笑いながら「皆はまだスノービークにいますよ。」と教えてあげた。
するとゴーダさんは安心した顔をして「それなら良いんだ」と呟く。
「ところでスノービークに皆といたはずのお前さんがこの街に1人でいるってことは、もしやギルマスから連れてきてもらったのかい?」
「いえ、今回はギルマスじゃなくて、俺が転移魔法でこの街に来たんですよ。ちょっとギルマスとゴーダさん、宿屋の女将さんに用事があったもので。ギルマスにはもう会って用件を伝えてきて、次に来たのがここです。」
俺が自分で転移魔法を使ってこの街に来たことを伝えると、ゴーダさんは目が飛び出るんじゃないかってほどに驚いたようだ。
「坊主、とうとう転移魔法を使えるようになったのか!?そりゃあ便利だな!あれだろぉ、行ったことのある街には行けるって話聞いたことあるぞ?」
「いえ、一度だけじゃさすがに俺は使えないですね。その街に長く滞在したりして特徴を掴まないとさすがに無理です。」
俺は苦笑いをしながら、転移魔法についての説明をした。
流石に一度行っただけじゃ、俺は無理だね。
頭に風景が思い浮かばないと転移を成功させられない。
「……で、俺の所に用事ってことは、武器の整備か金物を購入かのどちらかしか無いんだが……その顔を見ると武器の整備ってところだな?なんかこの街出た時より顔つきがしっかりしているし、なんか疲れている感じがするんだよ。」
おぉ~、合ってる!
レベルがかなりアップしてるだろうし、この前の魔物討伐でまだ体は本調子じゃないんだろうからね。
「そうなんですよ、実は先日スノービークの街に大量の魔物が襲ってきたんです。街や人は無事だったんですけど、討伐していた俺達の武器がひどい事になっているんじゃないかと。それで整備してもらいに来ました。」
「な〜るほどなぁ……それは武器の整備に出して正解だぜ。坊主が『大量』って言うってことは、相当な数だったってことだろう?まぁ、故郷の街や人が守られたんだから、武器ぐらい俺がなんとかしてやらぁ!」
ゴーダさんはとてもいい笑顔で、そう言ってウインクした。
それから俺達はまずカウンターへと向かい、その上にみんなの武器を出した。
しばらくみんなの武器を見ていたゴーダさんは1つため息をつくと首を振る。
「こりゃみんな駄目だな。街を出る前にリッキーに作ってやった武器も、もう歪んでいる。これが歪むってぇのは、相当だぜ?最新の武器だからな。長く使い込んでいればそういうこともあるが、ついこの前渡したばかりだ。そこからもその大量の魔物ってぇのがどのくらい凄かったのかが分かるってぇもんだ。……よく、無事だったな?まさか……命は無事だったが手足がない、なんてことはないよな?」
また不安そうにゴーダさんが俺に確認をしてくる。
確かにあの戦いに俺やユーリがいなかったら、みんなは無事では済まなかっただろう。
「大丈夫ですよ、みんな怪我はしましたが回復魔法で回復できる程度でしたし。ちゃんと手足もあります。」
俺が笑顔でそう言うと、ゴーダさんも詰めていた息を吐き出した。よほど心配だったんだろうな。
「とにかくあいつらの武器は、どれもこれも修理じゃ直せないほどの状態だ。新しい武器を作るから、しばらく時間もらうぞ?」
「はい、それはもちろんです。まだしばらくは街に滞在してますしね。実は雪が解けて春になったらリッキーの従兄弟を王都まで連れていくことになりましたので、それまではいる予定です。」
俺の話を聞いて、ゴーダさんは訝しげな表情をする。
「……なんでそんな事になってやがる?リッキーをあの街から追い出したのはあいつらが原因なんだぞ?……一体、あの街になにがあった?」
俺はゴーダさんに、俺が体験した『あの街であったこと』を話して聞かせた。
すると、最初は眉間にしわを寄せて聞いていたのが、ヘイス一家の追放の話になると驚きの顔に、そして魔物出現からヘイスさん死亡とミストさん達の話になると開いた口が塞がらなくなっていた。
「坊主……よく、みんな生きていたな?」
「俺も、結界がなければ流石にみんな生き残れてないと思っています。」
俺が苦笑いしてそう言うと、ゴーダさんは皆の武器に目をやった。
一瞬泣きそうな顔になったが、すぐに真剣な表情になり、武器に手をやった。
「あいつらを守ってくれてありがとな。お前たちは新しい武器に生まれ変わらせてあいつらの元へ戻すから、またあいつらを守ってくれな。」
ゴーダさんは優しい目で武器を撫でると、俺の方へ向いた。
「こいつらは預かった。また新しい武器に作り直しておくから、日を改めて来てくれ。そうさなぁ……4つもあるから年明けにでも来てくれるか?」
「分かりました!この店は年末の休みってあるんですか?」
「あったりめぇだろ!……って言いたいが、年末の1日と年明けの1日しか休まねぇがな!」
ゴーダさんはそう言って、ガハハ!と笑った。
「……で、お前の武器はどうなんだ?あいつらのはひどいことになっていたから、坊主の武器もひどい事になっているんじゃないのか?」
「俺のは魔力でコーティングしていたので刃毀れすら無いんですよ。」
俺はそう言うと自分の刀を見せた。
「ほう……確かに全く歪みも刃毀れもねぇな!こりゃすげぇわ!」
ゴーダさんは驚いた顔で、武器から顔を上げた。
それから、俺はゴーダさんに「皆の武器をよろしくお願いします!」と言うと、今度はいつもの宿屋へ向かった。




