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異世界のんびり漫遊記  作者: カイ
第13章 神聖法国〜

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552/582

586、神聖法国の今

俺達は神聖法国の近くの森のそばに建つ倉庫の目の前に立っている。

この倉庫は過去、ネシアの住民である獣人たちやヒュサカの住民であるドワーフ、森の中に住むエルフたちが国の外に働きに出た際、神聖法国の兵士に捕らえられて魔道具によりその力を奪われて奴隷として働かされていた時の住居である。


あの時、俺はこの中で奴隷とされていた皆を解放したのだ。

それから俺によって何回かに分けて移動を開始した記憶はまだ新しい。

あの時のみんなはそれぞれ故郷へと帰らせた。

今頃は各自穏やかに生活を送っていることだろう。


だがそれとは逆に、農業やいろんな生活の基盤を担っていた奴隷たちがいなくなってしまったこの国では、相当国が廃れてしまったことだろう。


特に農業をやっていた者がいなくなってしまった以上、自分たちがやらなくてはならないわけで、皆を3つの街に分けて保護した後に改めてやってきた時、相当農場は駄目になっていたのが見て取れた。


まぁ、それ以前にスノービークを襲撃したことによってこの神聖法国の高位神官たちが揃っていなくなってしまい、国自体が正常に機能しなくなってしまっていたのも国を廃れされることに拍車をかけてしまったことだろう。


現在の神聖法国の農園を見ると、全ての作物が枯れ果て、収穫間際だったであろう物でさえも、動物や鳥などに食べられてしまっている有様だった。

この分だと国の中では自給自足ができず、今まで傲慢な態度で他国と渡り合ってきた事で援助などは受けられずに大変な事態になっているのではないかと推測される。


そんな風に俺達は、誰もいない農園や神殿の周りに立っている住居などを見て回った。

特に住居地区は人が誰も居らず、まるで街ごと神隠しにあったかのように街の中は静まり返っていた。


「……なんだか真っ昼間なのにどこにも人がいないのは、ものすごく不気味だな。」


リッキーが思わず両腕を抱えてブルッと震えてそう言った。……確かにそれは言える。


この神聖法国は、神殿だけでなく普通の住居地区であっても地面や塀、建物など、いたるところが「真っ白」なのだ。

あまりに真っ白すぎて、何処に塀があるのかも分からずにぶつかりそうになったことも1、2度ではないほどだ。


「……以前だったらこんな風に、街の中をゆっくりと歩きながら眺めるなんてことは想像もできなかったもんだ。」


無人の街並みを眺めながら歩いているスコットさんが、思わずといった感じにそう呟いた。


「そうよねぇ……私がこの国に捕まって連れて来られた時も思ったけど、あの時も人がほとんどいなかったのよ。おかげで全く現実味のない思い出として記憶されてるわ。」

「確かに。私たちもすぐに後を追って迎えに来たけど、あまりにも整然と並んでいる規格どおりの街並みが、あまりに不自然で。こうやってじっくり見ると、本当に細部まで同じ建物がずらっと並んでいてちょっと不気味だわ。」


リリーさんとエミリーさんもなんともいえない表情で辺りを見渡している。


それにしても、倉庫からここまで来るのにかなりの時間がかかっているのに、いまだに誰とも遭遇していない。

これって……この国にはもう誰もいない、って事なのだろうか?


そんな風にゆっくりと街の中を歩いて、徐々に高台に聳え立っている真っ白な神殿へと向かう。


その神殿は以前にも思ったのだが、まるでギリシャ神殿の様な建築様式で、キリスト教の教会の様に多彩な色を使ったステンドグラスの様なものは何一つない。


街から神殿へと続く長い階段を、ぞろぞろと慎重に登っていく俺達。

この階段は横幅があまりなく、2人がすれ違えるくらいの幅しかない。

だからとりあえず向かいからは誰も下りてこないことを良いことに、俺たちは2列で登っているのだ。


半分まで登ってくると、女性陣はもう息も絶え絶えだ!とでも言いたげな表情で、肩で大きく息をはいている。


だがもう少しで神殿の入り口……という所まで来た時、神殿の背後に断崖絶壁があるのが見えた。


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